実務家弁護士の法解釈のギモン

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譲渡制限特約付債権の譲渡(3)

2018-05-16 12:42:01 | 債権総論
 解説書を読んで思った最大の疑問点は、悪意または重過失のある譲受人に譲渡した場合、たとえ債務者は譲受人に弁済する義務を負わず、譲渡人に弁済すれば足りるとしても、債権は確定的に譲受人に移転することから、もとの債権者である譲渡人は、債務者に対する履行請求権はないというのである。
 理論的にはそのような考えも成り立つのかもしれないが、果たして本当にそのような考えでいいのだろうか、というのが、最大の疑問なのである。

 この法律状態のままでは、譲受人も譲渡人も履行請求できないという、デッドロック状態になってしまうことから、一応、デッドロック解消のための立法的な手当はあり、譲受人は、相当期間を定めて譲渡人への履行を催告することができることとなっており、その期間内に譲渡人への履行がないときは、譲渡制限特約の効力が失われる。
 立法的には、この手当が必要にして十分と考えたのであろう。

 意味は分かるのだが、しかし、この立法に若干の疑問を持つ。ある一定の場面で、やや債務者に気の毒な場面が生じるのではないかという疑問である。

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