夫(おっと)は時に壮大(そうだい)な夢(ゆめ)を語(かた)るときがある。今日は何の話かしら。
「なあ、エコ住宅(じゅうたく)を建(た)てよう。太陽光発電(たいようこうはつでん)で電気(でんき)を作って、蓄電池(ちくでんち)があればなおいいよな。それに、バリヤフリーも必要(ひつよう)だよ。俺(おれ)たちの老後(ろうご)のためにも。それと、もちろん耐震設計(たいしんせっけい)にしないとな。あと、サンルームも作って。ああっ、そうなると庭(にわ)も考えないとなぁ」
私は夫の考えに一つずつうなずいて見せる。そして、最後(さいご)に私は言うの。
「それ、いいわねぇ。私も住(す)んでみたいわ。じゃあ、あなたのお小遣(こづか)い、少し減(へ)らしてもいいかしら? そしたら、その夢かなうかもしれないわ」
夫は慌(あわ)てて、「ちょっと待ってよ。それはないだろ。ただでさえ削(けず)られてるのに」
私はにっこり笑(わら)うと、「じゃあ、今度の休みにでも、住宅展示場(てんじじょう)へ行ってみない?」
夫はキョトンとした顔で私を見る。私は落ち着き払って、
「どのくらいかかるか調(しら)べないと。目標(もくひょう)が決まれば、後はそれに向かって突(つ)き進むだけよ」
私はこれでも堅実(けんじつ)な性格(せいかく)なの。何とかやりくりして、貯金(ちょきん)も少しはあるわ。それに、何か楽しみがないと人生(じんせい)つまんないじゃない。家を建てるっていいかもしれない。
夫は小声になり、「でも、これはあくまでも夢なんだから。そんな無理(むり)しなくても…」
夫は口ばっかりのところがある。でも、私はそんな彼のこと、嫌(きら)いじゃないわよ。
<つぶやき>男は夢を語り、女は現実(げんじつ)を見る。て、誰(だれ)かが言ってました。同じ夢、見ましょ。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます