友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

言い訳しながら生きてきてしまった

2023年07月28日 17時23分58秒 | Weblog

 

 気になっていた美術展を観て来た。稲沢市荻須美術館で開催されている『磯野宏夫展』で、王子製紙のカレンダーの原画展である。ものすごく緻密な絵であるが、写実画ではない。デザイナーが何かの為に描いた作品である。

 何かの為とは、王子製紙は紙を製造している会社だから、紙の材料である森をテーマとしている。油絵は作品のひとつ、ひとつに、画家の思想が込められているが、デザイナーは依頼者に応える為に作品を描く。

 美術館に足を運んで、磯野宏夫氏が大学の1年後輩であったことを知った。愛知教育大の美術科の卒業で、就職先がデザイン会社だったから、美術科はデザインコースだったと思う。おそらく私と同じ教授が指導教官だっただろう。

 愛知教育大学は名古屋と岡崎に別れていて、岡崎に入った者は4年間岡崎で学ぶが、名古屋に入った者は3年から岡崎に移る。磯野氏は稲沢の生まれだから、名古屋へ通ったはずだ。私は刈谷の生まれだが、名古屋に通い、2年の時は自治会の役員を務めたので、美術科に顔を出すことが余り無かった。

 4年の時は、岡崎に通った磯野氏と会うはずだが、私は教授の口利きで、東京の出版社で働いていたので、後輩を全く知らない。展覧会の会場に、磯野氏の若い時の写真があったので、思い出せないかと見入っていたが、記憶に出てこない。

 画家でもデザイナーでも、他の人が描けないものを描きたいものだ。そうでなければ、自分の作品を自信持って世に出せない。私は展覧会を見る度に、これくらいなら自分でも描けるが、この人にはかなわないと、そんな気持ちで観ているから、ズルズルと絵が描けないまま今日に至ってしまった。

 内ゲバに巻き込まれて両手を負傷しなければ、もう少し作品作りに没頭出来たかも知れないと言い訳しながら生きてきてしまった。そして、磯野君よりも12年も長生きしている。

コメント
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