この種のスクイーズアウトで問題なのは、大株主だけ株主として残り、他の中小零細の株主は株主から排除されること、そのための手続として、株主総会特別決議でできてしまうことである。
まず、株主総会特別決議でできてしまう点であるが、一見すると特別決議という株主意思の確認としても慎重な手続で行うことから、特別決議を経る手続で行うのであれば、問題は少なそうでもある。
しかし、もともと大株主だけが株主として残ろうと画策するのであるから、全部取得条項付種類株式の取得の対価として割り当てられる新株式が1株に満たない株主と1株以上割り当てられる大株主との間で利害が大きく反するとも言える。そして事案としては1株以上割り当てられる大株主だけで特別決議に必要な3分の2以上の議決権比率がある場合が想定されうるし、スクイーズアウトを適法とした下級審判例では現にこのような事例のようである。そうだとすると、1株以上が割り当てられる大株主は特別利害関係人に当たらないか(つまり、大株主が関与した特別決議は、取消原因があるのではないか)が問題となり得ると思うのである。
ただし、難しいのは特別利害関係人が加わったら、即取消原因となるわけではなく、その結果「著しく不当」な決議となったことが必要だということである。そして、全部取得条項付種類株式の取得の対価は、比例平等的に割り当てられることになる上、その割り当てられる対価が新株式であると、基本的には旧株式と新株式の価値に変化の余地がないという言い方ができる。そのため、もし、旧株式1株に対し新株式1株を割り当てるような取得内容であれば、全く不当性はない。
ところが、旧株式10万株に対し新株式1株を割り当てるとなると、大量の端数が生じるととになり、旧株式を10万株以下しか持っていない端数株主は株式を取得できないことは、さんざん述べているとおりである。形式的には平等な取得対価の定め方ではあるが、実質的には大株主には株式を交付し、中小零細の株主には現金を交付するという結果である。これが不当でないと言い切れるのであろうか。
まず、株主総会特別決議でできてしまう点であるが、一見すると特別決議という株主意思の確認としても慎重な手続で行うことから、特別決議を経る手続で行うのであれば、問題は少なそうでもある。
しかし、もともと大株主だけが株主として残ろうと画策するのであるから、全部取得条項付種類株式の取得の対価として割り当てられる新株式が1株に満たない株主と1株以上割り当てられる大株主との間で利害が大きく反するとも言える。そして事案としては1株以上割り当てられる大株主だけで特別決議に必要な3分の2以上の議決権比率がある場合が想定されうるし、スクイーズアウトを適法とした下級審判例では現にこのような事例のようである。そうだとすると、1株以上が割り当てられる大株主は特別利害関係人に当たらないか(つまり、大株主が関与した特別決議は、取消原因があるのではないか)が問題となり得ると思うのである。
ただし、難しいのは特別利害関係人が加わったら、即取消原因となるわけではなく、その結果「著しく不当」な決議となったことが必要だということである。そして、全部取得条項付種類株式の取得の対価は、比例平等的に割り当てられることになる上、その割り当てられる対価が新株式であると、基本的には旧株式と新株式の価値に変化の余地がないという言い方ができる。そのため、もし、旧株式1株に対し新株式1株を割り当てるような取得内容であれば、全く不当性はない。
ところが、旧株式10万株に対し新株式1株を割り当てるとなると、大量の端数が生じるととになり、旧株式を10万株以下しか持っていない端数株主は株式を取得できないことは、さんざん述べているとおりである。形式的には平等な取得対価の定め方ではあるが、実質的には大株主には株式を交付し、中小零細の株主には現金を交付するという結果である。これが不当でないと言い切れるのであろうか。