メロディック・ハード/メタルが好き~♪

シンフォニックでメロディアスなのHM/HRのCDを中心に感想を書いていきます。サッカーやバレーのことも。

Rush の Clockwork Angels

2012-08-19 13:56:00 | メロディック・ハード

カナダのプログレッシヴ・メタル・バンドの、実に20作目。
前作Snakes&Arrowsから、5年の歳月が経っている。

メンバーも、全員が59歳を超えたため、名声を武器にマンネリでも売ってしまうサウンドになりはしないかと心配していた。
が、手にしたものは、不安を微塵も感じさせない、素晴らしい作品だった。

ジャケの時計が21時12分 ⇒ 2112 を示していることから、76年の不朽の名作『2112』を意識しているとされる。
実際、今年は2012年。100年早いメモリアル・イヤーではないか。
全12曲の中に、それぞれのストーリーを内包させているコンセプト・アルバムだという。
残念ながら、私は輸入盤なので、買い直し必至である。
Rushの作品は、ニール・パートの詩を理解してこそだから。


前置きが長くなってしまった。
サウンドは、アレックス・ライフソンのギターリフがいつもよりも力強く、テクニカルというよりヘヴィーだ。
そこに、ゲディ・リーのリード・ベースが駆け巡り、いつものRushさに口元が緩む。

9曲目の“Headloing Flifht”のギターソロは、サイケディックですらある。
自由に、70年代の古さも絡めつつ、縦横無尽に何でもアリに弾きまくる。
Rushのギターソロは、テクニカルであるべしとの固定観念を打ち破るようだ。
もちろん、テクニカルさはあるけれど、それよりもほとばしるパワーやエネルギーの熱情に圧倒された。

ゲディ・リーの声も健在。DVDのような不自然さはない。
柔らかく、時に高音を無理せず出してていい。
声が若く、80年代の声そのままなのに恐れ入る。

ニール・パートは、1曲目の“Caravan”から、変拍子多用の素晴らしいドラミングを聴かせてくれる。
衰えぬ体力と、作品を極める目的の高さは尋常じゃない。

お気入りは、4曲目のタイトル・ナンバー“Cloickwork Angels”と、6曲目のアコーステック・ギターがフューチャーされた“Halo Effect”だ。
“Clockwork Angels”は、明るめのサウンドと、Zepを思わせるヘヴィーなリフが楽しい。
ゆったりとしたリズムと速いリズムが交互に来て、変化があるのがまたいい。
そして何と言っても、アレックスの変幻自在なギターソロだ。
“Halo Effect”は、懐かしさが溢れて来てしまって、言葉にならない。
70年代~Rushに限らず~の空気感をそのまま切り取って持ってきたみたいだ。
胸がいっぱいになる。


これは、Rushの温故知新なのか、34年間の集大成なのか・・・。
おそらく、そのどちらでもない。
Rushの今現在の姿なのだろう。