海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「西欧は、中国に骨のあるところを見せるべきだ」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年12月27日 | 中国の政治・経済・社会
この10年ほど前から、ドイツと中国とは法治国家についての対話を行ったきた。中国の権力者達が「法治国家」という言葉で何を理解しているかを、彼らは新たに証明した。「国家権力を転覆する諸活動を行った」という理由で、反体制派の劉暁波は、人目を避けた素早い裁判の後、11年の禁固刑に処せられた。
文芸評論家の劉の犯罪は、自分の意見を述べたということだけである。彼の『2008年憲章』の中では、「共産党は、10億の人間を人質に取った」と言われている。党の独裁は、嘘っぱちで、腐敗している。それは中国の魂にとって危険であるだけではない。なぜなら、共産党は、世界中の独裁的政権の重要な支えであるからだ。劉の言うことが正しいということは誰でも知っている。にもかかわらず、ギド・ヴェスターヴェレ連邦外務大臣は、「私は自分の國の開放と近代化の道を継続し、人権を維持するように中国政府を励ます」と言う。
何だって?この政府は、人権を護ることはできないのだ。その独裁制は、人権を踏みにじる点にある。自由な意見の発表は処罰され、インターネットは検閲され、精神治療は、政治的反対者を消すために悪用される。チベットでは、文化的なジェノサイドが行われている。ウイグル族のような少数民族は、その文化的な権利を奪われている。世界のどの國でも、これほど多くの死刑は、行われていない。
 世界中の独裁者は、彼らが石油や他の資源を中国の大食らいの産業のために用立てる限り、中国にごまをすっているのに、民主主義的な台湾は毎日脅されている。国連の安保理では、自国民を虐殺している原油供給国のスーダンのような國を正気に戻すことが問題になると、中国は、議事妨害で目立つ。ついでに言うと、スーダンと中国は一緒に、反帝国主義的レトリックで、コペンハーゲンの気候変動会議を妨害したのだ。
 ヴェスターヴェレ外相が実際に言わんとしているのは、中国は非常に強いので、共産党をまじめに批判することはできないということである。欧州と米国とは、毛沢東の言葉を借りると、「張り子のトラ」である。中国は原爆所有国であり、経済超大国である。それは、輸出選手権でドイツ連邦を追い越した。それは、世界中で最も多い外貨保有国であり、ドルの運命を決定する。それは、欧州の二番目に重要な貿易相手である。
パリのオリンピックの松明行進の際、中国共産党のチベット政策に対する抗議があったとき、中国人達は、フランスのスーパーマーケット「カルフール」に対する「自発的」ボイコットで反応した。世界第二の商業会社はその後降伏し、「自分たちは、中国国民の感情を損なうことは二度としないだろう」と断言した。アンゲラ・メルケル・連邦首相がダライ・ラマを歓迎しようとあえてしたとき、ドイツ産業同盟会長ユルゲン・チンメルマンは、直ちに建設的な対話と「相互の尊敬」の基づく政治に戻るように、首相に要求した。
その際、中国の成長する福祉は中産階級を創出し、そのことによって、遅かれ早かれ、この國を自由化されるだろうという大嘘がまかり通った。だが、それは疑わしい。共産党は、重工業と金融部門をコントロールし、国家を党の利害に従属させている。銀行は、中産階級には、その預金に対して、最小の利息しか与えず、金を大企業に貸し、大企業は、安い利息と安い労働力と人為的に安く保たれた人民元で世界市場に中国製商品をあふれさせている。経済危機になると、農村出の権利のない産業予備軍は単純に田舎に追い返される。中国は、国家独占的資本主義を実践しているのだ。(後略)
[訳者のコメント]この記事を書いたのは、アラン・ポーゼナーという記者です。
コメント (1)
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