gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ウィリアム・ワイラー監督『黄昏』

2009-04-18 15:39:00 | ノンジャンル
 山田宏一さんの「恋の映画誌」の文章に触発されて、ウィリアム・ワイラー製作・監督の'52年作品「黄昏」をDVDで見ました。
 ミズーリ州コロンビア市駅で家族に見送られ、シカゴに旅立つキャリー(ジェニファー・ジョーンズ)は、車内でセールスマンのドルーエ(エディ・アルバート)に声をかけられた上、10ドルを渡され、夕食にも誘われます。靴工場に勤め始めますが、職長に仕事を急がされて指にケガをし、その場でクビになります。10ドルを返すためにドルーエの指定していた高級レストランに行くと、支配人のハーストウッド(ローレンス・オリヴィエ)に迎えられ、結局ドルーエと食事をした後、彼の部屋に連れ込まれ、愛人にされてしまいます。ハーストウッドは散歩中のドルーエと出会い、彼の部屋に案内され、期せずしてキャリーに再会します。自宅に帰ったハーストウッドは、子供たちとは仲良くしていますが、資産家の妻とは不仲であることが分かります。彼はトルーエが出張中にキャリーを観劇に誘い、その場で愛の告白をします。そして逢瀬を重ねた末、彼はキャリーと結婚することを誓います。妻は夫がキャリーと付き合っていることを知り、これ以上彼女と会えば離婚した上財産を取り上げると夫に警告しますが、彼は妻に決別します。ハーストウッドとキャリーが付き合ってるのを知ったドルーエは、ハーストウッドに妻子があることをキャリーに教え、キャリーは裏切られたと思って泣きます。ハーストウッドは職場の金庫に売り上げを納める時に、うっかりして1万ドルを入れ損ね、それを持って自宅に帰ると、そこには社長が来ていて、不倫を理由にクビを言い渡します。ハーストウッドは1万ドルを持ったまま、ドルーエの部屋にキャリーを訪れますが、キャリーは彼の言うことを聞こうとしません。そこで彼はドルーエがケガをして入院したという嘘をつき、彼女を連れ出して列車に乗せます。そして車上で彼女を説得し、二人はニューヨークで新しい生活を始めます。ハーストウッドは場末のレストランで働き始めますが、持ち逃げ犯とのお触れが出回っており、すぐにクビになります。社長の使いに金も取り上げられ、生活苦にあえぎますが、キャリーは彼を励まし、やがて妊娠します。するとハーストウッド夫人が訪ねてきて、資産を処分してすべて自分のものにするためにサインするようにハーストウッドに迫り、しないと重婚罪で訴えると言います。彼はキャリーの言う通りに、離婚を条件に財産の明け渡しを認めますが、キャリーは直後に流産し、彼女はこれからは若さを武器に強く生きていく決意をします。ダンサーのオーディションに合格し、キャリアを積んでいきますが、ハーストウッドが息子の結婚記事を読んで会いたいと言うと、彼を送り出した後、自分は身を引きます。セレブに囲まれた息子に会う勇気を出せずにハーストウッドが帰ってくると、そこにはキャリーの別れの手紙が残っていました。彼は転落の道を歩み、ドヤ街で浮浪者に成り果てます。楽屋に訪ねてきたドルーエから彼のことを聞いたキャリーは彼を探しますが見つかりません。ハーストウッドは空腹に耐え切れず、金を恵んでもらおうとキャリーに会いに行きます。キャリーはすぐに楽屋に彼を引き入れ、食事の準備などをするため、彼の元を離れますが、その間に彼は小銭だけを貰って、ガス自殺をほのめかし、夜の街に戻っていくのでした。
 まさに典型的なハリウッド製メロドラマですが、主役の二人の魅力で最後まで見せます。ラストシーンで死相の見えるオリヴェエを見て、「一体どうしたというの?」というジェニファー・オニールの悲痛な表情には思わず涙してしまいました。「男と女が初めて出会うとき、仕切りの向こうのバーにいるローレンス・オリヴェイエが仕切りのこちら側のレストランに入ってくるジェニファー・ジョーンズに遠くから寄り添うように歩みに合わせて進むところを移動撮影でとらえた俯瞰気味の映画的構図」(「恋の映画誌」)は、実際に素晴らしく、ここを見るためだけでも一見の価値があると思いました。映画好きな方なら文句無しにオススメです。