杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

國酒を愛する人々

2014-04-28 16:05:43 | しずおか地酒研究会

 あわただしい毎日を送っているうちにGWに突入してしまいました。気がつけばブログ、今月は2回しか更新してませんでした。こういう怠け癖が老化につながるんですね、いかんいかん。

 

 前回、あべのハルカスの東大寺展を紹介しましたが、大阪入りの前日4月18日には兵庫、京都もハシゴしてました。兵庫では灘の酒蔵資料館を4ヶ所(白鶴、菊正宗、櫻正宗、浜福Dsc_0357 鶴)を回り、その足で酒の神様・京都松尾大社へお参り。ちょうどヤマブキが見ごろでした。

 

 

 

 

 

 さらに特別公開していた妙心寺塔頭退蔵院の紅しだれ桜を見て、夜はいつもの興聖寺で坐禅。京都に泊まって翌日あべのハルカスの東大寺展記念パネルディスカッション「神も仏も日本のこころ」へ。まさか東大寺展のパネルディスカッションで松尾大社の男神像が話題に出るとは思わず、ビックリ!!。ちゃんと拝んでおけばよかった・・・と後悔しました(苦笑)。

 

 

 松尾大社ではいつも酒造りに携わる人のお守り「醸造守」や、酒を販売する人のお守り「販酒守」、酒の飲む人のお守り「服酒守」を購入し、酒縁のあった方に差し上げているのですが、今回購入した「服酒守」、ひょんなことから意外な人に差し上げることになりました。

 

 

 

 

 4月22日は東京銀座でトマト料理の達人を取材した後、この春から伊豆の国市の安陪均さん(陶芸家兼料理人)が板長を務めることになった月島の『1と8』という店を陣中見舞い。もんじゃ焼き店が軒を連ねる下町の古い長屋をリユースした、カウンターだけの小さな店ながら、安陪さんらしい客筋の良さもあって大人の小粋な穴場って感じ。「静岡の酒を頑張って売ってくよ~」と張り切る安陪さんに、「販酒守」を進呈しました。

 

 

 当初は日帰りのつもりでしたが、数日前、上川陽子さんの事務所から急遽、23日に開かれる自民党の議員連盟「國酒を愛する議員の会」への参加依頼。ビックリしましたがこれも松尾の神様のお導きかもしれんと、22日夜は東京へ泊まり、翌23日、オバマ大統領来日のピリピリムードの永田町自民党本部へ。総務副大臣職で分刻みのスケジュールをこなす陽子さんを補佐するかたちで、「國酒を愛する議員の会第3回総会」というのに参加させてもらいました。会長は自民党総務会長の野田聖子さんです。

 

 

 

 

 総会では国税庁から酒類の輸出動向について説明がありました。平成25年分の酒類全体(清酒・ビール・ウイスキー・リキュール・焼酎その他蒸留酒・その他ボトルワイン等)の輸出金額は過去最高の251億円。増加率も対前年比121.6%と過去10年で最高の伸びだそうです。輸出の中心は105億2,400万円を占める清酒(前年89億4,600万円)。輸出先は①アメリカ、②韓国、③台湾、④香港、⑤中国、⑥シンガポール、⑦フランス、⑧イギリス、⑨ロシア、⑩オーストラリアという順です。

 

 こういった顕著な輸出の伸びを受け、国税庁でも酒造関係者向けの輸出支援や貿易障壁の撤廃・緩和に向けた働きかけを行なっており、在外公館で日本酒セミナーを実施したり、在日外交官対象の酒蔵ツアーなども活発に開かれていますね。私もささやかながら、一昨年、取材で訪れたドイツ大使館にポケットマネーで磯自慢を差し入れたことがあります(こちらを)。

 

 

 一方、国交省からは国際空港における日本酒キャンペーン活動の報告がありました。平成25年10月から26年3月まで国内4空港(成田、羽田、中部、関西)で開かれたキャンペーンでは、延べ428社の蔵元が参加し、約8万人の外国人旅客が3万4千本強を購入したそうです。アンケートでは73%が「試飲で購入を決めた」と答えました。私もささやかながら、5年前に羽田空港内の東急ホテルでフライト関係者対象に喜久醉の試飲会と吟醸王国しずおか試写を行なったことがあります(こちらを)。今だったらいろんな補助金がもらえたかもしれないですね(苦笑)、ちょっと取り組みが早すぎたかなあ・・・。

 

 

 

 

 日本酒造組合中央会からは、平成26年4月から継続スタートした「ニッポンを飲もう!日本の酒キャンペーン」の概要説明、輸出する酒類に原産国が日本酒であることを示す統一マークの使用推奨、福島県酒造組合が発売する日本酒「衆議院」の紹介、酒造用原料米に関する新たな米政策の説明がありました。「衆議院」ってインパクトある酒銘ですよね(笑)、復興支Imgp0171 援で企画された酒で、国会議事堂、衆議院第一議員会館、第二議員会館の3ヶ所限定発売だそうです。

 

 

 

 

 新たな米政策。日本酒の需要がひところの右肩下がりから平成22年度以降横ばいに転じ、近年は特定名称酒の出荷量が増加していることから、26年度からは山田錦などの酒造好適米の生産を、主食用米の需給調整の対象枠から外し、柔軟に運用できるようになったようです。

 

 

 

 

 枠内分の生産についても、29年度産まで10アールあたり7500円の助成金がもらえるように。さらに酒造用という戦略的作物に対する助成(2万円/10アール)、複数年契約による追加助成(1,2万円/10アール)、産地交付金(都道府県等が決定)など酒米生産の環境が少しずつ整ってきたもよう。酒造家出身の議員さんや米どころ酒どころ選出の議員さんが次々と発言する中、陽子さんもすかさず挙手し、「静岡県でもぜひとも富士山世界遺産登録の好機を活かし、各施策が「誉富士」の生産増量の追い風になってほしい」と発言してくれました。

 

 

 

 

 

Imgp0173  総会の後のきき酒会では、全国の酒造組合から提供された銘柄がズラリそろいました。気になる静岡県からは、「正雪」「開運」「花の舞」が出品されており、開運を自慢げに試飲している元磐田市議の宮澤博行代議士と思わず乾杯しました。

 

 宏池会パーティー出席のため早々に退室した陽子さんから、野田聖子会長に、当日初取引だった静岡の新茶を渡すよう依頼されていた私は、関係者から次々と挨拶を受ける野田会長への声掛けタイミングに必死。ようやく挨拶ができ、カバンの中にあった松尾大社の「服酒守」を、新茶に添えて進呈しました。

 

 

 

Imgp0176  ・・・購入したときは、まさかこういう方の手に渡ろうとは想像もしなかった松尾さまのお守りですが、松尾の男神が「國酒を愛する議員の会」の女性会長のもとに自ら進んで行かれた、と思えば、なんとなくスッキリした気分(笑)。このあと、東京プリンスホテルでの宏池会パーティーに私も加えていただき、会場に【地酒コーナー】があるのを目ざとくみつけ、「滝上」「臥龍梅」「金明」と3つも静岡県産があるのに大満足しました。

 

 

 私が東京プリンスでハシゴ酒していた頃、安部さんとオバマさんは「すきやばし次郎」で日本酒に舌鼓を打っていたわけですが、静岡県出身の小野二郎さん、どんな地酒をチョイスしたのかな・・・。 


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