細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

訪豪報告

2006-08-14 21:56:00 | 外交
日豪若手政治家交流プログラム参加し、12日に帰国しました。毎年行なわれているプログラムで、若手議員が相手国の関係者との懇談を一週間にわたって行います。オーストラリア政府の後押しがあるだけあって、充実したプログラムでした。

天然資源に恵まれないわが国が経済的な豊かさを維持するためには、豪州との関係は死活的に重要です。三和総研の研究者時代から、エネルギー問題は私の主要な関心事でした。また、豪志という名前を持つ私としたは、子供の頃から豪州には何とはなしに親しみを感じてきました。今回、待望の初訪豪が実現し、しかも、久々に個人で発言できる場となったこともあって、大変、有意義な時間を過ごすことができました。


プログラムの中身をまとめてご報告します。

会談の初日は、シドニーのあるニュー・サウス・ワェールズ州議会関係者との懇談がありました。豪州では、連邦議会で自由党・国民党の保守連合が10年以上政権を維持している一方で、州議会はすべて労働党が政権を取っています。中央と地方のネジレが支障にならないかと率直な疑問をぶつけてみたところ、問題はあるが、中央も地方も政権交代はいつものことなので・・・とあっさりしたものでした。逆に、日本ではなぜ政権交代が起こらないのかと聞かれてしまいました・・・。

日本とは、中央と地方の関係にも違いがあります。オーストラリアでは、州の権限が強く、地方政府・議会の力は日本と比較すると格段に強いものとなっています。一例を挙げると、連邦政府(主に自由党)は、ウランの輸出拡大を望んでいるのですが、州政府を握っている労働党の反対で実現していません。わが国の中央が地方を縛っている約24兆円にのぼる補助金がなくなれば、「中央が自民党なので、地方は寄らば大樹」ということもなくなるでしょう。

日豪間では昨年末から共同研究が開始されているFTA(自由貿易協定)についても議論しました。豪州のエネルギーに依存している日本、日本を最大の貿易国相手としている豪州との関係を考えると、すでに米豪間でFTAが発効し、中豪でも交渉が始まっていることを考えると、日本は、遅れを取っている状況にあります。石炭、鉄鉱石、ウラン、LNG。資源競争を考えると、長年ラブコールを送ってきた豪州に応えてこなかった政治の責任は重大です。

中豪締結が見込まれる来年中の交渉妥結、長期安定供給を可能にするエネルギーに特化した協定の締結など、新総理には、思い切った政治決断が求められそうです。我々としても、それを後押しをしていきたいと考えています。

同時に、豪の交渉担当者には、ウランの輸出先の拡大に対する懸念を伝えてきました。現在、中国、そしてインドから豪州に対するラブコールが届いてます。イランや北朝鮮の例からも明らかなように、ウラン資源は外交的に極めて重要なカードとなります。それだけに、ウランの輸出先は、長期的、かつ安定的に、ウラン管理を行う能力のある国(わが国はもちろんその能力のある国です)に限定されるべきであると伝えてきました。


与野党の多くの議員との議論も、なかなか刺激的でした。エネルギー、安保、中国・北朝鮮など、政策の中身についてもつっこんだ議論が出来ましたが、最も印象深かったのが、労働党の党運営でした。かつては長期政権を維持した労働党ですが、ハワード政権の前に10年以上、野党暮しが続いています。政権奪取に向けた方法を聞いてみたところ、我々とは随分と違った考え方をしていることが分かりました。

労働党は、来年後半に予想される総選挙に向けて、すでにキャンペーンをスタートさせています。連邦議会での法案の賛否は、世論の動向を見て決めているということです。政府の出す法案に反対するときは、対案をだすのかと聞いたところ、意外にも、法案をつくるのは政府の仕事なのでそんなことはしないという答えが返ってきました。要するに、選挙にプラスにならないことはやらないということのようです。

ちなみに、民主党は法案に反対する時は、基本的には対案、少なくとも修正案を国会に提出します。成立の見込みの薄い議員立法を毎年100本近くつくっている民主党は真面目といえば真面目ですが、政権獲得にむけた執念においては、労働党に学ぶところ大であると感じました。労働党の考え方は、小沢代表のそれに少し通じるところがあるかも知れません。


党をあげて政権交代に執念を燃やす労働党ですが、クエスチョン・タイムを見ていると、保守連合を倒すことは簡単ではないとの印象を持ちました。クエスチョンタイムと言えば、日本では党首同士の一対一の質疑ですが、こちらでは多くの議員が口を挟むため、団体戦の様相を呈しています。さすがだったのがハワード首相。野党党首の発言を一蹴したうえで、的確に反撃していました。10年以上に渡って政権を維持している迫力は伊達ではありません。国会開催中は毎日あるというのですから、あれ位面の皮が厚くないと持たないのかも知れません。

日本でも秋には各党党首が決まり、来年の参議院選挙の顔が決まります。いよいよ来年は、民主党にとっては最大かつ最後のチャンスとなる政治決戦の年がやってきます。


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