クラス別のバレーボール大会は、区の上から2番目のクラスで優勝した。
これで、来季は一番上のクラスで戦える。
結果を出せて、すごくうれしかったし、やった感があった。
この充実感があるから、私はバレーを続けているようなもんだ。
けれど、その前日から私の心は重苦しかった。
それは、もしも負けたらまた監督からいろいろ言われてしまうと思ったからだ。
監督は、一生懸命にやってくれる。
けれど、その気持ちが強すぎるゆえに、試合中に激を飛ばし過ぎるし、ミスをすると何をやってるんだと責める。
私は、練習中は何を言われてもいいけれど、試合中はミスを恐れて消極的になってしまうから、むしろ誉めてもらいたい。
ブタも木に登るのだ。
そんな気持ちで、もんもんとしていた。
試合当日の朝も、緊張感の余り、何回もトイレに行った。
果たして、監督の気に入るいいプレーはできるのだろうかと。
重苦しい気持ちで試合会場に向かった。
が、そこには一生懸命に会場設営に励むチームメートがいた。
雪掻きをしてくれていた。
ちょこっと声を掛けると、明るく応えてくれていた。
そうだ、私にはチームメートがいる。控えの選手が下仕事をしてくれている。
有難いじゃないか。
一人で戦うワケじゃない。みんながいて、私がいるのだ。
そう思うと、気持ちが楽に、大きくなった。
プラス思考を持って、やるしかないのだ。
心配していた左人差し指の痛みも、テーピングによって薄れ、普通にパスできるのが確認できた。
膝の様子も良さそうだ。
できる!!
やれる!!
それに、会場がいつもやってる体育館じゃないか。
ソチオリンピックでロシアが強いのと同じ、こっちにはホームアドヴァンテージがある。
恐れるものはない。
そう思えば、何も怖くない。
自信というのは、何にも増して勝者のメンタリティになれるのだ。
私は速めのバックトスを打つのが役割なのだ。これがすごくうまくいった。
レフト側が攻撃の中心だが、敢えてこれをおとりに使い、私が決めた。
決めると、すごく気持ちがいい。
もっと気持ち良くなりたくて、腕をもっと振り切れるようになり、ポイントを重ねていった。
チーム全体もすごく調子良かった。
サーブカットがセッターに返り、アタックレシーブもつなぎのプレーも良かった。
何より、セッターの配球が見事にはまり、ブロックにあまりかからなかった。
チーム全体が同じ方向を向いて、同じ動きができていた。
私のアタックは、まるで以前の私のように、よく決まっていた。
まだやれるんだなぁ。
速いトスに間に合うようにと、必死に食らいついていたのが良かったのだろう。
どのコースに打つかと考える前に、打てるコースに打ち、それが相手のレシーブ陣形を崩していた。
無我夢中で迷いなく打つ。
これが勝てた理由だと思う。
衰えるばかりかと思っていたのが、どっこいまだまだやれるのがわかり、これが一番うれしかった。
試合のために体調を整えた甲斐があった。
アタッカーは、50歳を過ぎたら終わりかと思ったけど、まだやれるんだなぁ。
皆が良かったよと誉めてくれて、いい気分だ。
試合後のビールも美味しかった。
やれる限りは、またアタックを決めて、いい気持ちになりたい。