細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

環境アセスメントの迅速化

2012-08-26 17:36:11 | 国会活動

環境アセスメントを教科書的に解説すると、「開発事業の内容を決めるに当たって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表して一般の方々、地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です(環境省のパンフレットより抜粋)」となります。

開発業者からは、この環境アセスメントが開発の妨げになっていると、しばしば、やり玉にあげられます。私が環境大臣になってからも、アセスに5年以上かかるので、再生可能エネルギーの開発なんかできっこないといった声が聞こえてきました。ただ、実際は環境アセスに5年もの時間はかかりませんので、地元住民の合意を取るのにかかっている時間も含めて計算されているケースが多いようです。いわば、環境アセス悪玉論です。もちろん、環境アセスは、過去の反省を踏まえて整備されてきた制度ですので、大切にしなければなりません。

 

一方で、環境アセスの手続きについては、これまで、効率的な運用がなされてきたとは言い難いところもありました。

今回、私が、まずは手続きを迅速化したかったのは、火力発電所の設備の更新、いわゆるリプレイスです。昨年の原発事故を受けて、休止していた火力発電所が数多く立ち上がりました。その中には、何と、1960年代の石炭火力発電所もあります。急場しのぎとしては仕方がないこととはいえ、温暖化防止の観点から見過ごすことはできませんし、環境基準をクリアーしていはいても大気汚染防止の観点から、好ましいことではありません。

リプレイスすれば、環境への影響を軽減することができるのだから、環境アセスは必要ないのではないかと感じる方もいると思います。実は私も最初はそう思ったのですが、開発業者の意見も聞いた上で、やはりアセスの手続きは踏んだ方が、地元の理解も得られやすいと判断しました。リプレイスについては、自治体と業者の協力が得られれば、アセスの期間を一年強まで短縮できそうです。

私が力を入れている地熱や、風力についても、3年程度かかっていた環境アセスを半分程度まで短縮します。発想は、国立公園の地熱開発と同様です。地域の環境保全は大切です。それと同時に、地球全体の環境を考えた場合、再生可能エネルギーの開発は待ったなしです。今回の迅速化で、その両立を目指します。

 

環境大臣に就任して一年。何とか仕上げたい仕事があります。また、仕上げることはできなくても、道筋だけでもつけたい仕事があります。一日一日が、本当に大切になってきました。


環境大臣から みなさまへのお手紙

2012-08-13 21:09:48 | 国会活動

環境省の使命は、「子どもたち、孫たちが、安心して暮らせる環境を取り戻す」ことです。

がれき処理、除染、福島の健康管理など、環境省は使命を果たすべく、全力で取り組んできましたが、同時に、国民の間で多くの論争を巻き起こしてきました。

疑念を抱かせてしまったことにお詫びし、説明の仕方を変えるためのお手紙を環境大臣として出しました。これから、何回かに分けてお手紙を出しますので、ご覧ください。


エネルギーミックス

2012-08-12 23:12:42 | 国会活動

3月12日の1号機水素爆発

3月14日の3号機水素爆発、2号機の深刻化。そして、撤退問題

3月16日から17日にかけての、燃料プールへの自衛隊機の放水失敗と成功

すでに、東京電力福島第一原発は最悪の事態を迎えていましたが、私は「最悪の最悪」は何かを知る必要があると考えるようになっていました。4号機燃料プールが干上がるという「最悪の最悪」のシナリオの作成を依頼したのはそのためです。原子炉の水素爆発という極めて考えにくい仮定に基づいたシナリオでしたが、あえてそれをつくることで、「最悪の最悪」を阻止することに、死力を尽くしました。

今でも数日に一度は、あの時のことを思い出します。それは、苦い檻のような記憶です。国家の存亡をかけた戦いを身を持って体験した政治家は数人。私は、その一人です。

対応を誤ると国家の存続を危うくする原発。わが国は、原発を完璧にコントロールすることはできるのか?そして、原発にどこまで依存するのか?

エネルギーは国の生命線です。電力は国民生活に直結しています。現実を見極める視点が必要です。

判断しなければならない時が迫っています。


省エネルギー・再生可能エネルギーの可能性

2012-08-04 23:02:14 | 国会活動

仙台、福島に続き、今日は高松での意見聴取会に出席してきました。

いずれの会場でも、発表者の方々の発言は聞きごたえがありました。今日の高松での聴取会では、各シナリオの発言者に会場から拍手が出ました。議論がかみ合った感がありました。

どの会場でも、注目が集まるのは原子力の割合です。この判断は、本当に難しい。

私としては、もう一つ注目してもらいたいのが省エネルギーと再生エネルギーです。いずれのシナリオでも、2030年時点で、省エネは2割、再エネは3割前後という高い水準を目指します。問題は、これをプラスとみるかマイナスとみるかです。私は、断固としてプラスとみます。

 

短期的には、夏の省エネは苦しいですが、家庭の省エネは、生活を見つめ直す機会になります。ただ、熱中症には、気を付けなければなりません。産業界にも、当面は厳しい省エネに取り組んでもらわねばなりません。そこを乗り切ってエネルギー効率を高めることができれば、国際的な競争力をもう一度、高めることができます

 

短期的には電気料金を上昇させる再エネにですが、そこには未来の可能性があります。自民党政権下で導入された定量買い取り制度(RPS)で、再エネは抑圧されてきました。菅政権下で、固定価格買取制度(FIT)が導入され、再エネは生き返りました。

家庭では太陽光発電。再エネを生かすには蓄電も重要です。

オフィスや工場では自家発電とコジェネの組み合わせでしょう。

地域では、風力、バイオマス、廃棄物、小規模水力。被災地では、再エネは地域振興策としての期待が高まっています。野田政権は、それを全力で支援します。

 

国家的に進めるべき再エネは地熱です。私は、環境大臣として国立公園での地熱発電を再開する決断をしました。昭和47年から制限されてきた開発を解禁する大きな政策転換です。国立公園を守ってきたレンジャー(自然保護官)を説得するには時間がかかりましたが、彼らは分かってくれました。わが国が化石燃料に回帰することで、温暖化を進めることはできません。目指すは、わが国の生物多様性と国立公園の素晴らしい景観を守りながらの開発です。温泉をこよなく愛する日本人。私も温泉マニアです。先日訪れた柳津西山地熱発電所は、名湯・西山温泉との共生を実現していました。地熱は、間違いなく日本のベース電源になります。

かつて、わが国では地熱の研究が盛んでした。何としても、もう一度、力を結集しなければなりません。最初にチャレンジすべきは、福島の磐梯朝日国立公園です。高温岩体発電にも、もう一度チャレンジすべきです。

洋上エネルギーにも、国家として取り組むべきです。環境省は、五島列島で浮体式の洋上風力にチャレンジしています。波力、潮力、海流、温度差発電も面白い。

将来は宇宙太陽光。私は、これが実現できれば、日本はエネルギーの輸出も可能だと考えています。再エネこそ、国家プロジェクトとして取り組むべきテーマです。

 

かつて、大規模集中だった発電方式は、小規模分散・地産地消に向かいます。その時に、欠かすことができないのは、国民の協力です。意見聴取会を通じて、その機運の高まりを実感しました。平成のエネルギー危機は、必ず、乗り越えることができます!