しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

若楓 ( わかかえで ) <季> 初夏

2013-06-26 |  夏の草木・その他 の 俳句

◉ 若葉の楓 (わかばのかえで) ・楓若葉 (かえでわかば) ・青楓 (あおかえで)

雨重き葉の重なりや若かえで ・・・・・ 大祗 [独喰]
三井寺や日は午にせまる若楓 ・・・・・ 蕪村 [新花摘]
四阿に日の影動く若楓 ・・・・・ 正岡子規

初夏の頃、若葉した楓のことです。
鮮やかで繊細な若葉青葉の輝き・明るさ、
風にやさしく揺れ、雨にしっとり濡れた風情にも、
清らかな趣があります。
紅葉の美しさと共に、若葉の美しさについても古くから、
『万葉集』や『源氏物語』などに「若楓」の美称で詠まれています。
『徒然草』にも
「卯月ばかりの若楓、すべてよろづの花紅葉にもまさりて、めでたきものなり」と、
兼好法師がその美しさを称えており、
夏の襲(かさね)の色目にもなっています(表は薄青、裏は紅または薄紅)。
カエデ類は、
古来風致樹として各地に植栽され、
庭園などに植えられ
奈良時代にはすでに観賞されて、
江戸時代に入ると品種改良が盛んになり、
多くの園芸品種が作られました。
過度の乾燥を嫌うことから、
多くは谷間のような所に繁茂しますので、
モミジの名所には流水が伴っています。
名は、葉の形がカエルの手に似ていることから、
カエルデ(蛙手)と呼ばれ、それがカエデになったと言われます。
* 楓の芽 (仲春) ・ 楓の花 (晩春) ・ 楓 (晩秋)

  [ カエデ科カエデ属の落葉高木の総称 ]

バスを待つ風かすかなり若楓 ・・・・・ みなみ

カエデ属 
落葉またはまれに常緑で、
高木あるいは低木です。
葉は、複葉または単葉で、
単葉の多くは掌状に裂けます。
葉柄を持ち、托葉はありません。
雌雄同株または異株です。
春、総状から散房状の小花を付けます。
花弁は目立たず小さく、
花柱は2本、
雄しべは4~10本ですが多くは8本です。
果実は翼果で2枚の翅があり、
熟すと風によって飛散します。
約100種ほどが北半球の温帯に分布し、
日本には約20数種があります。
このうち
葉が蛙の手と似ているものに、
イロハモミジ・オオモミジ・ヤマモミジ・
イタヤカエデ(板屋楓)・ハウチワカエデ(羽団扇楓)・ミネカエデ(峰楓)など、
似ていないものに、
ヒトツバカエデ(一葉楓)・ミツデカエデ(三手楓)・メグスリノキ(目薬の木)などがあり、
またハナノキ(花の木)のように浅く3裂するものとしない葉のものもあります。
秋には、
葉の色を美しく変えるものが多く、
若葉の頃の緑色から秋になると黄色や赤に黄葉・紅葉するものや、
若葉の暗紫色から夏には緑色を帯び、
秋になると紫紅色に変わる園芸品種のノムラカエデ(野村楓)などもあります。
モミジとは、紅葉するものの総称でしたが、
カエデ類、特に普通に植えられているイロハモミジの紅葉が美しいため、
単にモミジと言えば、おもにカエデ類を指すようになりました。
   [ カエデ科カエデ属の落葉高木の総称 ]


 いろは紅葉 (いろはもみじ) 
2013/05/30 撮影…イロハモミジ

日本では、
本州~九州にかけて、
主に太平洋側の低山や川岸など適湿の地に自生します。
樹高は、 15~30m。
若葉のころの枝先には赤みがあります。
葉は、小型で径が3~6cm、掌状に5~7深裂し、
裂片の先が尖り、縁にはやや粗く不揃いの重鋸歯があって、
対生します。
成葉には毛がありません。
秋~初冬に、通常は黄褐色から鮮やかな紅色に紅葉します。
花期は、4~5月。
若枝の先に複散房花序を出し、暗赤色の小花が垂れ下がって付きます。
萼片・花弁とも5枚で、雄花と両性花が混在しています。
果実は翼果で、翼の長さ約1.5cm、斜開または平開します。
花後に大きくなり、葉の上に出て付き、夏から初秋にかけて熟し、
風で飛ばされます。
園芸品種も多く、
庭園・公園などにも植えられ、
各地にモミジの名所があります。
名は、裂片を「いろはにほへと」と数えたことから付いたそうです。
別名 ; タカオカエデ( 高尾楓 )・イロハカエデ( いろは楓 )
 
2014/04/19 撮影

 2013/05/30 撮影

 

大紅葉 (おおもみじ) 
2013/05/30 撮影…オオモミジ

北海道~九州にかけて、
太平洋側のブナ帯に多く自生します。
樹高は、10~13m。
若葉のころの枝先は先端まで黄緑がかっています。
葉は、やや大形で、掌状に7~9裂し、
縁には細かく揃った細鋸歯があり、対生します。
秋には黄色や赤色に美しく紅葉します。
花期は、4~5月。
花は紅色で雄花と両性花がある
果実は翼果で、ほぼ平開し、
葉の下からぶら下がるように付き、
若い時は薄紅色で美しく、
イロハモミジやヤマモミジよりやや大きくなります。
観賞用として植栽されているものも多く、
園芸品種には、一行寺・大盃・野村・七変化などあります。
自然林の中で巨木となります。
庭木や公園樹、材が硬いので建築・器具材などにも利用されます。
名は、イロハモミジより葉が大きいために付いたそうです。

 2013/05/30 撮影…オオモミジの花

 

 山紅葉 (やまもみじ) 
2013/05/30 撮影…ヤマモミジ

北海道~本州島根県以東にかけて
日本海側の雪深い山地に自生します。
樹高は、5~10m。
イロハモミジの変種、 またはオオモミジの変種と言われ、
細い枝が多数分枝します。
若葉のころの枝先は先端まで黄緑がかっています。
葉は、一般にイロハモミジより大きく、
長い葉柄(ようへい)があり、
形は、掌状7~9中裂し、裂片は幅広く、
葉の基部は心形で、対生に付きます。
縁に不揃いの重鋸歯があり、
対生に付きます。
秋には美しく紅葉します。
花期は、4~6月。
黄緑色、紫色の小花を円錐花序に付け、
枝の先からやや垂れ下がります。
果実は翼果を結び、やや鈍角またはやや直角に開き、
葉の下から垂れ下がって付きます。
観賞用としても栽培され、種々の園芸品種があります。

2014/04/19 撮影
  
 2013/05/30 撮影


 


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