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「幕末太陽傳」

2011-12-29 10:07:05 | 映画
昨日は3時間ほど時間が空いたので、その間に映画鑑賞。
デジタルリマスター版が上映されている「幕末太陽傳」。

ご存知、フランキー堺主演の1957年の大傑作。
監督は川島雄三。
キャストは、石原裕次郎に小沢昭一、岡田真澄に南田洋子と何でもあれのラインナップ。



これで観るのは3回目くらいだけど、毎回、心底楽しめる映画。
何よりすごいのが、そのスピード感。
『居残り佐平次』や『品川心中』『三枚起請』『お見立て』といった落語からネタを借りながら破綻する事なく、だれる事もなく、突っ走るように物語が進んでいく。
この「間」は本当にすごい。

それを実現するのがフランキー堺。
羽織を放り投げてそのままぱっと着るシーンがよく話題になるけど、動きが何より軽快。
彼の周りだけ重力が軽いような小気味良いアクションを見ることが出来る。
タタターンと階段を駆け上がるその一連の動きを見ているだけで、なんだか楽しくなってくる。

で、彼に負けていないのが同じ麻布中学の同級生、我らが小沢昭一。
アバキンことアバタの金造という貸し本屋役での出演だけど、なんだかちょこまかとした動きがおかしい。

さらに石原裕次郎も、高杉晋作役が見事にはまっている。
「あはははー」という高笑いだけで、スターの貫禄を見せ付ける。

それ以外も、女郎屋の主人夫婦の金子信雄、山岡久乃も良いし、最後、フランキー堺に墓場を案内させる田舎者役の市村俊幸も上手い。やり手婆役の菅井きんが今と変わらないのにもびっくり。
エンドロールに名前の出る役者以外でも、スクリーンの端っこに写っているだけの無名の役者たちも実にきちんとした動きをしている。
この辺りの演出は、助監督の今村昌平が細かく指導していたと小沢昭一が話していたけど、ほんとこういう細かいところの積み重ねがこの映画の厚みを増しているんだと思う。

という訳で、久し振りに日本映画の楽しさを思い出したよ。
もっと映画も観なくちゃね。

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