Blackmore's Nightの8作目。
68歳を迎えたRichieの、相変わらずの作品である。
が、もはや変わる余地はないし、変わる必要もないのだ。
キャンディスとの間には、第2子が誕生したという。
そっちの方がよっぽど驚きだった。
簡単にまとめると、これだけのあんまりなレビューになってしまうから、もうちょっとひねり出してみよう。
曲は、1stの『Shadow Of The Moon』に多く聴かれたルネッサンス調や、2ndの『Under The Violet Moon』に多く聴かれた民族音楽トラッド調、4th~でよく聴かれた、誰かのカバーをブラナイ風に調理し、ついでにエレキ・ギターも演奏も入れてみましたって曲がバランス良く配置されている。
マンネリの中にも確かな満足感がある。
よく聴くと、初めて聴いたと思うが、サウンドを電気処理した曲もある。
私が一番気に行ったのは、3曲目の“Last Leaf”
ルネッサンス調で、アコギと民族的なホイッスルとキャンディスのボーカルによるシンプルな曲。
儚げで危うい。ブラナイの原点を感じさせる。
キャンディスの表現力は、さらに深まった。
一般受けするのは、1曲目の“I Think It's Going To Rain Today”じゃないかなぁ。
明るくて堂々としているし、POPでもある。
ベッド・ミドラーの曲だけあって、耳馴染みが良く、気がつくとリズムを取ってしまっていた。
Rainbowの“Temple Of The King”もカバーしている。
ブラナイを初めて聴いた時、真っ先に思い出したのがこの曲。
Temple Of The Kingがあったから、ブラナイにもすんなり入れた。
けれど、残念ながらこのアレンジはあまり好きではない。原曲の方がいい。
ギターソロだって、原曲は空間を切り裂いて登場してきたのに、今回はあくまでも添え物。
Urah Heepのカバーという4曲目の“Lady In Black”は、リズムやリフがRainbowの“16th Century Greensleeves”を思い起させる。
そして先ほどちょこっと書いた、電気処理した11曲目の“Moon Is Shining(Somewhere Over The Sea)”
ライナーには、10曲目のロック・バージョンとあるけど、まるでテクノ・ポップのような始まり。
あんなにアコースティックにこだわっていたRichieが、いったい??
この曲だけ聴いて、ブラナイと当てられたら偉い!!(ギターソロ除く)
ラストには、John Loadへの追悼作“Carry On…Jon”
60年代後期の空気感のあるブルースっぽいインストナンバー。
Richieは、Johnとこういった曲を演奏するのが好きだったんだろう。
ブラナイ風にも、60年代風にも聴こえる。自由なプレイがいい。
ある意味、Richieが弾けば一緒になるのだろう。
Richieは、昔から奥底はブレていなかったのだ。