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ジャック・ロジェ監督『メーヌ・オセアン』その3

2012-10-24 04:23:00 | ノンジャンル
 今日は父の5回忌の日です。父の死後、母との2人暮らしが始まったのですが、4年でなく、もっとずっと前に父が亡くなった気がします。この4年間、いろいろ忙しかったので、本来なら時間が短く感じられていいはずなのに、何とも不思議な感じです。とりあえず、今日は、母が昨日磨き上げてくれていた仏壇に、素直な気持ちで手を合わせようと思っています。現在の生活を築き上げてくれた父へ、改めて感謝せねば、という気持ちです。

 さて、またまた昨日の続きです。
 祭の踊りの練習に乱入したプチガは、強引に練習を止めさせ、ピアノを引っ張り出しますが、ペドロは自分は弾けないと言い出します。譜面が読めないという女教師が急遽弾き出しますが、とても聞ける音楽にはなりません。リュシアンがギターのコードを弾き、その歌なら知っているというデジャニラも歌い出しますが、ペドロは歌詞をきちんと歌ってないと言って、怒り出します。ピアニストの司祭が呼ばれ、デジャニラは相変わらずラララとしか歌えませんが、踊ることならできると言って衣装を身につけ、ピアノとギターと他の者たちが刻むリズムに合わせて、延々と踊り続け、検札長も鼻歌を歌います。
 翌日、荷造りを終えた検察長は、プチガの船に乗って出発するデジャニラに手を振ります。自分を置いて彼女が去ったことを知ったペドロは怒り出しますが、やがて気を変えて朝食を食べ始めます。小型機にペドロと自分ともう1人分の席を予約する女弁護士。そこへ地元のラジオ局の記者が現れ、ペドロへのインタビューを始めると、ペドロは検察長こそ真のアーチストだと言い、自分に任せてくれればNBCで歌って第2のモーリス・シュバリエにしてやるとまで主張して、検札長に決断を迫ります。NYに行くことになったと妻に電話する検札長。検察長に会ったリュシアンは、昨晩の女教師に島へ残るように言われたと語りますが、検札長は本気で聞こうとはしません。
 夕暮れが迫り、灯台の元に佇むデジャニラ。小型機に彼女が現れると、ペドロは検察長を小型機から強引に降ろし、その代わりにデジャニラを乗せます。ペドロはデジャニラに、今後は5つ星のホテルにしか泊らせないと約束すると、小型機は検察長以外の皆を乗せて飛び立ちます。「汚いぞ!」とわめく検札長。バーにプチガを訪ねた検察長は、翌朝のナント発の列車に乗らなければならないと訴え、プチガはしぶしぶ自分の船で夜のうちに送ってやると言います。途中で別の船に移ってプチガと別れた検察長でしたが、その船が座礁してしまい、たまたま通りがかったボートに乗せてもらった後、最後は防水ズボンを借りて砂浜に上陸し、砂浜を延々と走りながら歌を歌います。そしてやっと道路に出ると、すぐにヒッチハイクに成功し、車が遠ざかっているのを俯瞰で見せなgら、映画は終わりを告げます。

 漁師と興行師の狂った様子からは、ルノワールの『ゲームの規則』が想起されました。楽しい場面は延々と撮り、ケンカのシーンなどは大胆に省略されるなど、即興的に撮られた稀有な映画だと思いました。ストーリーの展開が読めないという点でも、楽しめたと思います。