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小松左京『日本売ります』

2010-01-29 16:37:00 | ノンジャンル
 小松左京さんの'65年に刊行された短編集「日本売ります」を読みました。
 「日本売ります」は、宇宙人の手先となって日本の土地を買い占め、日本を丸ごと宇宙に持っていかれる話。
 「紙か髪か」は、火星で採取した菌が変異して世界中の紙を消失させ、その菌に対抗できる紙が発見されたが、その紙に使われている薬品は髪を抜けさせる働きを持っていたという話。
 「ダブル三角」は、「影が重なる時」に収録されていたものと同じ。
 「機械の花嫁」は、地球に残された女性が怠惰な生活を送る一方、宇宙で働く男性がアンドロイドの女性と結婚する話。
 「宋国屋敷」は、強い女性ばかりの世の中になって、しとやかな女性ロボットとともに風流に暮らす青年が家もろとも母たちに燃やされてしまう話。
 「墓標かえりぬ」「三界の首枷」「女か怪物か」は「影が重なる時」に収録されていたものと同じ。
 「四次元トイレ」は、パラレルワールドに通じるトイレを使って借金取りを別の世界へ送った浪費家が自分もその世界に送られてしまう話。
 「四次元ラッキョウ」は、皮をいくら剥いても無くならないラッキョウが宇宙人によって密かにもたらされるが、食料問題に用いることなく破壊するために核を使い、地球を蒸発させてしまうという話。
 「四次元オ  コ」は、ラブホテルで電気ショックと地震のショックを受け、膣が異次元宇宙とつながってしまう話。
 「蜘蛛の糸」は、自分に続いて登ってくる亡者たちを見たカンダタは早く登り切ってしまおうと天国を目指し、髪をつかまれたシャカが地獄へ落ちてしまい、カンダタが降ろした糸を登っている時、後から登ってくる閻魔大王らに登るなと言って糸が切れてしまう話。
 「仁科氏の装置」は、自分を安楽死させ、死体を焼却して骨を骨壷に収める装置を作り実演した男の話。
 「コップ一杯の戦争」は、コップ一杯の酒を飲んでいる間に終わってしまう核戦争の話。
 「サラリーマンは気楽な稼業‥‥」は「影が重なる時」に収録されていたものと同じ。
 「模型の時代」は、近未来でプラモデル熱が高まり、原寸大の車、飛行機、戦艦、月まで作ってしまう話。
 「ぬすまれた味」は、度重なる手術で脳だけになってしまった老人に感覚と味を奪われてしまった男が、復讐するためにわざとひどい味の物を食べたり、くすぐられたりするが、老人が発狂してしまい自分が精神病院に入れられてしまうという話。
 「地球になった男」は、人生に絶望した男が変身能力を得て、巨大な糞やペニス、女陰になって人類を滅ぼし、最後には自分が地球になるという話。
 「カマガサキ2013年」は、「影が重なる時」に収録されていたものと同じ。
 「フラフラ国始末記」は、父からボロ船を継いだ青年が船を独立国として宣言し、切手収入とラジオ放送で経営を軌道に乗せるが、船が座礁して計画が破綻する話。
 「サマジイ革命」は、人体改造を経て死ななくなった意地悪い老人たちが、全ての人を老人にしてしまう爆弾を爆発させる話。
 「本邦東西朝縁起覚書」は、吉野で甦った南朝の者たちが挙兵し、人々に支持されて現代に新政権を誕生させる話です。
 よくこれだけいろいろなアイディアを出せるものだと感心しました。エキセントリックさで言えば「サマジイ革命」が他を圧倒していたと思います。また必ず最後にオチがあることにも感心しました。洒落た短編を読みたい方にはオススメです。