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開高健『戦場の博物誌』

2010-01-23 18:22:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、開高健さんの'82年作品「戦場の博物誌」を読みました。ベトナム戦争についての文章を中心とした短編集です。
 「兵士の報酬」は、日本人の従軍記者がアメリカ軍の曹長の休暇に付き合う話。
 「岸辺の祭り」は、日本人のジャーナリストが日本人の青年とともに正月休戦の前線に行く話。
 「洗面器の唄」は、東南アジアでは洗面器をあらゆる用途に用いると語る金子光晴の詩から連想される私自身の体験。
 「戦場の博物誌」は、私がビアフラで体験したことを綴った「ハゲタカ」、私がイスラエルの最前線を訪れた時のことを綴った「カモシカ、ラクダ」、太平洋戦争下での私と母の生活を綴った「イナゴ、ヤモリ、ライギョ」、私がサイゴンの市場と前哨基地で体験したことを綴った「ライギョ、ヤモリ、マメジカ、コオロギ、ブタ、トビハゼ、ホタル」から成る短編集。
 「玉、砕ける」は、ベトナムからの帰途で寄った香港での話です。
 細かい描写、センチメンタルで自己陶酔の臭いがする文章には少し食傷気味になりましたが、死と隣り合わせの日常が存在したベトナム戦争の異常さに惹かれて最後まで読むことができました。ベトナム戦争に興味のある方にはオススメです。