メロディック・ハード/メタルが好き~♪

シンフォニックでメロディアスなのHM/HRのCDを中心に感想を書いていきます。サッカーやバレーのことも。

Apocalyptica の Worlds Collide

2008-02-24 10:48:33 | メロディック・ハード
チェロ3台とドラムスから発するHMは、どんななんだろう?

そんな素朴な疑問を持ち、フィンランドのApocalypticaの7作目である『World's Collide』を聴いてみた。
思いの外、普通のHMだ。
テクニカルなドラムスは、どう聴いてもベースと共にリズムを刻んでいるとしか思えない。
重低音のリフだって、普通のギターだ。音の厚みは十分。
強いて挙げると、中音の響きが豊かで、チェロかなって程度だ。
それと、さすがに高音が出せないってことかな。

が、そんなの全然デメリットじゃない。
9曲目の“Burn”で聴けるもの哀しい音色は、電子音じゃ出せないチェロそのものが持つビブラートがある。とても安らかな気持ちになれる。
チョーキングや大きなビブラートもあって、チェロであることを忘れさせもする。

曲によっては、ゲストを入れている。
SkipnotのCorey Taylorや、なんと2曲目の“Grace”には布袋寅泰が曲作りで参加している。
これが見事なアクセントになり、変化をつけている。
個人的には、10曲目の“SOS(Anything But Love)”のLacuna CoilのChristina Scabbia嬢の切なそうな歌が良かった。
もちろん、ピアノやシンセも部分的に取り入れ、1本調子になるのを避けている。
メタル的な部分と、アコースティック楽器チェロを融合させ、独特の世界観を創り出している。

5曲目のデヴィッド・ボウイによる“Helden”って、“Heroes”のことだよね。
アレンジが違ってるので、ちょっと自信ないけどきっとそうだ。
ここのチェロソロは、ハーモニクスもされてて、ホントにギターじゃないんだろうか?

Renaissance の Azure D'Or

2008-02-23 13:52:31 | メロディック・ハード

イギリスのプログレバンドであるルネッサンスの8作目。1979年作品。

ルネのこの8作目を語る時、時代背景を考慮しなくてはならないだろう。
79年というのは、一時代を作ったプログレは既に下降期にあり、ユーロビートが巷を席巻し、NWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)の息吹を感じていた時だった。
当然、ルネッサンスも変革を求められていた。
そして出した結果がこのアルバムである。

私は、このアルバムは『Novella』の次に好きだ。アニー・ハズラムのボーカルがたっぷりと堪能できるからだ。
ボーカルパートが多く、かつ声が前面に出いる。しかも声のレベルが大きい。
女性ボーカリストの中で、アニー・ハズラムが1番だと思ってる私にはうってつけだ。
プログレバンドとして生きるより、ボーカルバンドとして生きる方向を探ったのだろう。その背景に、前作『SongFor All Seasons』からの“Northern Lights”のスマッシュヒットがあると思われる。

他でも書いたが、音楽は人の感性にどう訴えるかで評価が決まる。
私には、アニーの声があればいい。
聴いてて、こんなに感動する声はない。何時間聴いても決して飽きることはない。
力強く儚げで、凛とした張りがあって柔らかい。
低音はソフトで包み込むような包容力があるのに、高音は空高く翔け抜ける。
相反する特徴の共存を、自然にやってのける。
さらに語尾がはっきりしていて清潔だ。奇跡的に思えてならない。

『Azure D'Or』はある意味、プログレというよりも、シンフォニックでPOPなHRと言った方が近い。
ルネッサンスの特徴であった、生のオーケストラは、シンセによるオーケストレーションにとって変わり、曲は短くなり、キャッチーになった。
ピアノが減り、エレキギターのパートが増した。Gのマイケル・ダンフォードの比重が高くなった。
崇高さや格調高さは、親しみやすさと引き換えに減ってしまった。
が、この変化は嫌いじゃない。
KANSASやSTYXのアメリカン・ハード・プログレが大好きになっていた私には、アニーの声でRockっぽいサウンドが聴けるのだから。
明るく、カラフル、それでいてプログレも忘れず、フォーク・ロックもきちんとあるシンフォニックなHard Rock。
よりコンパクトで、ルネッサンスの真髄を凝縮化したと言えよう。

『Azure D'Or』は、残念ながら売れなかった。
あまりにも時代に迎合しすぎて変化したためだろうか?
こんなに素晴らしい作品を評価されないなんて、もったいない!!
(私は『Novella』以前が後追いであり、それほど以前のルネッサンスに思い入れがなかったため、普通とはちょっと違った感想かも知れない)

売れなかったために下降&解散に追い込まれたから、本当に残念でならない。
その後のプログレちっくなゴシック・メタルを聴いても、ルネッサンスは彼らとさほど変わらないじゃないか。
もしも『Azure D'Or』が売れていたら。。を考えずにはいられない。


曲ごとの紹介は こちら


Avenged Sevenfold の Avenged Sevenfold

2008-02-17 17:26:51 | メロディック・ハード
アメリカのパンクっぽいHR/HMバンドの4作目。
今回は、アルバムタイトルにバンド名を入れるあたり、なみなみならぬ決意や自信を感じさせる。
2007年作品。

内容は、聴いてみたら素晴らしかった前作『City Of Evel』よりも好きだ。
パンクっぽさは減り、メロディ志向になった。
クリアヴォイスと、しゃがれたヴォイスを使い分け、サウンドにメリハリをつけている。
もともと、ギターソロに、攻撃的な面と、泣きのギターとさえ言えるメロディアスな面があったが、それをサウンド全体に広げたようだ。

1曲目の“Critical Acclaim”は、一番パンクっぽさが残ってる曲だ。
リフが混沌としており、ボーカルもダーティで、ギターは切れ味鋭い。
何より迫力がものすごい。
なのに、ギターソロになると、途端に表情を変え、哀愁のあるメロディアスな泣きのギターになるからすごい。気になってしまうじゃないか!

速めのミディアム・テンポの流れで気分良くいると、4曲目の“Aftertime”で突然スローなヴァイオリンが始まり、完璧なメロディック・ハードに衝撃を受ける。
確かにパンクっぽさはあるものの、曲の展開が素晴らしい。
後半のツインギターの速弾きのカッコ良さったらない!

9曲目の“A Little Piece Of Heaven”は、My Chemical Romanceみたい。
シンフォニックで、なかなか感動的。洒落ている。
A.C.Tの『Last Epic』も思い出させた。
アコギを使った10曲目のバラード“Dear God”は、ブルースの要素があって、アメリカのバンドだと確認させてくれる。

どの曲にもひねりがあって、捨て曲がないのが驚異的だ。

MSG の The Michael Schenker Group

2008-02-11 22:49:33 | メロディック・ハード
名盤を言われているMSGのファースト。1980年作品。

マイケル・シェンカーは、UFO時代のをちょこっと聴いてて、それで聴いたつもりになってほったらかしにしていた。
今さらで恥ずかしいが、避けられないから書いてみた。

1曲目の“Armed And Ready”は、ギターをほんのわずかかじった時に弾いた。
元気な曲ってイメージだったが、それは今でも変わらない。
ギターソロは、力強いし、明確だ。
ヘンなイメージが植えつけられてるので、飛ばす。

3曲目の“Victim Of Nations”のリフは、ZEPみたい。
だけど、広がりのある派手なギターソロはマイケルならではだ。

4曲目の“Bijou Pleasurette”は、Queenのセカンドのホワイト面みたいな出だしでおもしろい。

6曲目の“Into The Arena”はインスト曲。
攻撃的なギターが鋭くえぐってくる感じがたまらない。
何となく中世的で、Rainbowの“Difficult To Cure”みたいと思ったら、MSGが1年早いのね。Rainbowがパクったのかも。
しかも、ドン・エイリーが(Key)だった。
プロデューサーがロジャー・グローバーだから、なるべくしてなったサウンドなのだろうか。恐れ入る。
MSGに、コージーも参加することになるんだからなぁ~。濃い関係だ。

アルバムは、リズムや曲調に変化があっていい。
軽く聴き流せるし、のめり込んで聴くこともできる。
それは、マイケルのテクニックと勢いによるものだろう。
チョーキングやヴィブラートによって、感情移入たっぷりの情感溢れるプレイにもなるし、スピード感によって、爽快感にもなる。

サウンドは古いのかも知れないが、古臭くはない。
サイモン・フィリップスの軽いドラミングが、もたつきを許さない。
適度にテクニカルで、作品を高めている。
ボーカルがパワー不足だが、今でも斬新さがあるサウンドだ。

Orion Riders の A New Dawn

2008-02-02 16:05:22 | メロディック・ハード
イタリアはシシリー島出身の、シンフォニックなパワー・メタル・バンドの、今のところ唯一のアルバム。
2004年度作。

RhapsodyやDark Moorのような大仰なシンフォを、まず感じる。
音が本物のようなオーケストレーションなのだ。
途中で曲調が変化し、メタルにプログレが加味されていい感じ。
同じシンフォと言っても、昨日のPagan's Mindとは大違いで、熱気がある。
それは、壮大なクワイアと、ボーカリストのJoe Lombardoのおかげだろう。

Joeは、Angraのエドゥ・ファラスキのような踏ん張りボーカルを聴かせる。
それでいて超高音は、アンドレ・マトス的に張り上げるからおもしろい。
おっと、バラードの“Life's Beat Days”は、Tobias Sammetだ。感情たっぷりに歌い上げている。
かっちりした個性がないのが惜しいが、うまい。

リフは、曲によって変化する。
前半はRhapsodyでもあり、中盤~後半はAngraでもある。
一貫性がないのは、まだサウンドが固まっていないのだろう。
ギターソロは、インギーばりのネオクラシカル。攻撃的でなかなかいい。

大切な2曲目の“Whispers”の出だしが単調でダサいのがもったいない。
これで、Orion Ridersを聴く意欲が半減される。
アップテンポでヘヴィーな曲だったら良かったんじゃないの。

とはいえ、これがデビュー作。
質が高いのに、改善点はたくさんある。
個人的には、テクニカルなドラマーがほしい。
大化けの可能性を秘めているので、これからが楽しみだ。

Pagan's Mind の enigmatic calling

2008-02-01 23:31:56 | メロディック・ハード
ノルウェーのメロディアスでプログレッシヴなパワー・メタル・バンドの3作目。
2005年作。
Dream Theater的な重低音がありながらプログレをやっているが、
Dream Theaterの『Systtematic Chaos』とは全然違う。
それよりもずっとキャッチーなのだ。スピード感も十分。

やってることは高度だし、ギターフレーズも彼らから影響があると思う。
8曲目の“Resurrection(Back In Time)”のギターソロに“Home”を感じた。

ボーカルの声は、AdajoのDavid Readmanとジェームズ・ラブリエの中間かな。
あまり好きな声質じゃないけど(もっと細い声がいい)、下手ではない。
ボーカルを変えれば、Circus Maximusにもなる。

このバンドの特徴は、Ronny Tegnerのキーボードだと思う。
ピアノを使うので、メタル一辺倒でなく、温かみを感じさせる。フックがある。
さらに、オーケストレーションに宇宙的広がりがある。
時折、フュージョン感覚ある洒落たプレイも聴かせる。
それでいて、メタルちっくなギターとよく合うから素敵だ。
北欧の透明感とシンフォニックさが、高みでメタルと融合した成功例だろう。
CamelやFlower Kingsを思わせるソロもいい。

このバンドの魅力は、Jorn Viggo Lofstedのギターソロだ。
4曲目の“Entrance to Infinity”で、ムーディーで伸びやかなソロを、7曲目の“Taken”で、ムーディでフュージョンっぽい早弾きを聴かせてくれる。
リフが重いメタルなだけに、メロディアスなギターソロが光る。
リフがなかったら、完全にプログレバンドだろう。

聴き込むほどに魅力を増してくる。
素晴らしいバンドだ。