1回感想文を入れてしまったが,再び差押えの効力について……
差押えの処分禁止効については,前々回に私が理解している実体法学的効力について述べ,前回では手続法学上の効力を見てきたが,両者は,同じ議論をしているのか違う議論をしているのかが,よく分からない。私には全く違った議論をしているように思えるのである。そこで,不動産に対する差押えを前提として私なりに議論を整理してみたい。
まず,差押えというものが,その後の不動産の権利の帰趨との関係でどのような位置づけになるのかを考える必要がある。執行手続上,差押えは強制執行の最初の段階にすぎず,手続が進めば,差し押さえられた不動産を売却する方法により換価することになる。つまり,有効に第三者(買受人)に売却するための手続として考えれば,差押えはその後の買受人への売却のための順位保全的な手続であることが理解できるのではないかと思う。そうすると,差押えの処分禁止効といってみても,当該不動産の裁判所による売却との関係でいえば,いわば,将来登場するであろう買受人のための仮登記のような性格のものといえないだろうか。
実体法学において,差押えの登記が対抗要件になるというのは,このような順位保全効的な意味において理解できるのではないかと思うのである。
もっとも,純然たる仮登記とはやや性格を異にするのは,差押えの段階では将来の買受人が特定されていないという点と,消除主義との関係で,差押えに先行する担保権も,原則として売却により消滅する(例外は,使用収益をしない旨の定めのない質権と留置権である(民事執行法59条4項参照))という点である。しかし,基本的な効力といえる差押えに遅れる登記は差押えに対抗できないという意味は,将来の買受人は,差押え後の不動産の所有者による処分を気にする必要がないということであり,この点では仮登記に基づく本登記請求と基本的な効力は同じ効力なのではないかと思われるのである。
そして,このような差押えの登記の順位保全的効力は,手続法学でいう相対効に通じるものであり,差押えの効力は絶対効ではなく相対効だという言い方を,順位保全的な効力の問題と言い換えれば,実体法学と訴訟法学の結びつきを説明できるような気がしている。
そこでさらに問題なのは,手続法学でいう個別相対効と手続相対効の違いについて,実体法的にどのように説明できるのかである。
差押えの処分禁止効については,前々回に私が理解している実体法学的効力について述べ,前回では手続法学上の効力を見てきたが,両者は,同じ議論をしているのか違う議論をしているのかが,よく分からない。私には全く違った議論をしているように思えるのである。そこで,不動産に対する差押えを前提として私なりに議論を整理してみたい。
まず,差押えというものが,その後の不動産の権利の帰趨との関係でどのような位置づけになるのかを考える必要がある。執行手続上,差押えは強制執行の最初の段階にすぎず,手続が進めば,差し押さえられた不動産を売却する方法により換価することになる。つまり,有効に第三者(買受人)に売却するための手続として考えれば,差押えはその後の買受人への売却のための順位保全的な手続であることが理解できるのではないかと思う。そうすると,差押えの処分禁止効といってみても,当該不動産の裁判所による売却との関係でいえば,いわば,将来登場するであろう買受人のための仮登記のような性格のものといえないだろうか。
実体法学において,差押えの登記が対抗要件になるというのは,このような順位保全効的な意味において理解できるのではないかと思うのである。
もっとも,純然たる仮登記とはやや性格を異にするのは,差押えの段階では将来の買受人が特定されていないという点と,消除主義との関係で,差押えに先行する担保権も,原則として売却により消滅する(例外は,使用収益をしない旨の定めのない質権と留置権である(民事執行法59条4項参照))という点である。しかし,基本的な効力といえる差押えに遅れる登記は差押えに対抗できないという意味は,将来の買受人は,差押え後の不動産の所有者による処分を気にする必要がないということであり,この点では仮登記に基づく本登記請求と基本的な効力は同じ効力なのではないかと思われるのである。
そして,このような差押えの登記の順位保全的効力は,手続法学でいう相対効に通じるものであり,差押えの効力は絶対効ではなく相対効だという言い方を,順位保全的な効力の問題と言い換えれば,実体法学と訴訟法学の結びつきを説明できるような気がしている。
そこでさらに問題なのは,手続法学でいう個別相対効と手続相対効の違いについて,実体法的にどのように説明できるのかである。