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ポール・オースター編『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』

2009-08-29 16:08:00 | ノンジャンル
 ポール・オースター編集の'01年作品「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」を読みました。オースターがラジオ局「NPR」にレギュラー出演して毎回ショートストーリーを読んでほしいと依頼された時、オースターの妻の助言で聴取者から事実の話を募集し、4000以上集まった話のすべてをオースターが読んで選び出した179の話が収められています。
 「動物」「物」「家族」「スラプスティック」「見知らぬ隣人」「戦争」「愛」「死」「夢」「瞑想」の章に分かれていて、偶然の一致、残酷な話、明らかな作り話、不思議な話、笑えないジョーク、様々な経験や単なるエッセイなどが集められています。面白いと思ったのは、自殺現場の処理を終わった後、体が死臭で臭うことを自殺者の娘から罵倒された犯行現場清掃業者の話、物をすぐに無くす癖を持ち、新たに買った帽子を無くしてコートだけを着て父の前でファッションショーをしていると、道に落ちていた帽子を拾っていた父に平手打ちされた女性の話、余りにも貧乏で家族間のプレゼントを買う金もなかった時、弟が密かに家族の物を盗み、それをプレゼントとしてクリスマスの時に披露した話、「プリースト判事」を思わせる、20世紀前半ののどかな田舎の屋外パーティの様子を語った話などです。
 運命的な偶然の一致といった話が多く、不思議な体験の話も多かったのは、アメリカが宗教大国だからでしょうか? スタッズ・ターケル並みの質を期待していたので、少しガッカリしました。(正直に言うと、中盤以降は飛ばし読みしました。)所詮素人の作品ということなのでしょうか? ちょっと物足りないO・ヘンリーの短編を読みたい方にはオススメです。