友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

スズムシの音色が消えた

2008年09月04日 22時18分48秒 | Weblog
 事業所に置かれていたスズムシの飼育器から、スズムシの鳴き声が聞こえてこない。あんなに元気に鳴き競っていたのに、どうしたことかと眺めるが変わった様子はないようだ。それにしても、はじめに置かれた頃に比べると、スズムシは2倍ほどの大きさになっている。と言うことは、半減していたとしても、数が変わらないように見えているのだろうか。

 「スズムシが鳴かなくなったということは、オスがいなくなったということだね」と年長者が言う。「えっ、じゃーオスはどこかへ行っちゃったの?」と若い娘が聞く。「メスに食べられちゃったのさ」と年長者が答える。「スズムシは交尾が終わるとメスがオスを食べちゃうんだよ」。「ウソ!ホントに?」。「ああ、多分、卵を産むための栄養源になるのだろうな」。

 年長者の言うことは当たっていると思う。養育されているスズムシはエサで苦労することはないけれど、実際に野原で生きているスズムシは、そんなにたやすく食べ物が手に入らないはずだ。飼育器で何代も育てていると、よいスズムシは得られないようで、スズムシの養育が盛んになった江戸時代には近親相姦を防ぐために、自分が育てているスズムシとの交換が行なわれていたと何かに書かれていた。

 近親相姦が子孫の繁栄に良くないと動物は本能的に知っていたのだろうか。事業所の女性が「アザラシのことをテレビで放映していたけれど、アザラシのオスは血を流しても自分の群れを守るのに、メスはそのオスの目をかすめて隣の群れのオスに近づくのね。浮気をするわけだけど、そうすることで近親相姦をなくしているというのね。オスって本当にかわいそうね」と言う。

 スズムシのオスも一生懸命に羽をこすり合わせてメスに自分をアピールし、そしてやっと運命のメスにめぐり合い、わずか、それでもスズムシの交尾は長い方だが、2分か5分ほどの交尾で一生を終わるのだから、誠に哀れというか悲しい存在だ。昆虫に比べて動物は、もう少し交尾に意味があるかと思ったけれど、そんなに違いはないようだ。とにかく子孫を残すことが唯一の役割なのだから。

 動物の中でも人間にもっとも近いサルには、生殖のための交尾でない行為が見られるようだけれど、生殖とは違う快楽を見つけたのは人類だけのようだ。そのことが地球に住む人類という生き物にどのような結果をもたらすのか、地球の歴史がこれから証明することになるのだろう。
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