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早川いくを『へんないきもの』

2009-08-09 15:14:00 | ノンジャンル
 山田詠美さんが「熱血ポンちゃん膝栗毛」の中で言及していた、早川いくをさんの'04年作品「へんないきもの」を読みました。題名の通り、64種類の変な生き物をイラスト入りで紹介した本です。
 メスは貝殻に入っていて、その20分の1の体長しかないオスがペニス足を挿入してくるとそれを切断し、自分の体内に取り込んだ複数のオスのペニス足で受精するというタコブネ、疥癬に冒された皮膚の患部を削ぎ落とし、患部の血を吸い出し、睡液で止血までしてくれるというドクターフィッシュ、頭が悪臭を伴う粘液を発射するための噴射器と化してしまっている(目も退化してしまってない)シロアリ化学戦闘員、マジックで描いたとしか見えないスマイル模様が甲羅にあるスマイルガニ、青藍に黄金色の吹き流しのような体と巨大なお椀のような口だけからなる無気味きまわりないイシガキリュウグウウミウシ、カマキリに寄生して最長90センチにもなる、長い針金にしかみえないハリガネムシ、体長最大2メートルにもなる、頭が半円形で目も口もなく、筋模様の入ったホースのようで、再生能力が高いため頭部と尾部を切断してつなげると接合して輪っかになってしまうというコウガイビル、天敵が来ると海水のジェット噴射により腕の間の幕を張って主翼となし海上を数十メートルも飛ぶトビイカ、芋のような本体に長い口吻がついているだけで動物にはとても見えないだけでなく、メスは20万分の1の体積しか持たないオスを子宮の中で飼うというボネリムシ。最初の40ページ余りの中だけでもこれだけ奇妙キテレツな生物が次から次へと出て来ます。まさに映画のCGで作り出されたとしか思えない生物のオンパレード。逆に言えば人間が考える架空の生物などというものは、既に地球上に存在していたんだと気付かされました。ユーモラスで、しきりに人間界に例えて表現する早川さんの語り口、寺西晃さんによる精密なイラスト(しかし文章に応じて「連れ込み宿」などのイラストが挿入されたりもする)が魅力的で、3ヶ月で12刷を重ねるほど人気があった本であることも納得でした。生き物紹介以外に、タマちゃん騒動の顛末とツチノコに関するコラムも掲載されています。続編も刊行されているようなので早速図書館で予約を入れました。生物の多様性に興味のある方には特にオススメです。