杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

真夏の京都大阪行脚その2~吟醸王国しずおか試写IN高槻

2011-08-10 15:40:49 | 吟醸王国しずおか

 8月6日(土)18時から、大阪・高槻駅前のショッピングセンター内にある自然食レストラン「マサラ・バザール」で、『吟醸王国しずおかパイロット版』試写と地酒試飲会が開かれました。

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 マサラ・バザールは、「自然館」というオーガニックフードの店の奥にある隠れ家的レストラン。スーパーマーケットの奥の暖簾の向こう側にあって、レストラン本体の入口は外にはないので、ほんとに知る人ぞ知るって感じのお店でした。自然館で販売する、全国の生産者の顔が見える安心安全のオーガニック食材を使った手頃な定食メニューがそろっています。・・・しかも、意外や意外、ここが地酒ファンが集う穴場なんだそうです。

 

 店では地Imgp4702元酒販店・宮脇酒本店さんが音頭を取って、毎月1回、第一土曜日に酒の会を開催中です。ちなみに宮脇酒本店さんのお取引先には静岡の「開運」「臥龍梅」「志太泉」があり、マサラ・バザールでは臥龍梅さんが直接来店され、酒の会を開いたこともあるそうです。

 

 

 

 ここでパイロット版試写が実現したのは、この春、大阪に転勤になった吟醸王国しずおか映像製作委員会斗瓶会員・清水吉明さんの尽力のたまもの。私が8月7日に大阪シンフォニーホールで開かれる『東西4大学OB合唱連盟演奏会』のことを書いたブログ(こちらの記事)を読んで、「前夜に来てもらったら、自分の行きつけの店で映像試写をやらせてもらいます!」と有難いお誘いをしてくださったのです。

 

 清水さんはもともと高槻に本社のある某有名食品メーカーにお勤めで、マサラ・バザールもずっと前からお馴染みの店だったそう。清水さんはお気に入りの「開運」の名杜氏の故・波瀬正吉さんと親交を持っておられたそうで、マサラ・バザールの酒友たちと、能登の波瀬さんのご自宅にも遊びに行かれたほど。3年前に掛川に異動になったとき、奥さんと娘さんと生まれたばかりの息子さんをおいて単身赴任するのは心苦しかったものの、「銘醸地に転勤になる」ことが何よりの励みになったそうです・・・。

 

 そんな経緯から、波瀬正吉さんの生前最後のインタビューが入った『吟醸王国しずおかパイロット版』をぜひに、とお声掛けくださったわけImgp4711
です。もともと8月の酒の会は『高槻祭り』という夜祭りとバッティングするため、休止予定だったそうですが、急きょ開催してくださることになりました。

 

 

 6日夜は、駅一帯、『高槻祭り』に参加する浴衣姿の若者やファミリーで大いに賑わっていました。18時開始の予定でしたが、参加者は三々五々やってきて、20分のパイロット版をその都度何回か上映させてもらいまImgp4700した。

 

 

 お酒はマサラ・バザールの横山店長と宮脇酒本店さんが用意された全国の銘酒が中心です。お店の営業妨害をしてまで静岡酒をプッシュするのも・・・と思いつつ、せっかく『吟醸王国しずおか』の映像を観ていただくなら、ぜひ静岡らしい吟醸酒を飲んでいただきたいと思い、『磯自慢・純米吟醸多田信男』『正雪・辛口純米誉富士』、そして青島酒造さんがこの日のために提供してくださった『喜久醉・純米吟醸松下米50』を持ち込ませてもらいました。

 また清水さんが自身の秘蔵の酒『開運大吟醸・作・波瀬正吉(H17BY)』をImgp4713提供してくださいました。

 

 

 

 

 

 料理はマImgp4705サラ・バザール自慢の酒肴弁当1500円。さすが定期的に酒の会をやられておられるだけあって、どれも日本酒との相性を吟味した旬の味。いい食材や調味料を使っているって素人の舌でも判りました。

 

 

 

 

 お客さんは熱心に映像を観てくださる方もいれば、月に1度の酒の会に参加することが楽しくて静岡吟醸に格別の思いはなさそうな方もいたりで、2時間過ぎても『磯自慢』や『喜久醉』が空瓶にならないのに軽~いカルチャーショックを受けました(苦笑)。『開運』ファンが多いなら、他の静岡吟醸を気に入ってくれても、と思ったんですが、彼らが愛するのはあくまでも『開運』と『波瀬正吉』なんですね。

 ・・・思うに、食の都・関西では、地域全体のブランドイメージよりも、作り手個人のネームバリューがモノを言うような気がします。個々の料理人や個々の店の名前が、それだけ高いレベルで評価されている。酒も同じような気がします。

 

 

 試写会には、高槻市内で『吟醸酒蔵みゅーじあむ』という銘酒居酒屋を経営されていた成岡卓翁さんも来てくださいました。成岡さんは波瀬正吉さんの伝記を執筆されたばかりで、貴重な草稿をいただきました。私の知らない波瀬さんのご家族の歴史や能登杜氏のお仲間同士のエピソードなど、開運ファンなら垂涎モノの内容でした。

 

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 『吟醸王国しずおか』は、波瀬さんの酒造りの撮影ができなかったので、成岡さんやマサラ・バザールの開運ファンにはイマイチ物足りなかったと思いますが、カタチは違えどもこうして静岡産の酒を支持する人々がいるということは、日本酒が地域と地域、人と人をつなぐ『絆』になっている証拠です。こんな飲みもの、他にはなかなかないでしょう。

 

 

 貴重な酒の会の場を『吟醸王国しずおか』のために提供してくださったマサラ・バザールのみなさま、清水さん、成岡さん、本当にありがとうございました。

 

 なお、清水さん提供の『波瀬正吉』を試飲された方から計4500円のカンパ金を頂戴しました。お心遣い、感謝いたします!


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