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浜なつ子『マニラ娼婦物語』

2009-04-08 16:17:00 | ノンジャンル
 昨日の朝日新聞の夕刊に、山際素男さんの訃報が載っていました。私が大学の文学部に通っていた時、インド史の授業でレポートを提出する際に読んだのが、山際さんのアウトカースト(アンタッチャブル)についての本でした。私が所属していた哲学科の先生のよそよそしさに比べ、インド史の先生がとても親身で、しかも渡される資料(特に南インド諸州についてのもの)はとても充実していて、山際さんの名前を聞くと、あの時のインド史の先生のありがたさを思い出します(失礼ながら、名前は失念してしまいました。)。当時は本当にお世話になりました。

 さて、浜なつ子さんの'88年作品「マニラ娼婦物語」を読みました。
 著者は当時「ジャパゆきさん」の名前で呼ばれていた、フィリピンから日本への女性不法就労者の実態を調べるため、マニラに行き、売春の舞台となっていたゴーゴーバーで、自分を一心に見つめる女性と出会います。その女性に誘われるままに、その女性の実家を訪ね、やがてその女性は日本に働くために、日本に観光ビザで入国します。その間、著者は中絶の現場に立ち合い、偽造パスポート作りについて見聞し、殺し屋と遭遇し、その他様々な経験をします。
 読み出した当初は、マニラの貧民街の暮らしぶりに好奇心を覚えましたが、それも結局フィリピンの普段の生活を描いたものでしかなく、すぐに退屈し始めました。インドの少女売春のひどさを聞いていたりしたので、フィリピンの娼婦の置かれた環境のひどさにも、それほど驚くことはありませんでした。それよりも写真のいくつかに素晴らしく美しい女性が写されていて、これはスペインやアメリカ人との混血ゆえのことか、と改めて考えたりもしました。フィリピンの貧しい人々の暮らしぶりに興味のある方にはオススメです。