東京ナイト

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「人はひとりで死ぬ」

2011-03-25 07:12:57 | 
本は「人はひとりで死ぬ」(NHK出版新書)



著者は宗教学者の島田裕巳。
すごいタイトルだけど、「無縁社会」について、その発生から対策まで冷静に描いている。

まず、前提として今、騒がれている「無縁社会」の対比語は「有縁社会」。
で、それから逃れるように戦後の社会は形成されていった。
サラリーマン社会、都市化、核家族化、独身率の増加・・・。
これらは、「縁」、つまり地縁、、血縁などの束縛から自由を求めて解放された結果。
つまり無縁社会の到来はある意味、必然だったと言うこと。
この前提を無視して、「無縁社会の対策」を行政が取ろうとしても無理がある。
むしろ、「死」とは本質的に孤独なもので、全ての死が「無縁死」だと言える。

と、すごくロジックがしっかりしていて説得力があった。
NHKで話題になった「無縁社会」の番組を見ていてひたすら暗い気持ちになったけど、この本を読んで少し見方が変わったかもしれない。

あと、さいきん「縁」に関して少しずつ、社会全体でつながり力が増えている気がする。
ネットなどがその一翼を担っているのは言うまでもないことだけど、SNSの盛り上がりの背景も、社会全体の有縁化を求める機運と連動しているんだと思う。
もっとも、ネットのつながりがどこまで強いものなのかはまだまだ未知数だと思うけど。

個人的にも、すごく「縁」という言葉に興味が出ていて、僕が最近、活動しようとしている「東京ナイト」イベントも、その縁を深めるためのきっかけ作り。
「定期的に集まる」ということが縁を生むと思うので、たしょう面倒でもこのイベントは続けて行くつもり。
って、第一回の日本酒ナイトが地震で延期になっちゃったけど・・・。

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2 コメント

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Unknown (総代ちゃん)
2011-03-25 11:56:52
山本夏彦のコラムで、東京での「核家族化」は大正デモクラシーを背景として戦前にはほぼ完了していた、と書かれていたのを読んだことがあります。
また、昭和40年代に寅さんのような世界を描くのには、葛飾江戸川を舞台にせざるを得なかったことなどを考えても、僕らが思うよりもずっと前から地域共同体の消滅というのは進んでいたんだと思います。
大事なのはこういう変化は、何もお上に命じられておきたのではなく、我々が望んでおきたことだということです。
自分も東京の隅でこの流れに棹さすような時代錯誤な活動をしていますが、むしろ無縁社会を受け入れるほうがよほど楽な生き方ではないかと思う時もあります。
世の中というのは急には変わらないものですが、仰るとおりネットなどのつながりに多少の希望は見いだせるような気もします。
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Unknown (サイトウ)
2011-03-26 09:24:06
僕も山本夏彦のそのコラム、読んだことがあります。
でも、総代と前に飲んでいた時、やっぱり下町は「空気」が違うとすごく思いました。

僕はその有縁社会的空気をとても新鮮に感じたし、もしかしたら生まれて初めて感じた空気だったのかもしれません。

もっとも総代のようにその空気を自ら構成するような立場だと、仰るように思われる時もあるんでしょうね。
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