gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』

2009-08-27 15:53:00 | ノンジャンル
 山田詠美さんと高橋源一郎さんが「顰蹙文学カフェ」の中で言及していた、舞城王太郎さんの'04年作品「好き好き大好き超愛してる。」を読みました。2編の中編とイラストが収められています。
 「好き好き大好き超愛してる。」は、増殖する虫に体を蝕まれている恋人と、その虫を発光させるようにした天井を歩く少女の話、癌で死んだ恋人に最後まで付き添った話、夢と現実の間を行き来する話、人間を石や草に変えてしまう神と戦う、イヴと呼ばれる少女たちと、それを操るアダムと呼ばれる青年たちの話からなっています。「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」は、母の浮気相手にドライバーを頭に突き刺されて穴が開いた時から、過去の記憶の中に自分と別の人格の、地球を救うために様々な敵と戦う少年が現れますが、その少年はユニコーンの角を持つ彼女に角を自分の穴に入れてもらって快感を得ていて、やがて快感を得ることに夢中になり地球を救うことなどどうでもよくなってしまうという話です。
 詠美さんらが対談で言っていた、文学賞の審査員に反発を与える擬音語、擬態語というのは、例えばギャボーンとか、すへすへ(すべすべの代わりに)とか、ニニョウム(マンションのチャイム音)とか、ズンモリズンモリ(砂を歩く音)など、それほど気になるものではなく、出現頻度も短編に数回程度で目立つものではありませんでした。それよりも全編独白というスタイルの方がひどく特徴的で、偏執狂的な書き方も好みの分かれるところかもしれません。私は「ドリル~」では、自慰について延々と書いている部分で辟易して、それから先を飛ばし読みしてしまいました。独白スタイルの小説が好きな方にはオススメです。