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誉田哲也『春を嫌いになった理由(わけ)』

2009-04-07 16:29:00 | ノンジャンル
 誉田哲也さんの'05年作品「春を嫌いになった理由(わけ)」を読みました。
 大学卒業後就職できないでいる瑞希は、叔母でTVプロデューサーの織江から霊能力者の通訳のバイトを与えられます。織江が担当する番組で、霊能力者は幽霊が出没するという場所の近くのビルの廃墟から白骨死体を発見し、行方不明になっている久保という男性が既に死んでいることをほのめかします。その番組を見ていた岩本は、行方不明になっている人物が自分であることを知り、テレビ局へ走ります。実は、番組で発表されていた行方不明の男性の写真は、白骨死体の人物のもので、岩本はその人物になりすまし、日本で結婚し暮らしていた、不法入国した中国人でした。テレビ局に着いた岩本は、日本人と結婚し帰化していて岩本を探していた妹と再会しますが、その場に久保を殺し、その物品を奪った岩本を付け狙っていた月という殺し屋もやってきます。月は岩本を殺そうとしますが、現場にいた警官に阻止され、月は逮捕されます。番組後、警官に付き添っていた男に、瑞希が幼い頃夢に出て来た男が実体化していたことを瑞希は知らされ、自分も霊能力者であることを知り、TVスタッフは今後の番組レギュラーとして出演してほしいと言い、霊能力を信じていない瑞希はうんざりするのでした。
 この作品も飛ばし読みしましたが、それでもあらすじを追えるということは、無駄な描写や書き込みが多い証左であるような気がしました。瑞希の物語と、テレビを見ている岩本と、不法入国した岩本こと守敬の話が平行して語られていき、最後にその3つの話が一気に一つにまとまり、そこでカタルシスが生じる仕掛けになっているのですが、岩本に関してはただテレビを見ているだけで何のドラマもなく、その仕掛けがあまり機能していないように感じました。テレビ局での描写が多いので、そうしたものに興味のある方にはオススメです。