原発事故から一年半が経過し、福島の苦しみは今も続いています。昨日は、いわき市にある富岡町の仮設住宅を訪れました。狭い仮設住宅の中で、肩を寄せ合って生活する方々の声は切実でした。政府の責任者の一人として、本当に申し訳なく思います。
狭い仮設での生活は限界が来ています。「仮の町」の建設が急がれます。これは、政府全体で取り組むべき課題です。
健康不安を訴える方が数多くおられました。包括的な健康管理ができる体制をつくるだけでなく、健康相談を気軽に行える環境を整えなければなりません。除染よりも賠償を優先してほしいという人が圧倒的多数でした。やはり、賠償は最優先課題です。最後に声をかけて下さった85歳のおばあさんの「家で死にたい」という声に、応える言葉が見つかりませんでした。やはり、除染も国家の責任です。
苦しい環境にありながら、そして、我々の対応が至らないにも関わらず、「大臣がんばれ!」と送り出して下さった富岡の皆さんの思いに応えたい。そうでなければ、私が政治家になった意味はありません。
代表選挙への出馬の要請を受けました。国難に遭遇するわが国の状況、混迷する政界、そして、民主党の窮状。その重責を考えると、私のような若輩には、「畏れ多い」の一言です。それでも、多くの方々から要請を受け、真剣に考え抜き、結論を出しました。
原子力規制委員会の発足、エネルギー環境政策、被災地のガレキなど、代表選挙の最中に佳境を迎える仕事が残っています。中でも、福島のことを蔑ろにすることは許されないという思いが、出馬を踏みとどまった最大の理由です。
大災害から一年半。最も苦しい立場にあるのは福島の方々です。しかし、最近になって、東北以外では、時として永田町ですら、福島が風化してきているのではないかと感じることがあります。
「北島康介選手を手ぶらで帰らせるわけにはいかない」という言葉を残した水泳のチームジャパン。再び頂点を目指して最後までチーム一丸となって戦ったなでしこジャパン。ロンドン五輪で、日本はチームワークで世界と戦い、その姿に日本中が喝采を送りました。チームワークは、多様なメンバーが、弱点を補い合ってこそ成り立ちます。昨年の大災害を経て、日本という国のチームワークの強さが試されているのではないか。
政府だけで、できることは限られます。福島を旅行し、福島の美味しいものを食べるもよし。福島のNPOを支援するもよし。福島でビジネスにチャレンジするのもよし。私は、自らできる限りのことを実践し、国民にも呼び掛けていこうと思います。
福島の復興は、世界に対してわが国が発信することができる最も明るい、そして誇るべきメッセージのはずです。
野田総理の「決断する政治」は素晴らしい。ただし、エネルギーにしても、復興にしても、政治家だけでできることは限られます。素晴らしい資質を持ち、チームワークを重んじる国民に、協力と参加を真摯に呼びかける。ここに、民主党再生のヒントがあるような気がしています。