細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

保守政党とは何か

2008-05-24 23:46:45 | 国会活動
舛添要一厚生労働大臣の逆襲です。

週末の政治番組で、終末期相談支援料の導入の凍結を説明しているようです。国会答弁や記者会見ではなく、テレビに出演して説明するところが、舛添大臣らしいやり方です。

終末期相談支援料とは、75歳以上の高齢者と65歳以上の身体障害者から終末期医療の医療方針で一筆取れば、医者に診療報酬2000円というものです。延命治療を断らせることが出来れば、医療費の削減に直結するというわけです。

高齢者や身体障害者を取り巻く環境は様々です。家族や周辺に負担をかけていることを心苦しく思っている方も数多くおられます。医者から終末期医療について尋ねられた時に、自主的な判断が出来るかどうか?一律導入を強行する今回の提案は、いかにもデリカシーを欠いています。

凍結は当然でしょう。


むしろ、問題なのは、後期高齢者制度の骨格は今後も維持しようとしていることです。

ここへ来て、後期高齢者制度の本当の姿が明らかになってきました。これまで、政府が説明してきた国と高齢者と現役世代の助け合いという代物ではありません。

これからご紹介するのは、従来の制度が継続した場合と、後期高齢者医療制度を比較した平成20年度の数字です。

○老人医療費全体
11兆8700億円→11兆3700億円(5000億円
道路は守るが、医療費はもったいない!

○そのうち国負担分
6兆8700億円→5兆9100億円(6200億円
国の削減幅は強烈!驚きです

○高齢者患者負担分
1兆200億円→1兆1000億円(800億円

○若年者保険料分(いわゆる支援部分)
3兆4400億円→3兆5500億円(1100億円

○老人負担分
1兆9000億円→1兆9100億円(100億円

要するに、国の負担が減少する一方で、個人は若年層、高齢者層ともに負担が増加することになります。


更に、深刻なのは、今後益々高齢者の負担が増すことです。

厚生労働省の試算によると、平成20年度の後期高齢者の一人あたりの所要保険料は6.1万円なのですが、平成27年には8.5万円まで跳ね上がります。団塊の世代が「後期高齢者」となる時には、更に保険料が上がることになります。


後期高齢者医療制度は、一体どのような結果を日本社会にもたらすのでしょうか?

特に「後期高齢者」に該当する世代は、戦中戦後最も苦労した方々です。先日、小山町の祭りで、84歳と83歳のおじいさんに呼び止められました。祭りに顔を売るつもりで行ったのですが、その場を動くことが出来ませんでした。

「我々には青春がなかった」
「南方から生きて来れたのは奇跡と言われた」
戦争体験は、我々の想像をはるかに超えています。

「この歳になって負担を求められるのは、なぜか?」
この問いかけには、応えに窮してしまいました。

思い出したのは、祖父のことです。明治生まれの私の祖父には、自ら従軍経験がありましたし、兄弟を戦争で失っていました。ただ、私が何度聞いても、戦争の話をしたがりませんでした。亡くなった今となっては知るよしもありませんが、孫にも、もしかしたら孫だからこそ、苦しい戦争体験を話したくなかったのかも知れません。小山で出会ったお二人の話は、祖父からの遺言のような気さえしました。

話を元に戻します。後期高齢者医療制度は、高齢者には「疎外感」を与え、若者には「負担感」をもたらします。このような制度を導入すると、やがて世代間の争いが激しくなるでしょう。

これまで日本は、「長幼の序」を重んじる社会、「長寿を祝う」社会を維持してきました。今こそ自民党に問わなければならないのは、「保守政治とは一体何なのか」ということです。党のアイデンティティーを喪失した自民党に、これ以上、政権をたらい回しにさせるわけにはいきません。

今こそ、民主党の出番です。


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