私は時々,学者を主体とする,とある研究会に参加させてもらっている。その中で,債務不履行に基づく損害賠償の範囲,特に損害額を算定する際の基準時が論点となった。
その研究会で報告されていた学者は,損害額算定の基準時について,これまでの最高裁の判例をきれいにまとめておられた。
不正確かもしれないが,その報告内容をまとめると,判例は,
① 履行不能を原因とする損害賠償の場合は,履行不能時を基準時とするのが原則
② ただし,履行不能と最高裁が判断した事案で,基準時を履行不能時ではなく契約解除時とした判例がある。
③ 履行遅滞による契約解除がされた場合は,契約解除時
④ 右肩上がりの価格上昇が続いている場合,予見可能性が認められる場合は,口頭弁論終結時
⑤ 中間最高価格の損害を認めた判例もある。
などの報告をされていた。
その他にも,2,3の最高裁判例の存在を報告されていたが,おおよそ最高裁の損害額算定の基準時に関する原理的な判例として,以上の判例を説明されていた。そして,上記②判例は,履行不能の事案ではなく(ただし,判旨は明らかに「履行不能」という表現を用いているらしい),履行遅滞の事案ではないかという疑問を呈せられ,判例は,
履行不能の場合は不能時
履行遅滞の場合は,解除されたら解除時
というのが原則であり,
予見可能性があれば,価格上昇後である口頭弁論終結時を基準時とすることも出来る
等という判例分析をなさっていた。(以上は,学者の報告内容を私が理解した限りでのまとめなので,不正確なまとめである可能性が高いが,あしからず。)
ただし,上記②判例は,明らかに「履行不能」という言葉を用いているため,学説的には上記①判例と上記②判例は矛盾し,判例を原理的に説明することは不可能という学説も存在するらしい。さらには,学説の中には,選択可能な基準時は一つではなく複数存在し,債権者はそのうち任意の一時点を選択して算定時期とすることができ,裁判官はその主張の時点の額に拘束される,という学説(多元説)もあるらしい。
そして,現在検討が行われている債権法改正検討委員会の方向性は,この多元説を採用しているのではないかと報告され,報告者はこの方向性に疑問を呈せられていた。
その研究会で報告されていた学者は,損害額算定の基準時について,これまでの最高裁の判例をきれいにまとめておられた。
不正確かもしれないが,その報告内容をまとめると,判例は,
① 履行不能を原因とする損害賠償の場合は,履行不能時を基準時とするのが原則
② ただし,履行不能と最高裁が判断した事案で,基準時を履行不能時ではなく契約解除時とした判例がある。
③ 履行遅滞による契約解除がされた場合は,契約解除時
④ 右肩上がりの価格上昇が続いている場合,予見可能性が認められる場合は,口頭弁論終結時
⑤ 中間最高価格の損害を認めた判例もある。
などの報告をされていた。
その他にも,2,3の最高裁判例の存在を報告されていたが,おおよそ最高裁の損害額算定の基準時に関する原理的な判例として,以上の判例を説明されていた。そして,上記②判例は,履行不能の事案ではなく(ただし,判旨は明らかに「履行不能」という表現を用いているらしい),履行遅滞の事案ではないかという疑問を呈せられ,判例は,
履行不能の場合は不能時
履行遅滞の場合は,解除されたら解除時
というのが原則であり,
予見可能性があれば,価格上昇後である口頭弁論終結時を基準時とすることも出来る
等という判例分析をなさっていた。(以上は,学者の報告内容を私が理解した限りでのまとめなので,不正確なまとめである可能性が高いが,あしからず。)
ただし,上記②判例は,明らかに「履行不能」という言葉を用いているため,学説的には上記①判例と上記②判例は矛盾し,判例を原理的に説明することは不可能という学説も存在するらしい。さらには,学説の中には,選択可能な基準時は一つではなく複数存在し,債権者はそのうち任意の一時点を選択して算定時期とすることができ,裁判官はその主張の時点の額に拘束される,という学説(多元説)もあるらしい。
そして,現在検討が行われている債権法改正検討委員会の方向性は,この多元説を採用しているのではないかと報告され,報告者はこの方向性に疑問を呈せられていた。
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