杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

早稲田大学グリークラブOBの『南部杜氏酒造り唄』

2011-05-11 09:56:51 | しずおか地酒研究会

 先月、『吟醸王国しずおか』HPをご覧になった佐藤拓さんという方から、思いがけないお問い合わせをいただきました。HP内の連載記事「ライターが挑む映画作り」の中で、私が岩波映画製作の記録映画『南部杜氏』を参考にしたというくだりをお読みになり、酒造りの映像について情報を知りたいとのこと。

 

 佐藤さんは、早稲田大学の男声合唱団『早稲田大学グリークラブ』のOB団員の合唱指導をされている方でした。
 なんでも、35年ほど前、同クラブで日本の職人を唄った「四つの仕事唄」というオリジナル合唱曲を発表し、その中に南部杜氏酒造り唄をモチーフにした歌があるとのこと。今年、OB団員が35年ぶりに再演することになり、「ぜひ酒造りの現場作業の映像を観てイメージをふくらませたい」とのことでした。

 

 実はその前にも酒造りの映像を探しているという方から、HPを通してお問い合わせがあったんです。東京のドラマ制作会社の方で、某有名俳優主演の2時間サスペンスで酒蔵が舞台になるとかで、酒造り職人さんたちがどんな動きで作業しているのか映像資料を探していたとのこと。酒蔵を取材した映像は他にもたくさんあるのに、『吟醸王国しずおか』に辿り着くまで探しておられたというのは、ドラマとはいえリアリティのある作品を作りたいと真剣に思われたのでしょう・・・。

 本編『吟醸王国しずおか』の完成はまだ先なのに、制作過程で他のプロジェクトの支援ができるとは思いもしませんでした。・・・酒縁ってホントに不思議ですね。手前味噌かもしれませんが、これも、地酒に対する真っ直ぐな思いが、同じように真っ直ぐに向き合う人と響き合った証しだと思いました。

 とにもかくにも、酒造りの映像を、酒類業者以外に必要とする人が世の中に確実にいると解っただけでなんだか勇気が湧いてきました!

 

 佐藤拓さんには南部杜氏についての情報を提供し、ドラマ制作会社には『吟醸王国しずおか』パイロット版をお貸ししました。
 佐藤さんからは、その後、情報提供のお礼にと35年前の「四つの仕事唄」の南部杜氏酒造り唄のDVDを送ってくださいました。これがホント、鳥肌モノの合唱でした。

 

 私は『吟醸王国しずおか』パイロット版のオープニングで磯自慢の多田信男さん(南部杜氏)が唄った酛摺り唄を使わせてもらっていますが、杜氏さんの生唄が素晴らしいのは勿論のこと、唄のエッセンスを引き出して荘厳なまでのフル合唱にアレンジしたこの演奏は、職人の技を芸術の域に高める一助になると確信しました。酒蔵もしくはお寺か教会のような伝統建造物の中で聴けたら最高かも! 

 とりあえずはしずおか地酒研究会で機会を設けて、静岡の蔵に勤める南部杜氏やその後継者のみなさんにぜひ聴かせてさしあげたいと思っています。

 

 

 偶然ですが、昨日(10日)の静岡新聞朝刊に、早稲田大学グリークラブの東日本大震災復興支援コンサートが5月22日に沼津で開催されるというニュースが載っていました。
 さっそく佐藤さんに問い合わせたところ、5月22日は現役学生によるコンサートで、宮沢賢治の詩をモチーフにした合唱曲「永訣の朝」、ポップスと演劇をミックスした若者らしいステージ「ヒメサマクエスト」等を披露されるそうです。

 

早稲田大学グリークラブの東日本大震災復興支援コンサート

●日時 5月22日(日)14時30分開場、15時開演
場所 沼津市民文化センター

料金 一般2000円、学生(高校生以下)1000円・・・収益は被災地への義援金に充てられます。
●問合 早稲田大学稲門会事務局 TEL 055-925-8102(アイプランニング内)

*このコンサートでは「酒造り唄」は歌いません。

 

 

 南部杜氏酒造り唄を含む「四つの仕事唄」の再演は、8月7日大阪のザ・シンフォニーホールで開催される『東西四大学OB合唱連盟演奏会』で披露されるそうです。私もぜひ聴きに行こうと思っています。
 チケットは今月中旬より発売予定とのこと。こちらを参照してください。