実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

株主総会決議取消訴訟を提起してみた(2)

2019-02-27 10:04:44 | 会社法
 例えば、代表取締役の個人の取締役報酬を株主総会で決議するとしよう。その際に、大株主(例えば51%の持株比率としよう)である当の代表取締役が決議に加わり、代表取締役一人だけの賛成(他の株主はみな反対)で他の取締役の10倍の取締役報酬が決議されたとする。
 しかし、他の株主や取締役は、大株主だから代表者をしているものの、すぐに飲み食いに走り、遊び呆けていると考えており、仕事に見合った報酬よりも巨額であると考えているとする。しかし、当の代表取締役は、そのようなことはなく、ある程度飲み食いはあるものの、それは取引先・業界での仕事上の付き合いがほとんどで、それが仕事につながっていると考えており、飲み食いも仕事の打ちと考えている。そのため、他の取締役の10倍の報酬も仕事に見合った報酬と思っている。

 さて、この代表取締役報酬の決議は、特別利害関係人が決議に加わったことにより、著しく不当な決議といえるだろうか。

株主総会決議取消訴訟を提起してみた(1)

2019-02-15 14:15:43 | 会社法
 私は、多少会社法を得意と自認しているつもりではあるが、会社法プロパーの事件を実際に手がける機会はかなり少ない。
 ところが最近、株主総会決議取消訴訟を手がける機会があった。上場会社におけるそれのような華々しい事件とは異なり、同族会社での争いなので、兄弟げんかの様相を呈している事件である。

 取消原因は、特別利害関係人が決議に加わったことにより、著しく不当な決議となったという取消原因である。教科書レベルでは、難しいことは何もないのだが、いざ、実際に取消訴訟を提起してみると、意外と難しい解釈が潜んでいるのではないかと感じさせる類型の取消訴訟のような気がしてきたのである。