スェーデンのPOPなプログレバンドの4作目。
このバンドをジャンル分けするのは、本当に迷う。プログレなのは間違いないが、コーラス多用の歌メロはPOPだし、暗さはなく爽やかなのだ。
今回は、前作『Lover's End』にあったハード・ロック路線は減り、その分プログレ感が復活した。
私には、ちょっぴり物足りない。
“Heartline”のような、ヘヴィーなギターソロ、アップテンポな曲があっても良かったのに。。
とは言え、それを抜きにすれば、質の高い作品が多く、丁寧に仕上げたのがわかる。
アカペラの“Kids”で幕を開ける。
Moon Safariは、コーラスが本当に凄い。
こちらは、“Constant Blooms”と違い、マーチング・バンドのように堂々とスケールの大きさを表現している。
2曲目の“Too Young To Say Goodbye”は、私の一番好きな曲だ。一番HRっぽいから。
弾けるようなPOPなリズムに、泣きのギターが重なる。
今作では、ビーチボーイズっぽいコーラスよりも、むしろQueenっぽいコーラスが多い。
が、“Too Young To Say Goodbye”では相変わらずカラッとしたコーラスと、Petterのソウルフルな歌声が聴けて心地いい。
3曲目の“Mega Moon”は、オシャレな曲だ。
Simonの素直で清潔な声が心にしみる。
メインのメロディに挟み込まれる、攻撃的で泥臭いコーラスとか、時代を思わせるピアノ、これぞプログレ的な暗さが楽しい。
曲調がコロコロ変わって、どう展開するのかわからないのに、最後はギュっとまとめてしまう。
そして、最後の最後に、男マンハッタン・トランスファー登場!!
いやぁ、すごくうれしい。
これだけ盛りだくさんなのに、全然疲れさせないのはさすが。
4曲目の“Barfly”は、ビートルズっぽい。
オルガンの音色や、ドラムスのリズムとか、やけに古い。
なのに、Moon Safariのコーラスが加わると、雰囲気が一変してしまうのだ。
何だか、ギターがロイネっぽいから、後半はFlower Kingsのよう。
5曲目の“Red White Blues”は、爽やかなラブソング。
「Red White Blues」は、どういう意味なのだろうか?
アメリカやイギリスの国旗??
6曲目の“My Little Man”は、産まれたばかりのPontusの子供のことを歌ってる。
シンプルでアコギ1本で歌われており、即興で作ったのでは?って感じだ。
7曲目の“Diamonds”には、
「My uncle on my father’s side’s a farmer…」とあり、さては、ジャケットの絵は、ここから来ているのかと思った。
歌詞を読むと、
【祖先の土地で生き、そして働くことが 僕たちの正義が要求している贈り物なのかもしれない】
【ああ 僕が彼のようになれたらどんなにいいだろう 加速する世界から解放されるんだ】
とあり、変哲もない昔ながらの毎日を、当然のように実直に暮らすことへのあこがれが読み取れる。
そんな伯父の言葉、【盲目が手にしてる石以上の価値が、ダイヤモンドにあるのか】が繰り返し歌われる。
自分が欲しいものを手に入れるために、前に進み、自由を失う。
大地を相手に逞しく働く農夫達へのエールにも思える。
ジャケットの写真には、貧しさや孤独感を感じてしまったが、本当はそうではないのだろう。
そして、タイトルにある天国の丘に関連するのだろう。
う~ん、どうもわからない。だったら、空の色を明るくしてくれ~~。
サウンドは、バレンタインのような軽快なピアノで明るく始まる。
軽く爽やかで、ジャケットの写真だけアンバランス。
8曲目の“Suger Band”は、ゆったりした3拍子で始まる。
タイトル通り、甘い雰囲気だ。
が、これもしばらくすると曲調が変わり、切なくなったり、コーラスで盛り上がったりする。
中盤以降は、まるでFlower Kingsで、とてもいい。
中盤以降は、まるでFlower Kingsで、とてもいい。
Flower Kingsと同様、聴き終わった後の幸せな気分や満足感が味わえる。
聴き込むほどに、魅力が溢れてくる。
すごいアルバムだ。
でも次は、もっとヘヴィーめでお願いします。
曲展開、コーラスなどが初期Queenを思わせるMega Moonがお気に入りです。
ほんと、Queenの2ndや3rdっぽいですね。
全体的に、もっとQueenっぽくても、エア・サプライ的でもいいのになぁ。