細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

限定正社員 社会保障制度改革の必要性を訴える

2013-07-15 23:56:07 | 国会活動

安倍政権が導入に意欲を燃やす限定正社員。

ワーク・ライフ・バランスや能力の向上、雇用ニーズの多様化、産業構造の変化に伴う雇用の流動化などが導入の理由にあげられていますが、背景には人件費をコストと捉える考え方があります。企業にとってはその通り かもしれませんが、働く側から考えたら、たまったものではありません。それぞれの人には生活があり、家族があります。そちらから考えた場合、限定正社員の導入は望ましいことではありません。私は以下の理由から限定正社員の導入には賛成できません。

第一に、正社員よりも首が切りやすい不安定な雇用を増加させます。わが国では、非正規雇用の広がりに加えて、若年層を使い捨てするブラック企業の登場など、雇用環境は悪くなっています。さらに、労働規制を緩和することは、その動きを加速させる可能性があります。

第二に、インフレ下で給与が下がるという最悪の事態を招く可能性があります。安倍総理はデフレを克服し、2%の物価上昇を掲げています。給与の引き上げが必要な時に、給与が下がる社員を新たにつくるのは矛盾しています。

第三に、職場に正社員、限定正社員、パートや派遣社員という3つの階級が生まれることです。日本人はチームワークを大切にすることでクオリティの高い製品やサービスを生み出してきました。私は、均等労働均等待遇の原則を確立することで、もう一度、職場を一つの社会として機能させるべきだと考えています。子育てを終えた女性の再就職、シニア世代の多様な就労もこの原則に基づいて対応することができると考えます。

非正規雇用2042万人(2012年10月1日)。

雇用者の38.2%を占めるに至っています。この衝撃的な数字は、参議院選挙の争点としても浮上してきています。5年に一度行われている就業構造基本調査によると、5年前の福田政権の時が1889万人、10年前の小泉政権の時が1620万人。この10年で非正規雇用は26%も増えたことになります。背景には、小泉政権の時に行われた労働者派遣法の規制緩和などがあります。

小泉政権の時、景気は回復し企業は利益をあげましたが、勤労者の平均給与は大きく下がりました。非正規を増やすことは個別の企業の行動としては合理的でも、国全体で見ると雇用の劣化は深刻な影響を及ぼします。この10年でみても、低所得の若年層が多くなったことで、非婚化、少子化が加速してきました。数百万人の人が勤めていながら被用者年金にも健康保険組合にも入れないという状況は、社会保障制度の根幹を揺るがしています。

民主党政権では日雇い派遣を禁止するなど、労働規制の強化を行いましたが、非正規雇用の増加は止まっていません。 雇用の流動化には、不安定雇用を増やすのではなくて、転職を目指す人たちを支援する政策で対応すべきです。特に、民主党政権が推進してきた生活援助を受けながら職業訓練を受けられる求職者支援制度の充実は、有効だと思います。

わが国が前提としてきた「正社員を前提とした雇用政策」や「社会保障制度」は、もはや現実的ではなくなっています。やはり、社会保障制度を抜本的に改革するべきです。



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