メロディック・ハード/メタルが好き~♪

シンフォニックでメロディアスなのHM/HRのCDを中心に感想を書いていきます。サッカーやバレーのことも。

空が青いから 白をえらんだのです

2012-02-09 23:44:32 | Weblog
知人である、童話作家、寮美千子さん編集の本です。

奈良の少年刑務所の受刑者が書いた詩が収録されてます。
彼らのことは、私も含め、偏見に満ちていたと思います。

『少年院にいる子ども達は危険だ』

寮さんでさえ、最初はそう思っていたのだそうです。
でも、彼らに接する度に、
「彼らは耕されたことのない荒地だったのだ』と思えてきたそうです。
きちんと目を掛ける大人さえ周囲にいれば、こんなことにならなかったのです。

実際、この本を読むにつれ、
こんなにも心のままの詩を書ける子供達は、ある意味まっとうな学生達よりも純粋だと思えました。
子供のまま時が止まってしまったとも書かれてます。

そして、きちんとしつけが行われなかった、あるいは複雑な環境だった彼らの境遇に胸を痛めました。
彼らは、普通の環境に置かれず、ただただ不幸だったのです。
決して危険ではなかったのです。
私は、偏見したことを恥じました。


奈良少年刑務所で行われた『社会性涵養プログラム』に頭が下がります。
そして、何よりもこのようなことが行われていることを、きちんと伝えてくれた寮さんに。

『社会涵養プログラム』とは、具体的には、
・SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)
・絵画
・童話と詩
で構成されます。
SSTで、挨拶をロールプレイすることにより、確実に学びます。
絵画は、自己表現や自己解放に繋がります。
そして、寮さんが関わった“童話と詩”
これは、自己表現と共に、書いた詩が他の人から評価されることが大きな意味を持つのです。
これまで、世の中のお荷物状態だった彼らが、皆から褒められることにより、自信を持ち、前向きになるのです。

私は、この詩を書く教室の正当性に賛同し、すごく感動しました。
本当に、彼らは見事に矯正されていったのです。
殻や鎧から抜け出し、自分と向き合えるようになりました。
読んでいて、涙が止まりませんでした。
成長ぶりなのか、痛々しさなのか…。
おそらくその両方でしょう。

詩は、お世辞にも上手とは言えません。
ですが、心から一生懸命表現したい気持ちが行間から溢れます。
それでいいのです、それが詩なのです。


少年院での『社会性涵養プログラム』が、彼らを矯正する最後の“セーフティー・ネット”なのだそうです。
この機を逃すと、人は矯正するチャンスを失ってしまう…。
震撼してしまいます。

少年刑務所出所後の再犯率は55%なんだそう。
その率を低下させる目的も合わせ持つのが『社会涵養プログラム』です。
どうか、もう罪を犯すことなく、周りも彼らを偏見で見ることなく、
どうか、普通の生活ができることを、願ってやみません。

こんな世界に生きる少年たちがいるということを知るだけでも、
この本の意義は大きいと思います。
自分の視点、視野が変わって良かったです。

平和だと思ってきた日本に、育児放棄またはドメスティック・バイオレンス、その他によって、不幸になった子供たちがいます。
残念ながら、今後、その傾向は増長されていくのではと懸念します。
でも、子供は柔軟、変われるのです!
偏見から守るために、みんなに広く読まれてほしいと思いました。


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