メロディック・ハード/メタルが好き~♪

シンフォニックでメロディアスなのHM/HRのCDを中心に感想を書いていきます。サッカーやバレーのことも。

Nightwish の Imaginaerum

2012-02-19 22:15:51 | メロディック・ハード
フィンランドのシンフォニック・メタル・バンドの7作目。

Imaginaerumとは、「想像館」あるいは「架空館」という意味だろうか?
ジャケにあるように、怪しげなテーマパークの通りの作風だ。
各曲が独立していながら、トータルアルバムになっている。
物語の語り手のように、曲は進行していく。
keyのツォーマスが、曲のほとんどと詩を手掛けている。

アルバムは、オルゴールのねじ巻きの後、オルゴールが奏でられて始まる。
フィンランド語なのか、導入となるマルコのゆったりとした“Taikatalvi”で幕開けだ。

続く2曲目の“Storytime”は、キャッチーでいい。
アネットの歯切れのいい歌唱は小気味いい。
だが、ワタシ的には、このアルバムはここで終わってしまった。
あとは、Nightwishのメタルとは違う曲が続くのだ。

部分的に良い曲もある。
例えば、4曲目の“Slow, Love, Slow”
ジャズのスタンダードを思わせるような、けだるく妖しい夜の闇を表現している。

6曲目の“Scaretale”は、シンフォニックなメタルナンバー。
珍しくギターが前面に出ているし、重低音のリフが効いている。
シンフォニックでクワイアを多用した楽曲は荘厳で、パワフルだ。
さらにシアトリカルで場面展開が多く、異次元に迷い込んだような、狂気の世界に招かれる。
この世界観は魅力的だ。

7曲目の“Arabesque”は中近東、8曲目の“Turn Loose The Mermaids”はケルトやトラッド色が濃い。
いや、ケルト音楽は好きだからいいんだけど、Nightwishがやる必要があったのか?
10曲目のマルコの作品“The Crow, The Owl And The Dove”は、アコギを使ったこれもケルトちっくな曲。
美しいし、儚げでいい。
だけど、パワフルで荘厳で壮大だったNightwishはどこへ行ってしまったのか?
まるで、leave's eyesみたいだ。

最悪なのが、ラスト2曲。
オーケストラの演奏とクワイアに乗って、語りが延々と続く12曲目の“Song Of Myself”は、彼らがどうしたいのかわからない。
13曲目の“Imaginaerum”はクラシックそのもの。
それらが20分も続くのだから…退屈だ!


このアルバムは、シンフォニックが大好きな人にはいいだろう。
が、私はもっと攻撃的であってほしかった。
わかりやすいキャッチーな曲がほしかった。
この路線が定着しないことを望む。

空が青いから 白をえらんだのです

2012-02-09 23:44:32 | Weblog
知人である、童話作家、寮美千子さん編集の本です。

奈良の少年刑務所の受刑者が書いた詩が収録されてます。
彼らのことは、私も含め、偏見に満ちていたと思います。

『少年院にいる子ども達は危険だ』

寮さんでさえ、最初はそう思っていたのだそうです。
でも、彼らに接する度に、
「彼らは耕されたことのない荒地だったのだ』と思えてきたそうです。
きちんと目を掛ける大人さえ周囲にいれば、こんなことにならなかったのです。

実際、この本を読むにつれ、
こんなにも心のままの詩を書ける子供達は、ある意味まっとうな学生達よりも純粋だと思えました。
子供のまま時が止まってしまったとも書かれてます。

そして、きちんとしつけが行われなかった、あるいは複雑な環境だった彼らの境遇に胸を痛めました。
彼らは、普通の環境に置かれず、ただただ不幸だったのです。
決して危険ではなかったのです。
私は、偏見したことを恥じました。


奈良少年刑務所で行われた『社会性涵養プログラム』に頭が下がります。
そして、何よりもこのようなことが行われていることを、きちんと伝えてくれた寮さんに。

『社会涵養プログラム』とは、具体的には、
・SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)
・絵画
・童話と詩
で構成されます。
SSTで、挨拶をロールプレイすることにより、確実に学びます。
絵画は、自己表現や自己解放に繋がります。
そして、寮さんが関わった“童話と詩”
これは、自己表現と共に、書いた詩が他の人から評価されることが大きな意味を持つのです。
これまで、世の中のお荷物状態だった彼らが、皆から褒められることにより、自信を持ち、前向きになるのです。

私は、この詩を書く教室の正当性に賛同し、すごく感動しました。
本当に、彼らは見事に矯正されていったのです。
殻や鎧から抜け出し、自分と向き合えるようになりました。
読んでいて、涙が止まりませんでした。
成長ぶりなのか、痛々しさなのか…。
おそらくその両方でしょう。

詩は、お世辞にも上手とは言えません。
ですが、心から一生懸命表現したい気持ちが行間から溢れます。
それでいいのです、それが詩なのです。


少年院での『社会性涵養プログラム』が、彼らを矯正する最後の“セーフティー・ネット”なのだそうです。
この機を逃すと、人は矯正するチャンスを失ってしまう…。
震撼してしまいます。

少年刑務所出所後の再犯率は55%なんだそう。
その率を低下させる目的も合わせ持つのが『社会涵養プログラム』です。
どうか、もう罪を犯すことなく、周りも彼らを偏見で見ることなく、
どうか、普通の生活ができることを、願ってやみません。

こんな世界に生きる少年たちがいるということを知るだけでも、
この本の意義は大きいと思います。
自分の視点、視野が変わって良かったです。

平和だと思ってきた日本に、育児放棄またはドメスティック・バイオレンス、その他によって、不幸になった子供たちがいます。
残念ながら、今後、その傾向は増長されていくのではと懸念します。
でも、子供は柔軟、変われるのです!
偏見から守るために、みんなに広く読まれてほしいと思いました。

Rush の time machine(DVD)

2012-02-01 23:24:15 | メロディック・ハード
カナダが誇る、プログレッシヴ・メタル・バンドのライブDVD。
2011のカナダのClevelandでの演奏が収録されている。

『タイム・マシーン・ツアー 2011』と銘打ってるだけあって、1980年前後の曲が多く演奏されている。

特筆すべきは、Set Twoの頭から始まる一連の曲達。
これが、名作『Moving Pictures』から全曲、曲順通り演奏しているのだ。
Tom Sawer~Red Barchetta~YYZ~Limelight この辺りは、Rushファンなら誰でも耳タコで聴いているだろう。
その複雑であり、メロディアスな楽曲が見事に再現されている。
聴きながら様々な思いが溢れてきて、胸が熱くなる。

観客も、中年オヤジが多く、メンバーと共にエアギター、エアベース、エアドラムをする。
とても楽しそうなのがいい。
私も彼らの演奏を聴いて、勝手にエアドラムをしたい!!

ちょっと残念なのは、ゲディ・リーのボーカル…ハイトーンがパワーダウンしていることだ。
声量が減った気がする。
それを補うためか、高音だけ力を入れて歌っていて不自然だ。
が、50代半ばを過ぎているだろうと思える年齢で、これだけのハイトーンをぶっ通しで歌えるのは驚異的。
音を下げずに歌ってるのも立派。
演奏は、相変わらずのCDの再現そのものである。
複雑で緻密で変リズム当たり前。それなのに、一糸乱れない。
その辺のコンビネーションが、キャリアなんだろう。

“YYZ”はもちろん素晴らしいが、同じインストの“Leave That Thing Alone”も素晴らしい。

メンバー3人とも重量級になってしまい、むしろアレックスがすっきり見えるのが不思議だ。
ゲディ・リーの横向きが…(汗)


オマケ映像がついていた。
“Need Some Love”“Anthem”だ。
初期の頃の楽曲は、Zepからの影響が濃く、シンプルであまり好きじゃないが、
王子のようなゲディ・リーと、中性的で恥じらいの見えるアレックスが素敵。
ルックスだけで、もうオッケーだ。
それと、当時のゲディ・リーのどこまでもハイトーンのキンキン声(褒め言葉)に驚いた。
これはお宝映像だ。


今回は、ブルーレイを買ってみた。
そのおかげなのが、音が歪まず画面がキレイでとても良かった。