新町にある老舗の友禅工房「高橋徳」。ここには、ショップ&ギャラリーYDSというスペースがあり、年に数回、京都らしい文化、体験講座が開催されます。ミモロは、以前、友禅を作っている工房を見学させて頂いたり、また毎月開催されている、組みひものお教室も体験させていただきました。
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昨年の暮れ、ここで「研ごう会 食道具 包丁の展示会と研ぎセミナー」が開催され、ミモロは、さっそく申し込んで参加することに。
包丁調整士であり、食道具 竹上の廣瀬康二さん
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「包丁って、研いだことないかも…」というミモロ。いつも使っている包丁を、参加者は、あらかじめ廣瀬さんのところに送ります。「あのーボロボロの包丁しか持ってないんですけど、いいですか?」と恐る恐る聞くと、「なんでもいいですから、送ってください。セミナーの当日に、研いだものをお渡しします」とのお返事。
ミモロの包丁は、ステンレスのもの…「いいのかなぁー」と思いつつ、セミナー当日、ドキドキしながら会場へ。
会場に到着すると「ミモロちゃん、いらっしゃい。もうすぐはじまりますから、待っててくださいね」と。そこでまずは、ギャラリー見学へと向かうことに。
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お店の奥にあるギャラリースペースは、大きなお座敷で、そこには、いろいろな種類の包丁や砥石が並んでいます。
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「わーいろんな種類があるんだねー」と、出刃包丁のサイズもいろいろ。
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「あ、これ、プロの料理人さんが使うんだーアタッシュケースみたい…」
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「キャー大きな包丁…
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「これは、すごく刃が長いよー」
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日本の包丁ほど、その種類が細分化されたものはないのでは?切る素材によって、それに適した包丁が生み出されています。さずが世界でも優れた刀と高い評価を受けている日本刀の国。包丁へのこだわりも半端ではありません。
「さぁ、そろそろセミナーを始めます」との声に、ミモロは、慌てて大きな机のあるお部屋へ。
講師の廣瀬さんの前に座り、配られたプリントに目を通します。
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まず、廣瀬さんが強調したのは、毎日のお手入れ。「自分の心を包丁に寄せて、扱いましょう」と。
ここでいう包丁は、ミモロの使うステンレス製のものではない包丁です。あしからず…。
・包丁は、使っている最中も、マメにふきんなどで水分を拭きながら使いましょう。
「あ、料理人さんが、食材を切りながら、よくおふきんで拭いてる…あれだねー」とミモロ。
・その日に使い終わった包丁は、クレンザーや磨き粉で汚れを落とし、洗い流したら、乾いたタオルで水気を取り、よく乾かしましょう。その際、絵の部分もいっしょによく磨きます。
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「あのーアワアワの中性洗剤で洗ってますけど…」「それではダメですね。中性洗剤は、油は取れても、汚れは取れません。クレンザーの粒子で汚れを落とすことが大切ですよ」と。
「ともかく、さびを寄せ付けないために、包丁に汚れや水分を残したままにしてはいけません。柄の部分も磨かないと、そこから包丁がダメになることがあるんです。特に、柄と包丁の境目は、丁寧に汚れを取ってくださいね」
*クレンザーでの汚れの落とし方:包丁を自分に垂直において、刃の方向へ、背の部分から、斜め45度くらいの感じで、外側へとスポンジを動かします。包丁の両面を洗ったら、背の部分は、先端から根元へ何度が上下に動かします。最後に、柄の部分全体を洗います。柄と刃の境目の汚れも見逃さないように。
このお手入れを毎日すると、月1回、軽く研ぐだけで、包丁の切れ味はよくなって、手に馴染むようになるそう。
ミモロは、他の受講者と共に、熱心に廣瀬さんの手元を見つめます。
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さて、次は、いよいよ研ぎ方です。
ここでは、両刃の包丁の場合を習いました。
砥石は、使用前に20分間水に浸けたものを使います。
また、砥石は、表面が平らなものを。使い込んで、中央がへこんだ砥石は、包丁を傷つけることに。
受講者が、次々に、すでに廣瀬さんが研いでくださった自分の包丁を使い、研ぎ方を実際に習います。
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まず表から、
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次第に、砥石の上には、グレーの泥が出てきます。これを流してはいけません。これを使って研ぐんです。
シャーシャーという音が、部屋に響きます。
ミモロは、息を止めて、じっと作業を見つめます。「なんか真剣…まるで刀を研いでるみたい…」
さて、裏は、砥石に包丁を70~80度の角度に置いて、やはり15度の高さで、同じように研ぎます。
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そして、包丁を研いだ刃の部分を指の腹で触り、そこ全体がザラザラとした感じになれば、OK.
このザラザラは、カエリという刃先のまくれでこれが出るように研ぎます。
最後にいよいよ仕上げ研ぎへ。「えー2回研ぐんだー知らなかったー」とミモロ。
この仕上げをしないと、研いだことにはなりません。
砥石をきれいに洗い、表面のグレーの泥を落とします。
そして、同じように、今度は、水を砥石に掛けながら、軽く両面を研ぎます。指で触って、刃にカエリが消えて、スムーズな感じになれば出来上がり。よく水気を拭いてしまいます。
受講生4人が、研ぎ終わって、ついにミモロの番。「今日は、みなさんは、鉄と鋼でできた和包丁を持ってこられましたが、ミモロさんのは、ステンレス製です。これは家庭では一般的なので、とても参考になると思います」と。
ステンレスの場合は、刃を砥石に立てる角度は、30度。研ぎ方は同じですが、最後の仕上げ研ぎはしません。
ミモロも真剣に、包丁研ぎに挑戦。「うーなかなかむずかしい…」
研ぎ終わった包丁のひとつを大根の上に置くと…
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包丁の重さで、スーッと切れてしまいます。「スゴイ…」と目を見張るミモロです。
「あのーもう1本、包丁持ってきたんですけど。これはステンレスじゃありません」と小さな包丁を廣瀬さんに。
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「では、もう1度研いでみましょう…」と手を添えて頂きながら、再度包丁を研ぐ練習を。
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包丁の刃をジッと見つめ、恐る恐る研ぐミモロです。
「わーピカピカになったー」
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研ぎ終わった包丁は、ミモロの顔もよく映るほど、ピカピカに。そして切れ味は、同じ包丁とは思えないほど抜群。
「わースゴイ…すごくいい切れ味になって、もったいなくて何も切れない…。切ると、切れ味悪くなっちゃうんでしょ」。あのミモロ…包丁は使うために研ぐのよ。「そうだねぇー。もっとお料理しよう…お手入れ習ったから大丈夫」と、ピカピカの包丁を抱え、料理に新たな意欲を見せるミモロでした。
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「切れ味のいい包丁を使うのは、料理を美味しくする第一歩です。切れ味が悪いと素材の美味しさを壊してしまうことに。まず、毎日、包丁の守り(もり)をするだけで、切れ味は、かなり持続しますよ」と廣瀬さん。
毎日包丁を使う家庭の主婦にとって、なかなか包丁の手入れまで手や気が回らないのが実情。でも自分の手に馴染む上等な包丁を持つと、きっと料理に対する関心もいっそう高まるのでは?
長く使った包丁は、全体にかなりズレが生じていて、研ぐ前に、まず包丁自体を整えることが大切だそう。廣瀬さんは、包丁研ぎ師ではなく、包丁調整士という肩書から、ただ研ぐだけではないことがわかります。
*旅のポイント:京都って、ホント、いろいろな文化講座や体験講座があります。観光だけでなく、そういう講座に参加できるように旅の日程を組むのも、おすすめです。きっと京都を訪れるのが、もっと楽しみになりますよ。
*包丁に関するご相談は、廣瀬さんへメールなどで。詳しくは「食道具 竹上」のホームページで。
また手描き友禅や組紐教室のあるショップ&ギャラリーYDSは、「高橋徳」のホームページでご覧ください。
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