メロディック・ハード/メタルが好き~♪

シンフォニックでメロディアスなのHM/HRのCDを中心に感想を書いていきます。サッカーやバレーのことも。

Divinefire の Farewell

2008-08-30 23:08:13 | メロディック・ハード
フィンランドのメロディック・パワー・メタル・バンドの4作目。
同時に最後の作品でもある。

シンフォニックなサウンドにくるまれた、骨太で重々しいメタルをやってるのは、デビュー当時から一貫している。
作曲を手掛けるドラムスとキーボード担当のJani Stefaovicが、常に水準以上の作品を手掛けているのに驚かされる。
最終章でもあるためか、パワー・メタルに留まらず、ネオクラシカルやプログレをやって幅を広げているのがいい。

NarniaでもボーカルをつとめるChristian Liliegrenは、うまいけど歌い方が鼻につく。声がすごい美声でない割に、存在感もそれほどでもなく、中途半端なのだ。
ちょっと厳しい意見だけど。
デス声担当の実弟のHubertusの対比はなかなかいい。

ギターレスなので、エンジニアを担当するCarl Johan Grimmarkにサポートしてもらっているが、これがいい。
攻撃的なエッジの利いたプレイは、作品を華やかにしている。
速くて印象的でダークだ。
特に5曲目の“Crow And Follow”は連打するリフと共に、カッコ良く効果的だ。

7曲目の“King Of Kings”は、のっけからインギー調のスィープ炸裂。
いかにも北欧的なスピーディなネオクラシカル。私の好きな曲調だからか、無理なく聴ける。

8曲目の“Heal Me”は、SymphonyXにも似たプログレ要素の多いメタルナンバー。
メロディアスさとシンフォニックさがパワー・メタルにうまく溶け込んでいる。
SymphonyXのような叙情性まである。(ちょっとだけ)
途中のChristianのやさしい声は好きだな。もっと出していい。

聴き所は、2曲目の“Unity”と3曲目の“You'll Never Walk Away”。
ストレートでありながら変化がありシンフォニックで、いかにもDivinefireらしい。
でもやっぱり暑苦しい。最後まで“すっきり”を望んでしまうのだった。

Dragonforce の Ultra Beatdown

2008-08-23 21:12:02 | メロディック・ハード
英国のメロディック・スピード・バンドの4作目。
今回も、見事に疾走しています。

前作の『Inhuman Rampage』では、あり得ない速さの超人間技(まるで速回し)に驚くと共に、一本調子だからなんとかしてくれ~、緩急つけろ!の不満があったが、今作はその不満点が改善されていた。

そう、曲にミディアム・テンポが挟まれ、ドラマティックさが出てきたのだ。
速さでは誰にも負けないんだから、あとはその速さをどう聴かせるかだった。
絶えず速いんじゃなく、時折リセットしてスピードダウンするから速さが引き立つ。効果的だ。
疾走曲に、変化とDragonforce特有のメロディアスさが見事に融合し昇華された、素晴らしいアルバムだ。


1曲目の“Heroes Of Our Time”は、リズム、歌メロの親しみやすさ、曲自体が持つパワー、攻撃的なギター等、すべてが揃った必殺曲。
2曲目の“The Fire Still Burns”は、Survivorのあの名曲“Eyes Of Tiger”を思い起こさせるミス(笑)はあるものの、後半のギターとキーボードの入り混じった高速ソロは圧巻だ。
3曲目の“Reasons To Live”のギターソロは聴き所。

ZPの力強いハイトーン・ヴォイスは、突き抜けている。
コーラスが多用され、サウンドに厚みと温かみと爽やかささえ与えている。

Daveのテクニカルな高速ドラミングと、Fredericのリフと一体になったベースは、これでもかとスピードを競う。
ここがしっかりしてるから、スピードがあってもブレないのだ。

そして、Harman LiとSam Tomanのツインギター。
高速ツインなんて、ゾクゾクするほとカッコいい。
フレーズの種類も増え、アコギも使い、次に何が飛び出すか予測できない楽しさがある。
速くてうまいのは当たり前で、時に印象的なフレーズを弾くから、ギターソロをずっと聴いていたくなる。
キーボードのVadimも恐ろしくテクニシャンで、2人のギタリストと比べて遜色ない。

これまでで、ベストの出来だと思う。
未だに進化を続けてるのが、恐ろしくも魅力的だ。
あと注文つけるとしたら。。感動的なバラードを作ることくらいか。

Asia の Phoenix

2008-08-13 22:07:13 | メロディック・ハード
1980年代前半に大ブレイクしたプログレ/POPバンドの、え~と9作目くらいか。
クリムゾン、ELP、YESの元メンバー達が集まってできたスーパーバンドだったのは、衆知の通り。
当時は、プログレは廃れつつあったので、今さら豪華メンバーが集まったとしても、古臭い音楽では成功できないんじゃないかと思われていたが、いざフタを開けてみたら、これがキャッチーなPOPバンド(プログレは味付け程度)で素晴らしく、びっくりした。
1,2作目は、歌メロの美しさとシンフォニックさが壮大で、よく聴いたものだった。

が、メンバーチェンジの影響か、次第にマンネリしていった。
まぁ、つまんなくなったってことだ。

そのAsiaの『Phoenix』は、1,2作目のオリジナルメンバー復活で、素晴らしいというので、全然期待しないで聴いてみた。
デビューアルバムがそうだったように。

またもやびっくりした!
これは、1,2作目の延長線上にある!時が止まっていたかのようだ!!

実際、1曲目の“Never Again”は、“Heat Of The Moment”“Don't Cry”を意識した音作り。
わかりやすいメロディと、サビでここぞとばかりガーンと盛り上がる手法。
彼らは、リスナーが何を求めているかがよくわかっている。
5曲目の“Albis”も同様の曲作り。個人的には、この曲が一番好きだ。
同じ頃はやった、サーフロックを思い出してしまった。

4曲目の“Sleep Giant/No Way Back”は、最初の緊迫感と閉塞性のあるサウンドのまんまで短く終わってほしかった。

スティーブ・ハウの派手めのギターも変わらない。
クサさ寸前のメローさがたまらない。
ジョン・ウェットンの、往年と変わらない、艶のある歌声はどうだろう。

時折、クリムゾンのメロトロンのような空気感に覆われる。エピタフあたりの。
かつてのAsiaにはなかったと思えるが、これがいい。

8曲目の“Parrarel Worlds/Vortex/Deya”の、プログレ Meets AORのようなサウンドもいい。
これも、4曲目と同様、8分もいらないかな。

後半は、プログレ色が強く、POPっぽくないため沈んだ感じだが、流れがあるし、むしろこちらが本来の彼らの姿だろうと思えて、すんなり聴ける。
何より、壮大だ。

「懐かしさ」や「耳馴染んだサウンドのために聴きやすい」といったことを超越している。
古臭いかも知れないが、いいものはいいんだと、強く言える作品だ。
Asiaの底力を見た。

Amberian Dawn の River Of Tuoni

2008-08-10 13:37:50 | メロディック・ハード
フィンランドのシンフォニック・メタル・バンドのデビュー・アルバム。
ジャケにドアップで登場する、Heidi Parviainen 嬢 Parviainen嬢が、終始リード・ボーカルを取る。

一聴してターニャ時代のNihgtwishを思い起こさせる。
Heidi嬢の、高音の澄んだ声と多少のオペラテイストが、あまりにもターニャっぽいためだ。
楽曲も、メタルでありながら、シンフォニックで一部ネオ・クラシカルとプログレの影響を感じさせるのが、Nightwishの印象を与えるのだろう。

ヘタすればNightwishのパクリだが、EpicaやEdenbridgeなど、似たようなバンドの需要があるのがフィンランドなので、それはそれでいいのだろう。
それよりも、どの曲も場面展開があって、メロディアスで聴きやすい。
捨て曲がない。

特徴的なのが、GとKey担当のTuomas Seppälä。
これが、もろネオクラシカルなのだ。
インギーといより、リチャード・アンダーソン!
彼の揺れる幅の大きいビブラートが、そこかしこに登場する。
従って、1曲目のタイトル・ナンバー“River Of Tuoni”は、はっきり言ってTime RequiemやSpace Odesseyだ。
私はこの手が好きなので、似てるのが気になるとしても、心地よく聴ける。

続く2曲目の“My Wings Are My Eyes”は、何となくどこかで聴いたような歌メロ。
Kamelotの『Ghost Opera』はこんな感じじゃなかったっけ?

7曲目の“The Curse”は、ネオクラシカルのリズム隊とリフ。
彼らの中ではスピーディな曲。
ボーカルを代えりゃ、どう聴いたってネオ・クラシカルだ。

そんなネオクラシカルなアルバムの中にあって、壮大な“Passing Bells”は異彩を放ってる。
オリエントっぽい民俗音楽を取り入れ、ヘヴィーに仕立ててる。
が、大仕掛けではないので、こってりしてなくてかなり聴きやすい。

ある意味、重すぎない『ゴシックとネオクラシカルの融合』。
連続して聴くに耐えられる。
別の個性がほしくもあるが、なかなか素晴らしいアルバムだ。

Made In Jamaica

2008-08-04 23:00:55 | Weblog
レゲエミュージックをふんだんに使った、『Made In Jamaica』という映画を見てきました。

映画の形式は、サウンド&インタビュー形式です。
ジャマイカは、コロンブス以降、先住民族が皆殺しされた後、ヨーロッパ民族が入国し、アフリカから奴隷を連れてきたようです。
その、奴隷として働かされたアフリカ民族が発展させた音楽が、レゲエなのです。

インタビューの中では、迫害とか強制労働、暴力、政治の腐敗の、奴隷としての負の部分ばかり強調されてました。
彼らの絶望的な生活にあって、音楽があったから何とかなったと証言してました。
同時に、キングストン等のゲットー(強制収容所並みのスラムってこと?)での悲惨な生活ぶりも浮き彫りにしてました。

でも、私は黒人が400年もの奴隷として扱われたこともさることながら、先住民族のアラワクが皆殺しされたことが衝撃でした。
ヨーロッパに近かったことから、征服のために皆殺しになったのは、中南米でも同様ですが、もしも日本がヨーロッパの近くにある島だったら、やっぱり皆殺し。。
たまたま極東にあったために征服されずに済んだのは、幸運とか言えません。

それと、女性蔑視は見るに堪えませんでした。
歌の歌詞が下ネタで下品だし、踊りも下半身をぶつけてもろアレを表現してるし、女性を妊娠させたら、男は逃げるため、母子家庭が多いとか、7人いる子供の父親がどれも違うとか、胸が詰まりました。
ゲットーでは、貧困のために、夫が妻に暴力を振るう、それを見た子供が影響されて犯罪を起こすので、問題です。

サウンド的には、いわゆるシャカシャカのドラムスに、ビートの利いた単調なベースのレゲエが半数を占めてましたが、スカっぽいレゲエも多かったです。
レゲエは苦手分野ですが、魂を込めた歌唱を聞いてると、それも悪くないと思えました。
サード・ワールドみたいに、アコギを使い、テンポも早くしてRock調にすれば聴きやすかったです。
彼らの『華氏96℃』なんて、“華氏96℃、日陰に入っても暑い~”という内容ですが、風刺が込められた素晴らしい曲です。
ジャネット・ジャクソンみたいなブラックっぽいのも、サルサっぽいのもありましたし、ラップやヒップ・ホップみたいに抑揚のないのばかりじゃなく、メロディアスなのもあり、多岐に富んでました。

彼らに敬虔なキリスト教が多いというのに、救われる思いがしました。
貧困でも屈しないパワーはものすごいです。
平和な日本に元気がなくなってきているのこそ、問題かも知れません。