細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

靖国問題

2006-07-29 22:27:02 | 国会活動
昨晩は、「朝まで生テレビ」に出演してきました。実際は、生ではなく、20:30から23:30まで録画取りをして、それをノーカットで放送するとのことでした。看板に偽りと言われても仕方がありませんが、出演する立場からすると有り難いです。

テーマは靖国問題でした。自民党からは山本一太参議院議員、武見敬三参議院議員。お二人とも、私にとっては旧知の間柄です。その他にも、右サイドから岡崎久彦氏、左サイドから姜尚中氏など、多彩なメンバーとの討論となりました。

これまでいくつかの討論番組に出演した経験がありますが、朝生の特徴は、3時間というまとまった時間があること、そしてカットされる心配がないということです。もちろん、発言をさえぎられて言いたいことを言えない場面もありましたが、そのへんのディベート技術を含めて、政治家としての力が試される番組だと感じました。


さて、靖国問題についての私の主張を要約すると以下の通りです。

靖国神社はもともと、軍人軍属を祀る施設としてつくられており、1978年に松平宮司がA級戦犯を合祀した時点で、神社の性格は変質している。合祀は、当時の厚生省の出したリストに基づいたもので、国と神社の共同作業で行われたもの。

日経がスクープした富田メモの検証は必要だが、昭和天皇はA級戦犯の合祀をきっかけとして、靖国参拝を中止された可能性が高い。また、戦中・戦前の戦争指導者が日本国民に対して大きな責任があるのは事実である(私は、中国・韓国など、海外からの批判に基づいて靖国問題を議論するべきではないと考えています)。

鎮魂の場所としての靖国神社を守るためにも、政治的な判断が必要である。天皇陛下も総理も、そして国民も、わだかまりなく参拝できる靖国神社に戻すために、靖国神社と国が知恵を絞るべきである。分祀については、神社本庁の中でも、遺族会でも見解が分かれており、元来、神社神道の持つ「おおらかさ」を考えれば、何らかの方法が見つかるはずである。


番組の中では、東京裁判を認めるべきかどうか、A級戦犯の法的扱いについても議論になりました。私は、戦争責任の問題と鎮魂の場としての靖国問題を分けて考えるべきと考えていますが、この問題についての私の見解は以下の通りです。

東京裁判の中身を調べれば、日本人なら誰でも「勝者の裁き」に憤りを感じます。ただ、戦争で負けた以上、また天皇制の存続を国民が望んだ以上、誰かが責任を取らなければなりませんでした。また、サンフランシスコ講和条約の11条では、判決(judgmentとは主文から事実認定、判決理由までのすべてを指します)を受諾すると書かれています。わが国は、東京裁判を受け入れるという苦渋の選択をすることで、国際社会への復帰を認められたのです。

この夏も、メディアを通じて、この問題が議論を呼ぶことは間違いありません。永田町でも、地元でもこの問題を話す機会を出来る限り設けていきたいと考えています。

安保理決議

2006-07-16 21:36:37 | 外交
今朝は、気になっていた安保理決議の結果をチェックすることから一日が始まりました。結果を知って安堵してから、町内ソフトボール大会に出かけました。仮に、中ロが拒否権を発動していたら、ロシアで行われているサミットは散々なことになっていたでしょう。それ以上に、6カ国協議は実質的には消滅、日朝の2国間協議にも期待できませんので、ミサイル問題が袋小路に入ってしまうところでした。


ちなみに、わが西本町内会は、5回コールドで18対1の大敗を喫してしまいました。3番セカンドで出場した私ですが、第一打席こそレフト前のクリーンヒットで出塁したものの(わが町内のヒットはこれを含めて3本だけでした)、2打席目はポップフライで凡退。守備でも、足元のライナーをポロリとするなど、良いところなし。こちらは、トホホとしか言いようがありません。


話を安保理決議に戻します。2週間近くに及んだ一連の攻防の中で、私が注目していたのは中国とアメリカの動きでした。

ミサイルが発射されたとき、私は民主党の訪朝団として中国にいました。これは私の直感ですが、北朝鮮がミサイルを発射することを、中国首脳(中国政府と言いたいところですが、中国の場合、共産党が政府以上に力を持っていますので、両者を含むと言う意味で「中国」と表記します)は事前に知らされいなかったようです。北朝鮮の説得に失敗したことで、中国の苛立ちと焦りは相当のレベルに達したものと思われます。

わが国にとって、安保理決議が全会一致で採択されたことは、北朝鮮に対する国際的な包囲網をつくる第一歩として評価できます。逆に北朝鮮の側からみると、中国が批判決議に賛成せざるを得ない状況を自ら招いたことは大きな戦略ミスと言えます。これから何らか理屈をつけて6カ国協議に応じてくるのか、それとも更なる強硬路線に走るのか。前者の場合は、いかに中国とこの問題で連携をできるかが最大のポイントとなります。後者は金正日にとって破滅への道であることは間違いありません。

日本にいると、中国は北朝鮮の立場を代弁しているかのように思えてきますが、北朝鮮問題は中国にとっても、相当に頭の痛い問題なのです。中国のジレンマを分かった上で、うまく手を差し伸べたのが米国のような気がしています。米国は日本と足並みを揃えて7章を決議に入れる努力をしたように見えますが、実際は日本に主張させておいて、中ロ、特に中国との妥協を主導しました。

米国は、ミサイル問題に対する安保理決議の駆け引きが行われている最中の13日、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ侵攻中止を求める決議案の採決で拒否権を発動しました。中ロも賛成したこの決議に米国が拒否権を発動したことに、それほど国際的非難があがっていないのはなぜか。こちらもミステリーですが、ちょうどイスラエルが武力行使に出たときに中東にいたにも関わらず、何一つできなかった小泉総理の外交を非難する声が国内で上がらないのは、実に不思議なことです。プレスリーの真似をした時点で、小泉総理の外遊が完全に卒業旅行であることを国民が納得してしまったということでしょうか?


話を元に戻します。国連の場で、米国を含め各国が国益を最優先して駆け引きをしていることを今更非難するつもりはありません。私が危惧するのは、中国ともロシアともまともな交渉ができず米国依存が露呈した小泉外交のつけは、どこかで払わねばならないのではないかということです。