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<Font size=2><「通行区分の世界統一」 Part 1>  ‘07-12-18</Font>

2008-06-10 13:03:52 | Massy's Opinion

自動車屋の視点から、2070年の世界を考える。環境対策と平和の為に!
             

☆はじめに
1981年日中国交回復3ヶ月位後に、香港経由、マカオ、広州の旅行をした時以来、海外の発展途上国の自動車事情に大きな興味を持った。今から27年前になる。
香港に入り、フェリーでマカオへ、そして、古いキャブオーバーのUDバスで広州へ向かった。道なき道をガタガタ揺られた旅だったが、広州までの間、2台の黒いクラウンの新車にすれ違った。全く周囲とは異質の光景であり、ガイドに聞いたら「役人が賄賂で乗っている」と言う答えだった。当時、東京では既に新車販売の過当競争が激化し、日産対トヨタの下取り中古車の高取り競争が真っ盛り、中古車の販買力が新車販売の決め手になっていた。一方、自動車市場は飽和状態の感じも強くなってきて、「中古車の輸出問題」を人一倍考えるようになった。
帰国して直ぐ、「世界の自動車市場」を調べ、専任者を置いて、中国大使館から訪問を始めさせた。当時は中国も香港は左側通行、広州は右側通行であった。車についてはハンドルの規制は無かった様である。この時代の中国と今の中国の発展を見れば誠に驚くばかりである。これ以降、「中古車輸出」に興味を持ち続けていたが、1991年以降の職場はフリート専門会社であり、公害問題と自動車燃料について日本のLPG車に対する関心が色々な国で強く、方々から情報や引き合いが来た。特にメキシコ、台北、等で講習会等も開催された。1996年”Visit Myanmar”用(ミヤンマー観光年)のタクシー車、350台の引き合いを頂く事が出来た。自動車屋の常識(タク上げ中古を再利用)からは考えられない事だったと思うが、予算の関係もあり、「タクシー中古車」で対応する事にして無事に取引を終えることが出来た。1997年には、北京で開催された“LPG 博覧会”に「タクシー中古車」を左ハンドルに改造し出品した。この旅では北京,上海、広州。福州、深圳、香港と「中古車の左ハンドルへの改造作業」の可能性を探しに自動車界の裏側、各所を回り中国の自動車流通を見てくることが出来た。偶々,この時のプロジェクトメンバーの一人が2007年12月ヤンゴンを訪れる事が出来、当時の車が「未だ元気に走っている」処を見て来た。その報告を聞き当時を振り返りながら色々と将来を考えて見た。

昨今、世界的な景気の不透明感と環境問題や資源リサイクルへの関心が高まっている。自動車業界では先進諸国市場での新車販売は低迷し、発展途上国への中古車輸出が活況を呈し注目を浴びるようになって来た。そこで、本レポートでは我が国において世間からはブラックボックスとなっていたその業界(伝統的な商慣習を含めた)の実情を紹介し、更に、中古車輸出を行う際の一つの大きな障害となっている「通行区分」の問題(右・左ハンドルの違い)に関しても言及し、「世界的な中古車流通の健全な発展」と「温暖化現象防止」を含め、又、都市における「生活環境の維持・整備」という観点から土地に対する経済的価値、法的運用について私見を記して見たい。

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第1章 現状
☆自動車輸出と中古車業界‘07年は中古車の輸出が約130万台で過去最高となった。 国内の新車販売が大きく低迷しているなか、中古車の輸出だけが伸びている。
外国では其の国で正規に輸入されないモデルの「無い車」を欲しがるため、日本国内では高級車の大掛かりな窃盗団が暗躍して時折、新聞を賑わしている。

緩和された輸出検査と発展途上国の根強い需要。発展途上国は自動車に関する法規制も未整備、購買力も伴わず、中古車の要望となり、最近ではドバイのようなフリーポートをハブとして中東各地へ分散して行く。ドバイでは仕向け地向けの改造、特に通行区分に対応したハンドルの右から左への改造等も行っているようだ。中古自動車輸出ビジネスの一番の障害は通行区分に従ったハンドルの改造であり、輸出先各国の法規制(車両に対して、或いは税制)の変化等の情報をリアルタイムに入手する事がこのビジネスでは重要に成っている。

・リサイクル費用の製造者負担(流通過程で消費者とのトラブルを防ぐ)
・ユビキタス時代に移る中で自動車の流通履歴を、マイクロチップ等による世界何処でも車台番号の管理が出来るようにして、メーター改ざん等を防ぎ履歴の明確化を計る。

☆中古車業の川下的地位、と実態中古車業界は昔から川下的地位にある。従って、専門業界としての慣習的に使われている用語も多い。これは何処の業界でも同じであろう。良く使われる業界用語の定義付けをして提言のレベリングをして置こう。
・玉=タマ、ギョク(株やでも使われる)、商品。上がり=(タクシー、レンタカー等)
・下取り車=新車ディーラーで新車(又は中古車)の代金の一部として引き取る車。
・名義人相違・・・=下取り車の名義が新車の購入者の名義と異なる。 最近では割賦、リース、金融物、等複雑な取引が増えているので、新車の注文書(購入契約者)と一致していなくてはいけない。最低、登録上の名義人の委任状は必要。
・抱かせ=中古車業者、修理業者等が介在した商談の場合、特に名義人の確認は必要。
・事故車=一番判定が難しいもの。自損事故か? 車両同志の事故か?人身事故か?
・修復歴あり=上記の原因による車を修復した物。事故跡の修復が「解らないように仕上げるのが「巧い...」「腕のいい修理工」とされている。(一般的に外装=ボディー面)
・仕上げ=商品化 下取りで入庫した車を小売店頭に展示できるようにする。(レモン造り)主に外観上の問題が多いが、最近では車の性能、品質が嘗て無く向上しているので、
中古商品としての商品価値は「外観=ボディー回り」と「走行キロ」が決め手となってしまう。
・ヘコ=小石の飛び跳ね、隣に留めた車のドアー開閉等により出来た小さい凹み。板金は色をボカす為、通常凹み部分の三倍の面積を叩いて塗装を吹き付け、磨き上げる。
・ルークリ=ルームクリーンングの略 エンジンルームのスチームワッシャー、下回り清掃、室内、トランクルーム内等、段階が多岐に渡り、全てが手間仕事で中古車の販売コストになる。
・普通オークション等の車の評価は「内装」、「外装」、「足回り」、「エンジン」の4連段階評価1~5段階評価(=4連5点法)を取っており、最近ではオークション場間での統一も行われている。全てベースは日本自動車査定協会の基準に従っているが、一人、一人の人間がこれ等の判定をするので、レべェリングが非常に難しい。
・選別=下取り車として入庫して来る車を大きく分けて、小売向け、業販向け(オークション出品を含む)、解体処理、の3つに選別する。中古車業務の中で一番重要な仕事であり、市場動向、車に関する細かい知識、修理業者との関係等を熟知していなければならない。小売の展示場に出せるような状態にする事を「仕上げ」と呼んでいる。
・出っ放し=下取りした儘の状態を言い殆ど業販に出す。
・このような一台一台使用状況の異なる中古車を一人一人の異なる人間が評価をするので、一番ポイントに成る目安は「初度登録年、月、走行キロ(つき1000キロ)」となり、
中古車の「メーター改ざん」が後を絶たない。
・中古車流通の過程で名義がかわり登録が抹消されたりするので、当該車両のHistoryがわかり難くなる。
・中古車の売買は2台と同じ車は無い訳で「一物一価」と言われているが、「一車一価」が正しい言い方だろう。「売る人間」も「買う人間」も一人一人違うので「現物主義」Cash on Deliveryが原則的で間違いが無い。この点、今ではオークション場が一種の保証機能を持っている(入金がないと名義変更書類を渡さない)
・2ヶ1(二個一=にこいち)完成車輸入を禁止している国(部品はOK)に向けて輸出する場合、1台を2ヶに分割して部品として輸出する。先方で陸揚げした後、再度一台に組み上げる。実際に現物を見ることは非常に難しい。
・使用済車(=解体車)頭金として下取りした車は前記の通り、ディーラー中古車部門で選別され、使用出来ないと判断された車は解体業者に売られる。近年、大手企業がリサイクルに乗り出しているが、過去にもシュレッダーダストにして、選別するとか色んな方法が取られたが、企業としては採算性が取れないで廃業している。解体業者は一台一台手作業で解体し「部品取り」として在庫品と廃棄物に分けられる。
・裾物=低年式、過走行車、事故車等の低価格の車
・以上中古車業界の専門用語の一部と業態を記したが、川下の流通は個人個人の判断による作業が多く、作業者の倫理観に左右されるケースが多い。リサイクルパーツの流通も新車と異なり、他社銘柄車も多く、特に在庫管理に「手間が掛かり」採算がとりにくい。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
通行区分の世界統一はテレビのデジタル化、首都の... (toshisan)
2008-06-16 15:41:05
通行区分の世界統一はテレビのデジタル化、首都の移転、全鉄道のレール幅統一など、国家的大事業であり遅れれば遅れるほど不可能に近づくスケールとなります。もう既に手遅れでしょうね。
社会人になってから私が経験した通行区分の変更は、日本に復帰した沖縄とスエーデンでした。スエーデンでは準備に10年以上かけたそうです。記念すべき変更の一週間後に同国訪問したことあります。
自動車の場合クルマの本体側に色々工夫をすることが出来ると思います。例えばダッシュボードを左右対称に作ること、
小型車であればスピードメーターは真ん中に設置する、ステアリングポストの穴を両方に開けておき一方の穴はふたをしておく、アイドラーの取り付け穴をあらかじめ両側に開けておく、などなど工夫を凝らせば少しは何とかなるでしょう。
今の日本の自動車の海外生産は多岐に渡っていますので、その市場にあわせてそのまま輸入する方が改造するより安いでしょうね。
早速のレス有難う御座います。仰る通り時間が経て... (Massy)
2008-06-16 18:47:50
早速のレス有難う御座います。仰る通り時間が経てば経つほどお金が掛かります。日産では910はインストが左右対称でグローブボックスとメターが同じ大きさでした。最近の車は皆、運転席重視型で、左右が異なります。確かに海外生産は多岐に亙っています。しかし、新車を買えない所得の低い国に日本の低年式車が輸出され、排気ガスを撒き散らすのです。勿論、自動車メーカーの海外戦略、の問題ですが、何処もかしこも耐久力勝負になって来た自動車界、視点を変える事も...と思っています。

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