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イザベラ・バード『日本奥地紀行』

2009-04-02 17:15:00 | ノンジャンル
 高野秀行さんが推薦する、イザベラ・バードの「日本奥地紀行」を読みました。1878年、外国人として初めて日本の東北地方、北海道を旅した著者が書いた紀行文です。
 500を超えるページにびっしりと書かれた文は、よくここまで書き残すことができたと思えるほどに詳細な描写で埋めつくされていて驚きます。また、そこから新たに知ることのできることもいくつかあり、例えば、当時人の移動手段として一般的であった人力車の車夫は、その激しい労働から重い心臓病や肺炎にかかり、仕事を始めて平均して5年で命を落としていたこと、外国貨幣の中で日本国内で唯一使えたものはメキシコ・ドルだったこと、当時から田舎でも子どものパーティが行なわれていたことなど、本当かどうかは分からないのですが、本当だとしたら興味深い事が書かれていました。また、著者が勘違いしているものも幾つかあり、例えば、「いろはにほへと」を学校で教えているのは、東洋独自の人生嫌悪の情を教えるためであるとか、日本の昼の時間はイギリスに比べて短いとか、日本人のガイドはいるにしても、単独で旅をしているためか、こうした誤解も結構目につきました。当時の日本の田舎の貧しさも繰り返し書かれていて、洗濯をしないとか、夏はほとんど裸だとか、様々な貧しい様子が書かれているのですが、考えてみると、これが書かれた10年ほど前までは江戸時代だった訳で、田舎の人々、つまり農民が貧しいのは当たり前と言えば当たり前の話でした。
 ということで面白い部分もあるのですが、内容がとにかく網羅的で、目についたもの、耳に入ってきたものは全て書き出すという態度で書かれているので、途中から読むのが苦痛になってきて、130ページを超える辺りから、バードによる素晴らしく具象的なデッサンを見るだけで読書を終えてしまいました。そうした単調な文にも耐えられ、民俗学的なものに興味のある方にはオススメです。