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スティーヴン・ソダバーグ監督『チェ 28歳の革命』

2010-01-26 15:58:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、スティーヴン・ソダバーグ監督の'08年作品「チェ 28歳の革命」を見ました。
 国連の会議に出席するためにアメリカを訪れインタビューを受けるゲバラ。画面は変わり、1956年にメキシコからキューバに渡るゲバラとカストロたち。ジャングルの中の行軍で喘息の発作を起こすゲバラ。兵営を襲い、負傷者の治療をするゲバラ。農民を診察し、脱走兵を処刑するゲバラ。国連演説をするゲバラ。敵襲に遭うゲバラの部隊。新兵を訓練するゲバラ。他の組織と共闘でき、次々に町を制圧し、ついに激烈な市街戦を制してサンタ・クララを制圧すると、バティスタは亡命し、革命は成功するのでした。
 アメリカを訪問している時のシーンは白黒で、革命戦争のシーンはカラー。これが交互に出て来るという構成になっていました。エピソードは単発的でストーリーはばらばらの印象である上、ゲバラを演じる役者の人相が悪いのが致命的だった気がしますが、風景の美しさは特筆ものでした。熱帯の美しい風景を見るだけでも見る価値はあるかもしれません。

梶山季之『せどり男爵数奇譚』

2010-01-25 18:42:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、梶山季之さんの'74年作品「せどり男爵数奇譚」を読みました。作家である私が出会った古書収集家の「せどり男爵」が語ったエピソード集です。
 学生時代に信州に療養しに行った時、「謡曲百番」という古書に出会い、未亡人から探していた端本を譲ってもらった話、仙台のクズ屋で初版が発禁になった「ふたんす物語」を見つけ、蔵書票を剥がすと持ち主が子孫に残した財産の隠れ場所が書いてあったのですが、現場にはマンションが建ってしまっていたという話、ソウルに古書を探しに行って、資産家に稀観本を箱5つ分も貰った話、シェークスピアの初版本を手に入れるため、裁判まで起こした占領軍士官の夫人の話、キリシタン本を手に入れるため、放火・殺人を犯した大学教授の話、装丁に凝るあまり人皮に手を伸ばし、最後には自分の性器の皮で本を装丁する装丁家の話からなっています。
 圧倒的にすごいのはやはり最後のエピソードで、「黒髪」という本には髪の毛がついた状態の若い女性の頭皮を使ったり、「愛の乳房」という本には表紙と裏表紙に本物の乳首がついていたりという猟奇的な話で、このエピソードだけが突出していました。全体としては19世紀的な小説でしたが、文体が読みやすかったことで最後まで読めたのだと思います。本をめぐる奇妙な話を読んでみたい方にはオススメです。

リチャード・フライシャー監督『ゲバラ!』

2010-01-24 12:10:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、リチャード・フライシャー監督の'69年作品「ゲバラ!」を見ました。
 ゲバラ(オマー・シャリフ)の死体をヘリで搬送する兵士たち。それにかぶさるゲバラの独白。キューバのバチスタ政権に虐殺された男たちの寡婦らと警官隊の衝突。キューバのジャングルに上陸したカストロ(ジャック・パランス)率いる反乱軍に、喘息の発作を起こした軍医のゲバラは遅れます。政府軍の急襲で軍の大半を失い、ゲバラも負傷しますが命は取り留めます。残った17名で政府軍の駐屯地を襲い、ゲバラの活躍で武器庫を奪い、その後は豊富な弾薬を使って政府軍を撃破していきます。ゲバラはカストロに認められ隊長に昇進しますが、厳格な部隊統制を行い、スパイの疑いがかかるものは容赦なく処刑します。戦略もゲバラがカストロに進言し、やがてハバナを攻略し革命は成功します。パレードするカストロと、ゲバラの指示で行われる大量処刑。ゲバラは人民軍を創設し、アメリカに対抗するためにソ連によってミサイル基地を建設させることにしますが、ケネディにカストロが敗れたことから彼と決別し、ボリビアに戦いの地を求めます。しかしボリビア人の革命軍と反目し、やがて孤立したゲバラの軍は農民からの略奪も始め、最後には農民の通報によりボリビアの政府軍に捕らえられ、ボリビアに死刑がないためにその場で射殺されるのでした。
 ゲバラの死体処理の経過と、ゲバラのゲリラ活動に、関係者の証言(役者が演じています)が挿入されるという構成でした。ゲバラの残忍さが強調されて描かれていたと思います。アメリカ映画が描くゲバラ像に興味のある方にはオススメです。

開高健『戦場の博物誌』

2010-01-23 18:22:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、開高健さんの'82年作品「戦場の博物誌」を読みました。ベトナム戦争についての文章を中心とした短編集です。
 「兵士の報酬」は、日本人の従軍記者がアメリカ軍の曹長の休暇に付き合う話。
 「岸辺の祭り」は、日本人のジャーナリストが日本人の青年とともに正月休戦の前線に行く話。
 「洗面器の唄」は、東南アジアでは洗面器をあらゆる用途に用いると語る金子光晴の詩から連想される私自身の体験。
 「戦場の博物誌」は、私がビアフラで体験したことを綴った「ハゲタカ」、私がイスラエルの最前線を訪れた時のことを綴った「カモシカ、ラクダ」、太平洋戦争下での私と母の生活を綴った「イナゴ、ヤモリ、ライギョ」、私がサイゴンの市場と前哨基地で体験したことを綴った「ライギョ、ヤモリ、マメジカ、コオロギ、ブタ、トビハゼ、ホタル」から成る短編集。
 「玉、砕ける」は、ベトナムからの帰途で寄った香港での話です。
 細かい描写、センチメンタルで自己陶酔の臭いがする文章には少し食傷気味になりましたが、死と隣り合わせの日常が存在したベトナム戦争の異常さに惹かれて最後まで読むことができました。ベトナム戦争に興味のある方にはオススメです。

ロバート・オルドリッチ他監督『ガーメント・ジャングル』

2010-01-22 13:43:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、ヴィンセント・シャーマン監督の'57年作品「ガーメント・ジャングル」を見ました。オルドリッチ監督が途中で降りたという作品です。
 ニューヨークのガーメント地区。衣料会社社長のウォルター(リー・J・コッブ)に反対して組合を認めようと言った共同出資者のケナーは細工されたエレベーターに乗って事故に遭い死にます。そこへ数年ぶりにウォルターの息子アランが帰ってきて、組合のオルグに来たレナタにケナーは殺されたのだと聞かされます。ウォルターは組合潰しをしてくれているラベジに真相を聞きますが、はっきりした答えを得られません。アランは詳細を知るためにレナタに会いに行き、彼の妻テレサと知合います。レナタが参加した秘密集会にラベジの手下が現れ暴力を振るい、それを知ったアランは顔が腫れ上がったレナタを連れて父に会いますが、父は相変わらず組合には反対だと言います。夜ピケを張っていたレナタは仲間の裏切りに遭ってラベジの手下に殺されます。殺人現場の目撃者は一旦はテレサにそのことを告白しますが、結局裁判では証言を取り下げ、ラベジの手下は不起訴となります。作業所に行ったアランはそこで働いていたラベジの手下を追い返し、ラベジの元に彼らが戻ってきたところにウォルターがやってきます。何故彼らがここにいるのかと聞くウォルターに対し、ラベジは殺人を指示したことを認め、今まで汚い仕事に見て見ぬふりをしてきたウォルターを責めます。ウォルターは過ちを認めながらも、今後はラベジと手を切ると言いますが、ラベジは脅しをかけます。ウォルターは組合を認めアランとも和解しますが、ウォルターはその直後に射殺されます。アランやテレサも脅しを受けますが、ウォルターがラベジに払っていた金の証拠となる帳簿をテレサが検事に渡すことに成功し、ラベジは逮捕され、死刑が求刑されるのでした。
 明らかにオルドリッチが撮ったショットが一つあり、それは会話するアランとテレサをタクシーの中の誰でもない視点から撮ったショットでした。リー・J・コッブが主演というまさにB級の映画なのですが、悪役の役者の顔がいいこともあり、結構楽しめました。ギャング映画が好きな方にはオススメです。