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マノエル・デ・オリヴェイラ監督『わが幼少時代のポルト』

2009-04-09 13:02:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、マノエル・デ・オリヴェイラ監督の'01年作品「わが幼少時代のポルト」を見ました。
 延々と抽象音楽を指揮する指揮者の後ろ姿。「過去を呼び戻すことは時代を越える旅である」「各人の記憶だけが成しうることだ」「それを試みてみよう」の字幕。廃墟となった家の映像をバックに、生家について語る声と歌。夜の海。劇場の映像と、そこで演じられる劇。騎馬警官と、車に乗って劇場から帰る長い道中。昔のポルトの街の映像。高層建築をよじ登る男と、それを見守る群集。当時のセレブの映像と、その再現ドラマ。子供時代の思い出。両性具有について談笑する男たち。ナイトクラブの再現ドラマ。以前カフェがあった通り。カフェでの再現ドラマ。当時の希望と絶望。第二次世界大戦を語る声と指揮者の後ろ姿。当時の港の映像。映画監督になった頃の思い出。編集の再現ドラマ。冒頭の廃墟の映像と歌。20世紀初頭の街角の映像。当時の映画館と現在の映画館。当時の映画撮影の再現ドラマ。川に沿った長い移動撮影。海、灯台、そして冒頭の歌。
 ナレーションと昔の映像と再現ドラマが重層的に重なりあって構成されている、非常に変わった映画です。冒頭の字幕からも分かるように、オリヴェイラ監督自身の回想を、そのまま映画にしてしまおうという試みで、興味深いものでした。100才を越えて未だに現役を続けるオリヴェイラ監督ですが、その回想には第二次世界大戦とそれに続くファシスト政権に影響された苦い思い出が拭い切れないことが、この映画を見て分かりました。それとともに、20世紀初頭の時代に対するノスタルジーも感じられました。その時代への興味がある方にはオススメです。