
◉ 茶梅 (さざんか)・姫椿 (ひめつばき)・小椿 (こつばき)
霜を掃き山茶花を掃く許りかな ・・・・・ 高浜虚子[虚子全集]
山茶花は咲く花よりも散つてゐる ・・・・・ 細見綾子 [雉 子]
山茶花の散る月光に畳職 ・・・・・ 黒田杏子 [一木一草]
小春日の頃に咲く山茶花は、椿の花とよく似ていますが、
椿より花弁が平に開き、葉がやや細く、小ぶりです。
寒風に花弁が一枚一枚散っていくさまは、寂しい中にも趣があり、
椿より繊細で清楚な味わいがあります。
椿に似て葉や花が椿より小さいことから、
「姫椿」「小椿」ともいいます。
[ ツバキ科ツバキ属の常緑小高木 ]
山茶花や夕暮方の里恋し ・・・・・ みなみ
サザンカ(山茶花)
日本原産の花木で、
山口県・四国西南部・九州・沖縄に及び、
低山から海岸近くにも自生します。
樹高は、2~6m。
枝はよく分枝し、多くの葉を付けます。
葉は柄を持ち、長さ3~6cmの倒披針形、幅に広狭があります。
先はわずかに凹み、尖りぎみでときにやや丸味を帯び、
質は厚く、縁には低鋸歯があり、互生します。
花期は、10~12月。
花は一重で、白色の花弁は5~7枚、薄く、波をうち、芳香があります。
平開し、ばらばらに散ります。
果実は、2cm弱の球形で、夏の終わりに熟します。
江戸初期にはすでに園芸化が始まっていて
さまざまな園芸品種が生まれ、
花色は、白のほか淡紅・濃紅・絞りなど、
一重・八重・千重咲きなどがあります。
寺院や庭園などには樹齢300~400年の古木もあります。
日陰や大気汚染・潮風にも耐える強健な木で、
庭木・生垣・切花・盆栽などに使われています。
材は細工物に、種子からは油を採ります。
漢名で椿を「山茶」その花を山茶花(サンサクヮ)、
椿と似ているので山茶花と呼ばれ、それが
が転訛してサザンカになったそうです。