ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

昨年10月、三条高倉にオープンした「京都刺繍修復工房」。寺院を飾る刺繍打敷の修復作業を見学

2015-05-12 | アート

以前、伏見で「和光舎」という寺院を飾る打敷や法衣を修復する会社の特設工房を見学したことがあります。その会社の常設工房が、昨年10月に、「京都文化博物館」そばの三条高倉にオープンしました。

 

ミモロは、お買いものの途中で、たまたまその前を通りかかりました。「あ、前に見たことある工房だ~」と中を覗くと…。
「あ、ミモロちゃん~こんにちは~」と、以前、お目にかかったことがある職人さんが手を振っています。
「あ~こんにちは~」と、ミモロも嬉しくて思わずガラスに密着。

「へぇ~ここに工房できたんだ~」と、さっそく中へ。
 
外から中がよく見える大きなガラス窓の工房には、刺繍職人さんが作業する台が並んでいます。

「いらっしゃい~」と社長さんも笑顔で迎えてくださいました。
 
もともと「和光舎」は、法衣や打敷など、寺院の布製の品々をクリーニングする事業からスタートした会社です。古い法衣や打敷は、歳月と共に劣化し、クリーニングだけでは、あまりキレイにならないことも。布自体の劣化の進行は、止められません。でも、そこには、昔の職人さんが丁寧に施した見事な刺繍が…。そこで刺繍職人さんにより、傷んだ刺繍部分を補修したり、布自体を新しいものに替える修復作業を請け負うことに…。

新しい法衣や打敷を作るには、多額の費用が掛かりますが、修復なら…と、今まで悩んでいた、全国の寺院から次々に注文が…。

「わ~りっぱな刺繍…」ミモロが見ているのは、100年以上前に作られた打敷。打敷とは、寺院の祭壇の下に飾られる刺繍などを施した豪華な布のこと。この場合は、傷んだ刺繍を補修するとともに、劣化し弱くなった布の部分を新しいものに取り換えます。

「これは、かなり保存状態がいい作品です。ふつう、お線香の火や花瓶の水などで、布に穴が開いていたり、シミがあるものなども多いんです。また虫食いで、ボロボロになったものもありますよ」と社長さん。
修復することで、昔の刺繍をそのままに、美しい状態へと戻ります。

 
極楽を思わせる華やかな模様などが細かい刺繍で表現されています。「お寺でこういうの見たことある…」とミモロ。

「わ~すごくキレイ…」クジャクや鳳凰をデザインした打敷の製作が進んでいました。
 
「絹糸は、角度によって輝きが異なり、糸の風合いなどと共に、鳥の羽を表現してるんですよ…」と女性の刺繍職人さん。
美術系の大学を卒業。しばらくして全く関係ない刺繍の世界に飛び込んで、修復する古い刺繍の作品を実際に手にすることで、その技術を学んだそう。「和刺繍の美しさに心惹かれて~」と。

「わ~細かい作業…」とミモロは近くで、その作業を見つめます。
 

この打敷は、修復ではなく新調。デザインも自ら描いたものだそう。
「やさしい目をした鳥さんたち~」とミモロ。ワッペンのように、部分ごとに刺繍をしたものを、本体の布に固定します。
完成には、8か月近くかかるそう。

微妙な色のグラデーションなど、まるで絵画のように表現される刺繍には、さまざまな色の絹糸が使われます。
 
「緑色の糸もこんなに種類がある~」

つややかな絹糸は、角度によって、その色を変化させ、作品にいっそう趣をもたらします。

「へぇ~刺繍の仕方もいろいろあるんだ~」。パネルには、刺繍のステッチがわかりやすく説明されていました。


「多くの方に、日本の伝統刺繍の技の素晴らしさを知っていただきたくて~」とここに工房を開いたという社長。
日本人でも目にしたことがない人が多いはず…。通りかかった海外からの観光客が熱心に見学してゆくそう。

「どうぞお気軽に中に入って、近くで見学なさってください…」もちろん見学は無料。職人さんや社長さんから、刺繍のお話しなども伺えます。

「外国のお友達に見せてあげたい~」とミモロ。
町中のお買いものの途中に、ちょっと立ち寄って、日本の素晴らしい刺繍文化に触れてみてはいかがでしょ?

*「京都刺繍修復工房」和光舎三条工房 京都市中京区高倉三条下ル 075-200-7798 10:00~18:00 月曜休み


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