みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0803「異星人」

2020-02-12 18:28:52 | ブログ短編

 行きつけの居酒屋(いざかや)。同期(どうき)で入社(にゅうしゃ)した彼女たちの息抜(いきぬ)きの場になっていた。遅(おく)れてやって来た静香(しずか)が、ふらふらした足どりで席(せき)について懇願(こんがん)するように言った。
「もう、ダメ…。あたしの手には負(お)えないわ。誰(だれ)か、助(たす)けてよぉ」
「どうしたの? しっかりしなさいよ。何があったのか話してみなさい」
「あいつら、同じ人間とは思えないわ…。もう、なに言ってるのか全然(ぜんぜん)わかんないし」
「静香って、新人(しんじん)の指導係(しどうがかり)になったのよね。どんな後輩(こうはい)たちなの? 教えてよ」
「もう、最悪(さいあく)よ。私たちの後、6年間も社員(しゃいん)の募集(ぼしゅう)してなかったじゃない。だから、やっと後輩(こうはい)ができるって楽しみにしてたのに…」
 そこへ、静香に声をかけてくる者(もの)があった。それは、新入社員の一人だ。彼は平然(へいぜん)と言った。「あの、明日のことなんだけど。ちょっといいすか?」
 静香は目を丸(まる)くして訊(き)いた。「どうして…。わたしが、ここにいるのを…」
「簡単(かんたん)すよ。先輩(せんぱい)のスマホをGPSで探(さが)せるようにしといたんで。もうバッチリです」
「なに勝手(かって)なことしてるの? そんなことしたらダメじゃない。やめてよ」
「はい、じゃあ削除(さくじょ)しときます。で、明日なんですけど、俺(おれ)、ちょっと用(よう)があって、遅(おく)れてもいいすか? どうせ、早く行っても仕事(しごと)ないし。じゃ、そういうことで」
 一同(いちどう)は、唖然(あぜん)とするばかり。彼は、そのまま居酒屋を出て行ってしまった。
<つぶやき>まさか、こんな人はいないでしょ…。でも、こんな後輩がいたら大変(たいへん)そう。
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