積読本が100冊近くになり、さすがに新しい本を買うのを控えようと思っているところなのですが、やはり続き物は新刊が出ればすぐに読みたくなりますよね?
『十三歳の誕生日、皇后になりました。』の5巻は赤奏国皇后宛のお手紙箱に入っていた「洪水の心配」と「妹の心配」が書かれた手紙を受け取った皇后・莉杏が人身御供を心配して真相を探るべく河川の街を訪れ、そこで生贄にされそうになっていた異国の青年を助けたら、その青年は実は叉羅国の司祭をつかさどる家の1つ・ヴァルマ家当主ラーナシュだった---と洪水という国内問題と隣国の重要人物の急な訪れという外交問題を同時に抱えるストーリーです。
このラーナシュが赤奏国皇帝・暁月の策略もあって隣国・白楼国へ入って『茉莉花官吏伝 7 恋と嫉妬は虎よりも猛し』に話が繋がっていきます。
このシリーズは幼い莉杏が皇后として国や国民のことを考え、自分が何をすべきかを一所懸命学びながら成長していく少女成長物語であると同時に、莉杏を「ちょうどよかったから」という理由で妃にした暁月がだんだん幼な妻の成長を喜び、誇りに思うようになっていき、いつかは夫婦愛となるかもしれないことをほんのり匂わす恋愛物語でもあります。赤奏国に伝わる守護神獣・朱雀の比翼連理を体現するかのように「一緒に国を立て直して行こう」という共通の目標で強く結ばれている二人の物語はほのぼのとさせる一方、少々緊迫感に欠け、今一つ「この先どうなっちゃうの?!」という興奮が足りないのが残念なところです。読み始めてしまった続き物なので惰性で買い続けていますが、ストーリーとしては先に始まった『茉莉花官吏伝』の方がずっと面白いですね。恋愛話としてもすでに夫婦になっている二人より、皇帝とそれに見込まれ・惚れこまれた女性官吏の関係の方が不安定で障害も多いので物語に緊迫感があります。
その意味でも『十三歳の誕生日、皇后になりました。』は少々長くなってしまっている『茉莉花官吏伝』のスピンオフ的な位置づけに過ぎないような気がします。
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茉莉花官吏伝
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 3 月下賢人、堂に垂せず』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 4 良禽、茘枝を択んで棲む』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 5 天花恢恢疎にして漏らさず』 (ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 6 水は方円の器を満たす 』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 7 恋と嫉妬は虎よりも猛し 』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 8 三司の奴は詩をうたう 』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 9 虎穴に入らずんば同盟を得ず』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 10 中原の鹿を逐わず』(ビーズログ文庫)
十三歳の誕生日、皇后になりました。
書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。 2』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。3』(ビーズログ文庫)
書評:石田リンネ著、『十三歳の誕生日、皇后になりました。4』(ビーズログ文庫)
おこぼれ姫と円卓の騎士