実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

債権法改正と訴訟告知(6)

2015-01-27 10:31:47 | 債権総論
 もし手続の煩雑ということで債務者を被告適格から除外したとしても、例えば、行方不明になっている債務者への訴訟告知は、結局は公示送達で行わざるを得ないはずで、債務者を被告とした場合の訴状の公示送達と手続としてどれほどの違いがあるのだろう。
 訴訟告知が有効になされない場合に、詐害行為取消訴訟は不適法却下されるのであろうか。訴訟告知の仕組みが債務者の手続保障を目的としているとすれば、訴訟告知が有効になされない詐害行為取消訴訟は不適法却下すべきとされる可能性は高く、そうなると債務者を被告とした場合の訴状送達の不奏効とどれほど違うのだろうか。

 さらに大きな問題は、被告側が真剣に争った結果、判決によって終局するならばともかく、和解によって訴訟が終了した場合の和解の効力は債務者に及ぼしうるのだろうか。
 和解であればその内容は訴訟当事者間でどうにでもなるから、客観的に見て債務者にとって著しく不利な内容のまま和解が成立してしまうことも十分にあり得る。
 それでも、和解が判決と同一の効力があるからとしてその効力を債務者にも及ぼすことができるとなると、訴訟告知だけでは債務者の手続保証として不十分なのではないだろうか。訴訟告知を受けた債務者は被告側に補助参加しうることで手続保証は担保されていると考えているのかもしれないが、民事訴訟法上の本来の訴訟告知における参加的効力(既判力よりも弱いとされている)でさえ、和解で訴訟が終了した場合には被告知者には参加的効力が及ばないとされていることと比較すると、著しくバランスを欠くと思われる。

 被告側が請求を認諾した場合にも全く同じ問題が起きる。

コメントを投稿