細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

政権交代への「橋げた」

2008-05-28 11:04:48 | 国会活動
公務員制度改革の与野党協議が妥結しました。

昨日来、福田総理の決断、与党幹部の反乱、組合と民主党の関係など、いろいろなことが言われていますが、私が考えるポイントは二点に絞られます。

第一点は天下りです。民主党案と与党案の最大の違いは、天下り規制の有無にありました。民主がここにこだわっていたら、妥結の余地はありませんでした。

民主党は、当初から、現職の公務員制度改革と天下りを分けて考え、前者のみの合意を目指しました。逆に言えば、天下りは次期総選挙の争点として残ったことになります。この高等戦術は見事にあたりました。

第二点のポイントは、幹部人事の一元化です。渡辺大臣は当初、内閣による幹部人事の作成を提案しましたが、霞ヶ関の抵抗にあって「妥協の産物(渡辺大臣答弁)」で各府省の作成を提案してきました。民主党の提案を受けて、巻き返したかたちです。

労働三権の問題に隠れていますが、霞ヶ関が与党幹部を巻き込んで最後の抵抗を試みたのが、幹部人事の一元化でした。各府省が権限を手放すことは、霞ヶ関にとってあり得ないことだったわけです。

民主党が政権を取った後に、一から公務員制度改革をやるのは、霞ヶ関の抵抗を考えると至難の業です。政権交代に向けて、行革と政治主導の「橋げた」をかけられたことに、ホッとしています。

先週来、あちらこちらから玉が飛んでくる中、あらゆる手段を駆使して、与野党交渉に奔走した交渉担当者には心より敬意を表したいと思います。

田中派直伝

2008-05-26 22:19:13 | 国会活動
街頭演説500回後援会訪問5,000件9月までに自分に課したノルマです。自民党田中派直伝の地元活動です。

今日は街頭3回。後援会訪問80件

5月10日からカウントしだしたのですが、今日までに街頭演説24回。後援会訪問は283件しか行っていません

決めたからにはやり遂げる!このブログに書いた(書いてしまった!)からには、やるしかありません。国会を犠牲にするわけにはいきませんので、本格的なチャレンジは、通常国会が終わる6月15日からです

熱い夏が始まります

保守政党とは何か

2008-05-24 23:46:45 | 国会活動
舛添要一厚生労働大臣の逆襲です。

週末の政治番組で、終末期相談支援料の導入の凍結を説明しているようです。国会答弁や記者会見ではなく、テレビに出演して説明するところが、舛添大臣らしいやり方です。

終末期相談支援料とは、75歳以上の高齢者と65歳以上の身体障害者から終末期医療の医療方針で一筆取れば、医者に診療報酬2000円というものです。延命治療を断らせることが出来れば、医療費の削減に直結するというわけです。

高齢者や身体障害者を取り巻く環境は様々です。家族や周辺に負担をかけていることを心苦しく思っている方も数多くおられます。医者から終末期医療について尋ねられた時に、自主的な判断が出来るかどうか?一律導入を強行する今回の提案は、いかにもデリカシーを欠いています。

凍結は当然でしょう。


むしろ、問題なのは、後期高齢者制度の骨格は今後も維持しようとしていることです。

ここへ来て、後期高齢者制度の本当の姿が明らかになってきました。これまで、政府が説明してきた国と高齢者と現役世代の助け合いという代物ではありません。

これからご紹介するのは、従来の制度が継続した場合と、後期高齢者医療制度を比較した平成20年度の数字です。

○老人医療費全体
11兆8700億円→11兆3700億円(5000億円
道路は守るが、医療費はもったいない!

○そのうち国負担分
6兆8700億円→5兆9100億円(6200億円
国の削減幅は強烈!驚きです

○高齢者患者負担分
1兆200億円→1兆1000億円(800億円

○若年者保険料分(いわゆる支援部分)
3兆4400億円→3兆5500億円(1100億円

○老人負担分
1兆9000億円→1兆9100億円(100億円

要するに、国の負担が減少する一方で、個人は若年層、高齢者層ともに負担が増加することになります。


更に、深刻なのは、今後益々高齢者の負担が増すことです。

厚生労働省の試算によると、平成20年度の後期高齢者の一人あたりの所要保険料は6.1万円なのですが、平成27年には8.5万円まで跳ね上がります。団塊の世代が「後期高齢者」となる時には、更に保険料が上がることになります。


後期高齢者医療制度は、一体どのような結果を日本社会にもたらすのでしょうか?

特に「後期高齢者」に該当する世代は、戦中戦後最も苦労した方々です。先日、小山町の祭りで、84歳と83歳のおじいさんに呼び止められました。祭りに顔を売るつもりで行ったのですが、その場を動くことが出来ませんでした。

「我々には青春がなかった」
「南方から生きて来れたのは奇跡と言われた」
戦争体験は、我々の想像をはるかに超えています。

「この歳になって負担を求められるのは、なぜか?」
この問いかけには、応えに窮してしまいました。

思い出したのは、祖父のことです。明治生まれの私の祖父には、自ら従軍経験がありましたし、兄弟を戦争で失っていました。ただ、私が何度聞いても、戦争の話をしたがりませんでした。亡くなった今となっては知るよしもありませんが、孫にも、もしかしたら孫だからこそ、苦しい戦争体験を話したくなかったのかも知れません。小山で出会ったお二人の話は、祖父からの遺言のような気さえしました。

話を元に戻します。後期高齢者医療制度は、高齢者には「疎外感」を与え、若者には「負担感」をもたらします。このような制度を導入すると、やがて世代間の争いが激しくなるでしょう。

これまで日本は、「長幼の序」を重んじる社会、「長寿を祝う」社会を維持してきました。今こそ自民党に問わなければならないのは、「保守政治とは一体何なのか」ということです。党のアイデンティティーを喪失した自民党に、これ以上、政権をたらい回しにさせるわけにはいきません。

今こそ、民主党の出番です。

国会議員の本分

2008-05-21 11:43:54 | 国会活動
この二日間は、国会で大忙しです。

昨日は、宇宙基本法の答弁で久々に参議院に行ってきました。参議院に行くと、水は出てくる(衆議院は自分で汲みに行きます。参議院では、何とコーヒーが出てくることもあるそうです)は、自席での発言が認められている(衆議院は発言席に移動します)は、採決は挙手ですむ(衆議院は起立です)は、随分と文化が違います。委員部のスタッフも何とはなしに穏やかな対応で、久々に「貴族」の気分を味わいました。

ちなみに、本日、参議院の本会議で採決され、宇宙基本法は成立しました。

今日は、ダブルヘッダー(国会質問2回)です。朝9時からは、一年ぶりの内閣委員会。天下りや公務員制度改革について、渡辺大臣とやりとりしてきました。

省庁の縦割り克服、独立行政法人改革、埋蔵金・・・。渡辺大臣が難題に挑戦していることは分かるのですが、答弁の踏み込み具体は今ひとつでした。官僚と族議員という強力な抵抗勢力が控えているだけに、あのあたりが限界なのでしょうか?

渡辺大臣にとって、抵抗勢力が「後門の狼」だとすれば、民主は「前門の虎」ということになるのでしょうか?そうはならないように、相当気を使ったつもりではあるのですが・・・。

公務員制度改革については、いよいよ与野党協議が始まります。個人的には、修正を勝ち取って、何とか半歩でも前進させたいと思っているのですが、間に合うかどうか?本音では、今国会での成立を阻止して、内閣改造で渡辺大臣が交代するのを心待ちにしている勢力がいるだけに、予断を許しません。

10時過ぎからは、文部科学委員会で質問しました。これまで、ほとんどの委員会で質問に立ったことがあるのですが、振り返れば、文科では初めて質問だったかも知れません。

ネタは、文化庁、博物館の調達です。この世界は、素人が口を出しにくい世界なのですが、慎重に突っ込みを入れてみました。それなりに面白いやりとりになりました。興味のある方はネットでご覧いただけます。

がんばれ!国際活動援助隊

2008-05-18 20:55:25 | 外交
四川大地震の死者は三万人を超えそうな状況です。犠牲になられた皆さんに、心よりお悔やみ申し上げます。

国民の命が危機にさらされている時こそ、国家の役割が問われる時です。国民本位の政治への転換と言う大きな岐路に立たされていた中国政府は、正念場を迎えています。

13年前。阪神淡路大震災で、日本政府も厳しく問われました。政治家が決断できず自衛隊の出動が遅れたこと。国・県・市の連携の悪さで届かない救援物資。

私は現地でボランティアのコーディネーターをやっていました。政治に対するもどかしさを感じる一方で、日本人というのは素晴らしい資質を持っていると確信することが出来ました。水にすら困っている状況にもかかわらず、コンビニに整然と並ぶ被災者。続々と現地に入ってボランティアに全力を尽くす若者達。

個人としては素晴らしい資質を持っている日本人が、政府ということになると動かないのはなぜか。私が政治を志した原点の一つはここにあります。

わが国は多くの国に助けられて大震災から立ち直りました。日本政府は、援助に協力してくれた国々に対して感謝広告を新聞にうちました。本当にありがたいと思ってその新聞を見たものです。

あれから13年。わが国は、国際活動援助隊を海外に送れるまでになりました。時間が経過している状況で、日本の援助隊がどこまで命を救えるかは定かではありません。しかし、間違いなく言えることは、日本人が中国の被災者を救うために汗をかいている姿が、中国の国民に強い印象を与えることです。

がんばれ、日本の国際活動援助隊!中国の国民のために!

福田政権の自己矛盾

2008-05-13 19:09:54 | 国会活動
福田政権は、午前中に21年度から一般財源化を閣議決定、午後から道路特定財源を10年間延長する法案を衆議院で再議決しました。

政策の是非はさておき、よくもまあ、ここまで明確な自己矛盾を飲み込んだものです。言論で勝負を挑んだ民主党が国民からどのように映ったか、気がかりです。

平成18年12月8日。当時の安倍内閣は、
「道路特定財源の見直しに関する具体策」と称する文章を閣議決定しています。
曰く
「歳出削減を徹底」
「一般財源化を前提」
その後、閣議決定が無視されたことは、今や明らかです。

国権の最高機関である法律には法的拘束力がありますが、閣議決定違反には拘束力はありません。今日、決定した矛盾する二つのうち、政府を拘束するのは道路財源を10年間延長する法案の方です。

そもそも、福田政権が来年の予算編成まで持つかどうかも定かでありません。その場しのぎの言い逃れにすぎないことに国民はとっくに気がついています。

明日の朝8:00から、スーパーモーニングに出演します。今日の政府与党のまやかしを明確に指摘してきたいと思っています。

道路政局もクライマックス

2008-05-12 20:24:34 | 国会活動
参議院で道路財源の10年間延長法案が否決されました。いよいよ明日は、衆議院での再可決が行われそうです。

ブリッジ法案、ガソリン値上げでは、メディアから激しい批判を浴びながらも民主党は徹底抗戦路線を貫きました。地元では、皆さんから厳しいご意見を頂いていますが、民主党がここまで踏ん張ったからこそ、道路の無駄遣い、福田政権・自民党の問題点が浮き彫りになりました。このことは胸を張って良いと私は考えています。

ただし、ここまで福田政権の問題点が明らかになった以上、今後問われるのは、民主党が日本をどのように引っ張っていくのかということです。

国会は言論の場です。日本人は、古来から言葉を大事にしてきました。明日の本会議では、正々堂々と国会に出て、わが党の主張を国民に皆さんに発信したいと考えています。

宇宙基本法

2008-05-09 15:28:20 | 国会活動
GPSなどの地図情報、津波やサイクロンの災害予測、資源の埋蔵量、農産物の作柄など、今や、宇宙からもたらされる情報は、国民生活、そして国益に大きく関わっています。

今日、衆議院の内閣委員会で宇宙基本法が可決されました。宇宙政策に本格的に関わりだして2年。ようやくここまでこぎ着きました。

今日は、久々に法案の答弁に立ちました。攻撃型でいくことが多い質問とは異なり、守りの堅さが求められる答弁は、勝手が違います。

法案の最大のポイントは、宇宙政策の一元化にあります。これまでわが国の宇宙開発利用は、科学技術を扱う文科省、情報通信を所管する総務省、産業振興に関心がある経産省、気象や地理情報を扱う国交省などでバラバラに行われ、戦略性を欠いていました。

内閣に宇宙開発戦略本部が設置されることで、資源、環境、食糧、災害、そして専守防衛に限定した国防など、様々な宇宙開発利用を推進する体制が確立されます。

途中、権限を失う文科省の抵抗や、軍拡に対する懸念の高まりなど、様々な障害がありました。ここまで来たからには、参議院での審議、法の執行状況の確認など、フォローアップをしっかりやりたいと思います。

得意の山猫登場

2008-05-07 22:45:04 | 外交
胡錦濤国家主席と直に接するのは3回目。北京での2回の会談と比較すると、表情も表現もやわらかい印象です。

自ら、中国国内の「アンバランス」の解消に言及した胡錦濤国家主席と、「変わらずに生き残るために、自ら変わらなければならない」(小沢代表の十八番のイタリア映画「山猫」のせりふ)との言葉を送った小沢代表とのやり取りは、なかなか興味深いものでした。餃子やガス田など、個別問題でどこまで突っ込んだやり取りをするか?外交権を持たない野党のなすべき外交とは何か、いつも考えさせられます。

首脳会談では、東シナ海のガス田問題で進展があったとされています。この問題では、国会で政府を後押しして来ただけに、福田総理には是非とも結果を出してもらいたいと思います。

日本の懐の深さ

2008-05-06 18:13:47 | 外交
胡錦濤国家主席が来日しました。

明日午前、福田総理との首脳会談。午後には小沢代表との会談も予定されています。小沢代表との会談には、記者ブリーフ役で私も同席します。民主党は、昨年の訪中で、中国共産党の大歓迎を受けました。今回、胡錦濤氏は、共産党第一書記としてではなく、国家主席として来日しています。国家主席が、外交権のない民主党代表とも会うというのは、彼らなりのメッセージと受け取っています。

主席は、日本のメディアに、今回の訪問を「暖かい春の旅」と表現したそうですが、今の日本国内の中国に対する眼差しは、「暖かい」とは言いがたいものです。

ここ数年、日中関係を注視してきた私としては、東シナ海のガス田、餃子、チベット(人権)で、何らかの進展があることを期待しています。福田総理がどういった発言をするのか、注目されます。個別の問題で口を閉ざすことが真の友好関係だとは私は考えていません。

一方で、中国政府が国家的威信をかけて臨む北京オリンピックに関しては、成功への協力を日本として惜しむべきではありません。気になるのは、北京オリンピックの混乱を望むかのような風潮が日本国内にあることです。


アジアで始めた開催された1964年の東京オリンピックを、北京オリンピックと比較して紐解いて見ると、興味深いものが見えてきます。

私は未だこの世に生を受けていませんでしたが、東京オリンピックは、戦後の日本人に誇りと自信を取り戻させる象徴的な出来事でした。明治生まれの祖父や、戦中生まれの両親が、オリンピックがあるたびに、誇らしげに東京オリンピックのことを話していたのを思い出します。

北京オリンピックで大騒ぎの火種となっている聖火ですが、東京オリンピックでは、東南アジア諸国を回りそこそこの歓迎を受け、大戦の和解に一役買ったようです。

日本がOECDに加盟し、先進国の仲間入りをしたのも1964年。その後、1975年から始まったサミット(当時はG6)の参加国にもなっています。現在、中国はOECDに加盟していませんし、サミットの正式参加国でもありませんが、国際的な存在感の高まりは、当時の日本を大きく凌いでいます。

仮に、東京オリンピックが失敗に終わっていたら、日本が国際社会の重要なプレイヤーになっていたかどうか、また、日本人の中に国際社会に貢献したいという思いが生じていたかどうか、疑わしいものがあります。

さて、話を北京オリンピックに戻します。チベット問題に端を発した聖火の混乱を見ると、中国政府にも原因があることは間違いありません。オリンピックを通じて、中国政府にも、そして中国人にも、人権問題や環境問題にしっかりと目を向けてもらいたいと強く思いますし、わが国としてもそれを求めていくべきです。

しかし、オリンピックの失敗(中国政府は大抵のことは「成功」と総括しますが・・・)は、決して世界にとって、特にアジア諸国にとって望ましい結果を生み出すものではありません。

第一に、中国政府および中国人の中に、国際社会に対する敵愾心を植えつける懸念があります。中国は、国連の常任理事国であり核保有国、そして地球温暖化のキープレイヤーです。中国には、何としても国際社会における責任あるプレイヤーになってもらわねばならないのです。

現共産党政権の威信の失墜も、深刻な問題です。戦中の武勇伝を持たない指導者層が失脚するようなことにでもなれば、中国国内が混乱することも考えられます。これは悪夢以外何ものでもありません。

ちなみに、1964年、日本と国交のなかった中国は東京オリンピックには参加していません。それどころか、オリンピックの最中に、場外で、初の核実験を行って世界を震え上がらせています。

私は、日本人の特長の一つに、「しなやかさ」「寛容さ」があると思っています。「江戸の敵を長崎で取る」かのような中国バッシングは、本来の日本の姿ではありません。

2008年の夏、隣国で行われる世界の祭典。試されているのは、中国政府だけではありません。あれから44年。国際社会に暖かく迎え入れられたわが国が、どれぐらい懐の深い国となったのか。我々も試されています。