淑子(よしこ)は青木(あおき)の顔を見るなり言った。「ねえ、あたしの<アヘ>を返(かえ)して!」
青木はとぼけるように、「何の話だよ。俺(おれ)には分かんないなぁ」
「あなたがちょっと貸(か)して欲(ほ)しいって言ったから、あたしは…」
青木はちょっと脅(おど)すように、「だから、<アヘ>なんて知らないって言ってるだろ」
「あたしの<アヘ>をあんなことに使うなんて。返してよ、あれはあたしのなんだから」
「うるさいな。俺が<アヘ>をどう使おうと、お前には関係(かんけい)ないだろ」
「冗談(じょうだん)じゃないわよ。<アヘ>はあたしのものよ。あなたの勝手(かって)にはさせないわ」
「あの<アヘ>が、お前のものだって証拠(しょうこ)がどこにあるんだ。名前でも書いてあるのか?」
「何てこと言うの。あの<アヘ>は絶対(ぜったい)あたしのよ。誰(だれ)だって知ってるんだから」
「ふん。証拠がないんじゃ、返すわけにはいかないな。まだまだ、あの<アヘ>には使い道があるんでね。せいぜい稼(かせ)がせてもらうよ」
「あなたって人は、最低(さいてい)ね。あなたがそのつもりなら、あたしにも考えがあるわ」
「何だよ。お前に何ができるっていうんだ。指(ゆび)でもくわえて見てろ」
「このままじゃ、すませないから。絶対に取り返してやる。見てらっしゃい!」
淑子は青木をにらみつけると、足早に部屋から出て行った。
<つぶやき>アヘってなに? 彼女にとってとても大切(たいせつ)なものなのかも。気になります。
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